ここでは、WW2のドイツ軍が使用した対戦 車用吸着地雷を展示しています。
  
はじめに

ドイツ軍の対戦車兵器に対する考え方は当初”戦車には戦車を”と言う物で、戦車及 び対戦車砲に依存するもので、モンロー効果(成形炸薬)の発明後もただちに歩兵兵器で敵戦車を破壊するとの発想には至らなかった様である。
しかし、戦車の性能が飛躍的に向上し、生産数からみても戦車対戦車と言う考え方が必ずし も通用しない事が明らかになった為、1943年頃からは歩兵兵器による対戦車戦闘が本格的に検討され、様々な新兵器が開発された。
その中の一つが今回紹介する対戦車用吸着地雷:Haft-Hohlladungである が、これは成形炸薬と強力な磁石を組み合わせた兵器で、対戦車ライフルでは歯が立たなかった重装甲も破壊できたが、反面攻撃側にも極めて危険な肉迫兵器で あった。
本コンテンツを制作するにあたり、貴重なアイテムを取材させて下さったPKハウスに感謝 の意を表します。

    
 
対戦車用吸着地雷:Haft-Hohlladung

制式にはHaft-Hohlladung granare 3kgと命名されており、ドイツ軍では手榴弾と分類されていた様である。
 
成形炸薬と磁石を組み合わせた対戦車兵器で、手榴弾の様に投擲使用する場合もあったが、 効果的に使用するには敵戦車に接近し、その磁石で戦車の装甲板に吸着させた後に発火索を引き抜く必要があった。
 
磁石で吸着させた後に発火させれば140mmまでの装甲を破壊する事ができ、当時の戦車 の殆ど全ての車種に有効であったが、発煙手榴弾や機関銃等で充分掩護されていない場合は成功率も低く、極めて危険な肉迫兵器であった。
 
信管は卵型手榴弾と同形式の摩擦式BZ信管が使われていたが、ブルーのキャップの4,5 秒タイプとイエローのキャップの7秒タイプを選択する事ができた。
 

対戦車用吸着地雷:Haft-Hohlladung
 
写真は、側面から見た対戦車用吸着地雷であるが、左側が磁石で中央部が成形炸薬部、右側 が信管収納部である。
 
この対戦車用吸着地雷にはブルーの4,5秒タイプの信管が付けられている。
 
運搬は通常9個入りの木箱に収納された状態で行なわれ、その際には信管は外された状態で ある。
 
重量3,49kg 炸薬量890g 成形炸薬部の長さは108mm
ディティール
 
これは吸着地雷の底部側から見た画像である。
 
成形炸薬の特徴である円錐形の穴のまわりに3組の強力な磁石が付けられているが、底板自体は金属製では無く、厚みのある樹脂製の様に見 えた。
 
また穴のまわりに見える6個のナットは本体との固定用のナットである。
ディティール
 
やはり下方から見た画像であるが、こちらの方が中央の穴が円錐形である事がわかりやす い。
 
また、3組の独特な形状の磁石部分は底板の上からビスで固定されている。
 
また、この吸着地雷は使用直前までは薄い鉄板のカバープレートが付けられていて、磁石部 分に余計な物が付かない様に工夫されていた。
 
この吸着地雷は生産されてから60年近くが経過しており、炸薬も抜かれていて約900g 軽くなってはいるが、現在でも磁石は極めて強力で、試しに鉄板に付けてみるとしっかりと固定でき、外すのにはかなりの力が必要であった。
ディティール
 
成形炸薬部と底板、磁石部分のクローズアップ。
 
こうして側方から見ると3組の磁石はスペーサーの役割をも担っている様に見えるが、成形 炸薬弾にその様な物が必要なのか否かは勉強不足でわからない。
 
ここらの事についても詳しい方がいらしたら御教示下さると幸いです。
ディティール

磁石部分のクローズアップ。
 
構造としては強力な永久磁石を鉄製の足で挟んだ形になっていて、画像の様に真鍮製のパイ プがスペーサーとして付けられている。
 
これは磁力を効果的に活用できる仕組みではあるが、生産性から見ると少し拘り過ぎの様に もみえる。
 
もっとも不整地を走行する戦車に付けるのだから磁力が弱いと振動で落ちてしまう可能性が あるのだろう。

ディティール

写真は柄の部分のクローズアップであるが、この柄には信管が収納されている。
 
画像の右端は安全キャップであるが、これは卵型手榴弾と同じ摩擦式BZ信管のキャップ で、鋼鈑プレス製である。

ディティール
 
安全キャップを上から見た画像。
 
このBZ信管は信頼性の高い摩擦式発火装置を持つ汎用信管で、ブービートラップ用の0秒 の物、通常の4,5秒タイプの他、7秒タイプの3種類が生産されていた。
 
これらは安全キャップの色で識別できる様になっていて、0秒は赤、4,5秒タイプは青、 7秒タイプは黄色に塗装されていた。
ディティール
 
BZ信管の安全キャップのクローズアップ。
 
安全キャップの頂部には写真の様にメーカー刻印が打刻されているが、このキャップの刻印 は残念ながら判読できない。
 
通常はアルファベットのメーカー刻印と製造年が打刻されている事が多いのだが、この キャップの刻印は全て数字の様に見える。
 
この刻印について解る方がいらしたら是非御教示願います。
ディティール
 
ネジ式のBZ信管の安全キャップを外した状態。 
 
実際にはマウントの中央に開いている穴に先端を輪にした針金があり、その輪を通した点火 索(紐)が安全キャップの中にある円盤状の部品に固定されているのだが、この発火装置はそれらのパーツが外されている。
 
外されているパーツに興味のある方は39年型卵型手榴 弾のコンテンツにマニュアルからの図が掲載されているので、そちらを参照して下さ い。
 
マウントの下に四角形の鉄板が付けられているが、この部分を回して信管を外す事ができ る。
   
   
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15.Jun.2001 公開
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