ドイツ軍の対戦車地雷の代表的な物にTellermineシリーズがある。 Tellerとは皿とか円盤の意味のドイツ語で、Mineは地雷の意である。 本コンテンツでは大戦初期の主力地雷であった35型皿型地雷:TMi-35の当時
に作られたダミーを紹介する。これらダミー地雷は訓練用に使われた他、実際に本物の地雷と混ぜて埋設し、敵の地雷撤去作業を遅滞させる為に使用されたと言
われているが、詳細はわからない。 |
35型皿型地雷:Tellermine35(これ以降はTMi-35と表記する)
は1931年に正式採用されたTMi-29の後継機種として開発採用され、大戦初期の主力対戦車地雷として使用されていた。 直径 : 320mm 全高 : 80mm 重量 : 9kg 炸薬 : TNT5,2kg 点火圧力 : 80〜180kg 装甲貫通能力 : 24mm |
|
|
写真は、真上から見たTMi-35。 TMi-35は基本的に感圧式信管で作動するが、側面及び下面に付ける事が出来る牽引式 信管で作動させる事も出来る。 地雷は基本的に工兵が装備していたが、遅延式信管を付ける事で、対戦車用肉迫兵器として 運用する事も出来た。 また、ドイツ軍では地雷は単に埋設するのみでは無く、板等にくくり付けて戦車の前に引っ 張り出す等、積極的に踏ませる工夫もなされていた。 |
|
写真はTMi-35の裏側。 底面に2箇所設けられているキャップは、牽引式信管用点火薬充填口で、キャップの右下に開けられている穴が、牽引式信管用マウントであ る。 TMi-35は、1942年末に登場したTMi-42が本格的に配備されるまでは、主力対戦車地雷の座にあったが、生産性や感圧板に改 良を加えたTMi-35 Stahlも生産された。 |
|
携行ハンドル。 TMi-35には写真の様な鋼製丸棒で作られた携行ハンドルが付けられている。 携行ハンドルには穴が開けられていて、割ピンで固定されている。 |
T.Mi.Z 35信管:Tellerminezuender 35。 この信管は、ダミー地雷用の物で、ダイキャスト製の為作動しないが、安全装置と牽引式撃 発機構を備えたTMi-35用の信管である。 写真では、牽引式信管に付けられたワイヤーが信管本体に巻きつけられている。 |
|
T.Mi.Z 35信管のクローズアップ。 |
|
T.Mi.Z 35信管の上面。 上の溝には”RR 493 1940”の文字が見えるが、”RR”はメーカーを、”1940”は製造年を表していると思われる。 中央下の赤い○印がある大きなネジ状の物が、安全装置のセレクターである。白のペイント がされている溝の中には”SICHER”と文字がモールドされているが、これは安全位置を表している。赤のペイントの方は”SCHARF”セット位置を表 している。 |
|
地雷本体から外したT.Mi.Z 35信管。 このダミー信管はダイキャスト製なので、パーティングラインが見えている。 |
|
ダミー信管の裏側。 本来はこの部分に撃発機構が付けられており、その下にセットされた雷管が発火薬に点火す る事で、地雷内部に充填された炸薬が爆発する仕組みになっている。 |
|
信管マウント部。 信管マウント部の中には、本当はスプリングや雷管がセットされているが、これはダミーな のでその様な機構は全て省略されている。 |
|
側面から。 本来上面の感圧板は地雷の側面とは別部品で作られていたが、ダミー地雷ではこの様に一体 プレス成形で作られている。 |
|
底面の牽引式信管マウント部。 このマウントに牽引式信管をセットする事で、地雷撤去作業を難しくしていた。 発見した地雷を不用意に持ち上げると、この信管が作動して地雷が爆発する構造となってい る。 |
|
牽引式信管マウントと点火薬充填口。 牽引式信管に付けられている雷管では、金属板で仕切られている地雷本体の炸薬を発火させ る事が出来ないので、点火用火薬をこの充填口から入れる様になっている。 |
|
側面の牽引式信管マウント部。 この側面の牽引式信管用マウントは、対地雷撤去用に使用する他、ここに遅延式信管をセッ トする事で、TMi-35を肉迫兵器として運用する場合にも使われた。 |
|
牽引式信管マウントと点火薬充填口。 側面の牽引式信管マウント部にも、この様に点火薬充填口が設けられている。 なお、この側面の牽引式信管マウントは、携行ハンドルを上とすると真下に位置している。 |
|
資料館 別館トップへ |