ここではMP38の無可動実銃を展示しています。
   
はじめに
 
引き続きたまごやきさんのMP38を紹介しますが、実銃に関する知識があまり無いので キャプションに間違いを見つけられた場合は御教示願えると助かります。それでは素晴らしいコンディションのMP38をお楽しみ下さい。
   
リアサイト・セーフティー
 
Vノッチのリアサイトは100mと200mの選択式になっている。リアサイトに付いて は、後で改めて詳しく紹介するが、この写真では100mの状態になっている。
レシーバーにコッキングレバー用の溝(切り欠き)が写っているが、右端に写っている溝よ り上方の部分にコッキングレバーを持っていくとセーフティーの状態となる。(Sが打刻されている。)
極めて単純なセーフティーだが、確実で故障も無い為、他の多くの機関短銃(サブマシンガ ン)にもこの方式は採用されていた。
レシーバー
 
こうして見ると、MP-38のレシーバーが極めて高度な金属切削加工技術を駆使して作ら れていた事が理解してもらえると思う。
 
MP-40では、これを補強リブを入れた鋼鈑プレス製に変更する事で、生産性を飛躍的に 向上させる事に成功した。
機関短銃ではこのレシーバー部に高圧のガス圧がかかる訳では無いので、薄い鋼鈑プレスで 作られていても全く問題は無かったし、軽量である事は携行性や近接戦闘時の取りまわしにも大きく貢献した。
折りたたみ式ストック
 
生産性の高い鋼製折りたたみ式ストックの採用で、コストを下げる事のみならず、携行性も 極めて良い銃に仕上がった。
開戦当初、降下猟兵の多くはMP-38を支給され、多くの戦場でこの機関短銃の有効性を 証明した。
 
メインフレームを包むフォアグリップもプラスチック製で作られているのがわかるだろう か。
レシーバー・リアサイト
 
後方より見たレシーバー上部。Vノッチ型リアサイトの固定方法や、綺麗に付けられている レシーバーの溝の形状が良く解る。
リアサイトベースの下には板バネが入っていて、振動でビスが緩まない様になっている。ビ スの脇にマイナスの溝に合わせてポンチングがされているのは、ビスの緩みを確認する意味と、締め付け具合の確認の為の物と思われる。
 
またリアサイトのマウント部にもヴァッフェンアムトの刻印WaA280とシリアルナン バー072が打刻されている。
 
この写真では可倒式リアサイトは200mの位置になっている。
リアサイト左上に200と打刻してあるのが見えるだろうか。
レシーバー・製造刻印
 
レシーバーの後端はメインフレームに付いているキャップの中に納められている。
キャップの上面にはこの機関短銃の名称M.P.38とこの銃の製造メーカー、エルマ社の コード番号27、製造年を表す1940が打刻されている。
銃のメーカーコードはアルファベットで表記する物と数字で表記する物があった。
ヴァッフェンアムトのコードは工場毎に与えられていたが、同じ数字を複数の工場が使用し ている事もあり、これだけでメーカーや生産工場を特定するのは難しい場合があるが、今回の280に関してはErfurtにあるエルマ社の工場のコードであ る。
リアサイト(100m)

MP38のリアサイトは100mと200mの選択式になっている。この写真では 200m用サイトは後方に倒してあり、100mの状態にしてある。
 
リアサイトもサイトベースとは別パーツになっていて、左右方向の微調整が出来る様な作り になっている。
サイトは溝の部分の肉厚を薄くし、照準がしやすい様工夫されている。この加工がされてい ないと目の位置によってはサイトの溝が左右にずれて見えてしまう。

リアサイト(200m)
 
200m用のサイトを起こした状態を示す。
 
上の写真と比べてもらうと、リアサイトを可倒式と表記した意味が理解出来るだろう。
  Mauser Kar98kなどでは有効射程以上のタンジェントサイトが使用されているが、(Kar98kでは2000m迄目盛がある。)近接戦闘が目的に作られた機関 短銃としては、この様なサイトで充分だったのだろう。
 
トリガー・グリップ
 
画像を見ると解るように、メインフレームを包む形で取り付けられたフォアグリップと、ピ ストルグリップはつながる様なフォルムでなかなか美しい(笑)。
現在の銃器のデザインから見れば古めかしいかもしれないが、私はこのデザインセンスは好 きである。
  この 写真では折りたたみ式ストックを延ばしているが、フォアグリップと折りたたみ式ス トックの関係も良く考えられていて、ストックを折りたたんだ状態でもストックが必要以上に出っ張らない設計はなかなかの物だと思う。
とにかく60年以上前の設計でこの方式では先駆者なのだから。
折りたたみ式ストックのキャッチボタン他
 
折りたたみ式ストックは、チェッカリングの入ったボタンを押しながら引き出す事が出来 る。極めて簡単な構造で、生産性も良く、また軽量である。使用弾薬がピストル弾と言う事で、この様な簡単なストックでも、全く問題は無かった様であるが、 小型化したライフル弾を使用した突撃銃にはこの型式は継承されなかった。

シリアルナンバーとヴァッフェンアムトの刻印

”6072b”が正式なシリアルナンバーである。その右に見えるのがヴァッフェンアムト (Waffen Amt:兵器局の検印。詳しくは雑記帳の軍装用語集を参照)の刻印である。このヴァッフェンアムトの刻印はドイツ軍が使用したドイツ製に武器には殆ど全て 打刻されている。
この銃の場合全てWaA280の刻印が打刻されている。
フォアグリップ
 
グリップ部のフレームを外した画像だが、メインフレームを包む様に付けられているプラス チック製フォアグリップの形が良く解り興味深い画像になっている。
フォアグリップの前の方に滑り止めの溝加工がしてあるのは、ここを持って射撃する為であ る。(マガジンを持って射撃すると送弾不良を起こす可能性が高くなる。) 
分解用のリリースボタン廻りも、ボタンが引やすい様な形状に成形されている。
グリップ部のフレーム
 
グリップ部のフレームはメインフレームにビス止めされており、簡単に分解する事が出来 る。
 
MP-38でこの部分をアルミニュームにしたのは、軽量化が目的だったと思われるが、ド イツではアルミが希少金属だった為、MP-40では鉄製に変更される。
 
しかし鉄の方が強度があるため、フレームの内部をくりぬき、レシーバーやマガジンハウジ ングを薄い鋼板プレス製に変更する事で全体重量の増加は防ぐ事に成功している。
グリップ部のフレーム
 
外したグリップ部のフレームを上から見た状態を示す。
トリガーガードの前に固定用ビスの穴が見えるが、大きい方が取り付け用ビスの物で、小さ い方は固定用ビスのゆるみを防止する為のビス穴である。この方式はkar98にも見る事が出来る。
グリップ部のフレーム
 
プラスチック製グリップを外した状態を示す。
  フ レームの中心部にある四角い穴にプラスチック製グリップ固定用のビスと、グリップの変 形を防止するスペーサーが入る。
これはビスの締め過ぎでグリップを壊さない為にはさみ込む物で、下の画像のプラスチック 製グリップの間に写っている。
プラスチック製グリップ
 
現在では当たり前の量産向きのプラスチック製グリップを採用した事も、当時の機関短銃で は珍しい事であった。
プラスチックグリップにもWaA280の刻印があるが、実際にエルマ社で生産していたの か下請け工場かは分らない。
シリアルナンバーも6072で銃とは異なるが、本来銃と同一ナンバーだったかどうかも疑 問である。グリップの裏側にはプラスチック製品特有の丸い刻印とP.1473 1の刻印がモールドされているが、これがグリップを実際に生産した会社の刻印かもしれない。
  
WaA280について
 
今回のMP-38には27と言うエルマ社(Erma)のメーカーコードが打刻されていた ので、WaA280がエルマ社の工場であると分ったが、同じく280のコードは下記の各工場でも使用されていた。ただし、時期的に全て同時期であった訳で は無い。
 
●Erfurter Maschinenfafrik (Erma), Erfurt 
●Mauser Werke A.G., Berlin-Borsigwalde 
●Berlin-L・ecker Maschinenfabrik, L・eck 
●J.P. Sauer und Sohn Gewerhfabrik, Suhl
●Feinmechanische Werke (Erma), Erfurt
●Carl Weiss Lederwarenfabrik, Braunschweig 
 
エルマ社の社名について
 
エルマ社 (Erma):Erfurter MaschinenfafrikはErfurt (地名)にあるMaschinenfafrik (機械製作所)と言う事である。
   
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18.May.2000 公開
09.Sep.2002 改定
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