このページでは、MP38と、MP40の付属品を紹介します。
   

はじめに
 
本コンテンツでは、MP38とMP40の付属品の中から、マガジンローダーとMP38用マズルキャップ、9mmパラベラム弾の紙箱を紹介する。(コンテンツで使用している9mmパラベラム弾の紙箱は当時のオリジナルであるが、9mmパラベラム弾はダミーカートリッジ(合法品)を使用している。)

本コンテンツを制作するにあたり、MP38のマズルキャップの取材させて下さったタムリン堂の田村氏に、この場であらためて感謝の意を表します。

 
   
 
MP38とMP40の付属品

MP38やMP40 は、通常予備のマガジン6本と、このマガジンローダー(装弾機)、これらを収納携行するためのマガジンポーチと共に貸与された。
上の画像左上に写っているのがマガジンローダー、その右の紙箱は08型拳銃弾(9mmパラベラム弾)の紙箱、下がMP38及びMP40用のマガジンである。

 

      

マガジンローダーMagazinfüller
 
 
 
マガジンローダーMagazinfüller

マガジンローダーは、MP38やMP40のマガジンに装弾する際に使用する。
鋼板をプレスして作った簡単な作りの道具であるが、装弾をしているうちに、スプリングの力が強くなるマガジンに、指先を痛めることなく装弾することができる。

画像左から、正面より見たマガジンローダー、左側面、背面より、右側面。
マガジンローダーの寸法は、H=90mm W=55mm D=25mm である。
 

マガジンローダー

平面的に捉えた画像だけでは、マガジンローダーの形状を理解しにくいかもしれないので、この画像もアップしておく。

マガジンローダーは、鋼板プレス製パーツで構成されており、カシメで組立てられているため、分解はできない。

比較的単純な構造なので、故障しにくいと思われるが、破損・故障した場合は交換すれば良いと考えていたのだろう。
 

斜め上方より見たマガジンローダー
 
マガジンローダーのフレームは0.7mm厚の鋼板製で、レバー部分は2.4mm厚の鋼板をプレス加工して作られている。

仕上げはブルーイング処理(黒染加工)である。
ブルーイング処理は、鉄の表面に薬品を用いて酸化皮膜を形成させたもので、皮膜が薄く、価格が安いメリットがある反面、オイルなどで手入れをしないと、錆びる欠点がある。

ドイツ軍に限らず、多くの銃火器の仕上げに採用されている。
刻印
 
マガジンローダーの右側面には、このように”MP38 u. 40”と打刻されている。

これはMP38 u. 40が配備された国防軍用である事を示している。

同じマガジンローダーでも、MP41が供給された警察用の物には”MP41”と打刻されている。

同じ製品であっても納入先が異なるため、この様に刻印を変えて打刻したのである。
刻印
 
左側面には、メーカーコード、製造年、ヴァッフェンアムトの刻印が打刻されている。

メーカーコードの”Kur”は、旧オーストリアのグラーツにあるステアー社:Steyr werk Graz の物で、”42”は生産年が1942年、”WaA815”は兵器局の検査済刻印を示している。

ちなみに、WaAの後の数字は、検査官の番号であるため、年号によって担当するメーカーが変わることがあるので、”815”が常にステアー社を示す物ではない。



マガジンへの装着
 
マガジンローダーの装着は極めて簡単で、マガジンを機関短銃に装着するのと同様に、マガジンローダーにマガジンを差し込むだけである。

画像上はマガジン上部とマガジンローダー。

画像左は、装着した状態のマガジンローダー。
マガジンに装着した状態

装着したマガジンローダーを斜め前方から見た状態。

マガジンには拳銃弾が千鳥式に入れられるため、給弾口(上部)は絞られているが、マガジンローダーの上部は絞られていない。

マガジンとマガジンローダーには、縦横共に0.5mmのクリアランスが取られていて、スムースに脱着する事ができる。
(マガジンの縦(長手方向)は34.5mm 横は22.5mm マガジンローダーの内法寸法は、縦が35mm 横は23mmである)

また、装弾時に拳銃弾を押し下げるレバーは、スプリングで上に戻る構造になっているが、このリコイルスプリングは、マガジンとの固定ラッチのとレバーの間に入れられており、固定ラッチのスプリングを兼ねた、合理的な設計となっている。

装弾
 
初弾は、マガジンローダーを使用せずに装弾。
拳銃弾は、マガジンの前上方から、後下方に押し込むように装弾する。
装弾
 
装弾した拳銃弾をマガジンローダーで下方に押し下げる。
装弾
 
次弾を前上方より、マガジンローダーのレバーに当たるまで押し込む。
装弾
 
マガジンローダーのレバーを放し、マガジンの後部に当たるまで拳銃弾を押し込む。

この要領を繰り返し、装弾を完了する。
マガジンから外す

マガジンローダーを外す時には、親指で固定ラッチを押すと、上方に抜くことができる。

 

携行法
 
マガジンローダー:Magazinfüllerは、機関短銃を装備する兵士に、予備マガジン6本:6 Magazinenとマガジンポーチ(1ペア):Magazintaschenと共に貸与される。マガジンポーチには、マガジンローダーを常に携行できるように マガジンローダー用のポケットが付けられている。
マガジンポーチには多くのバリエーションが存在するが、MP-38 u. 40のマガジンポーチのコンテンツで、その一部を紹介しているので、興味のある方はそちらを参照されたい。


9mmパラベラム弾紙箱
 
この紙箱に貼られたラベルの一番上には”16発 08型拳銃弾:16 Pistolepatronen 08”とプリントされている。

08の後に”m. E”の文字がプリントされているが、これは08型スチールコア弾:08mit Eisenkernの略である。

これは、鉛の消費を抑えるために開発された弾で、それまでの鉛芯を鉄芯に変更して、鉄芯を鉛で被覆した弾頭である。そのため、この弾頭は黒色である事が特徴である。


P-08(ルガー)やP-38のマガジンは装弾数が8発なので、この1箱でマガジン2本分、MP38 u. 40のマガジンは、装弾数32発なので、2箱でマガジン1本分となる。
9mmパラベラム弾紙箱
 
紙箱の中には、画像のようなボール紙製の仕切りが設けられていて、一度に全弾を使用しなかった場合でも、箱の中で弾が動かないように工夫されている。

画像で使用したダミーカートリッジは、スチールコア弾では無く、フルメタルジャケットなので、弾頭が銅色であるが、仕切りが弾を保持する状態は理解してもらえただろう。


MP38のマズルキャップ 
 

 
 田村氏コレクション

MP38のマズルキャップ
 
写真は道路脇で休息をとるドイツ兵達を写したものである。
上の画像の中央やや左にMP38が写っているが、よく見るとその銃口部にはマズルキャップが装着されている。

写真左はMP38が写っている部分のクローズアップである。
マガジンハウジング部の穴と、補強リブがはっきりと写っているので、MP38である事がわかる。


また、MP38の銃身の右に、この銃を所持している兵士の肩章が写っているが、階級は伍長:Unteroffizier なので、分隊長クラスであると思われる。


 田村氏コレクション


MP38のマズルキャップ
 
各方向より見たMP38のマズルキャップ。
画像上段の左は上方から、右は下方から見た状態で、下段左から、正面より、左側面、銃口側より、右側面を写したものである。
正面から見た画像には、C. Beutemueller u. Co. GmbH, Metallwarenfabrik, in Bretten ( Baden-Württemberg ) のメーカーロゴ”C.B.B.と、WaA101が写っている。

 
蓋を開けた状態
 
Mause Kar98k 小銃用マズルキャップ同様、このマズルキャップも前の蓋が開閉式となっている。

マズルキャップは、銃口より銃身内に異物等が入らないために装着する物であるが、クリーニングロッドのガイドの役割も兼ねている。

したがって、蓋が開くのはクリーニング時のためであり、射撃のためでは無い。

そもそも、この蓋は上方に開くので、フロントサイトを完全に隠してしまう。
 
蓋を開けた状態
 
右側方より見た状態。

MP38の銃口部、フロントサイトの前部には、このマズルキャップを取り付けるための突起が設けられており、銃口にマズルキャップを被せるように、回転させて装着する仕組みになっている。

MP38の銃口部の詳細は、MP-38 のコンテンツを参照されたい。

蓋を開けた状態
 
正面より。

この凝った作りのマズルキャップは、MP38専用で、MP40には採用されなかった。

MP40では、脱着も簡単な軟質樹脂製の銃口のみを塞ぐ簡単なキャップが採用された。

刻印のクローズアップ
 
前述の刻印のクローズアップである。

上がメーカーロゴで、下方にヴァッフェンアムト”WaA 101”が打刻されている。
 
   
   
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08.Nov.2015 公開
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