今回は、投擲訓練用模擬柄付き手榴弾を紹介する。 ドイツ陸軍の歩兵教練では、小銃射撃訓練でも事故防止の観点から模擬弾を使用し、小銃の 操作を充分習得してから実包射撃訓練を行なっていたが、手榴弾訓練でも様々な模擬手榴弾訓練が行われていた。これら模擬弾や模擬手榴弾による訓練は、その 安心感から訓練に集中力が不足し、習熟にかえって時間が掛かる欠点が指摘されたが、柄付き手榴弾などは投擲にコツが必要であったため、末期においも行なわ れていた。ドイツの訓練用模擬柄付き手榴弾には、この投擲訓練用の他、弾頭部のみ模擬弾頭に代えた操作訓練用の物、同じく操作訓練用の全木製タイプ等も作 られていた。 |
|
|
この比較写真は、上が24年型柄付き手榴弾、下が投擲訓練用の模擬柄付き手榴弾である。実際の手榴弾の柄は、使い捨てなので無塗装であ るが、訓練用手榴弾の柄はクリア仕上げになっている。また、投擲訓練用という事で、サイズと重さはほぼ実物に合わせて作られている。 投擲訓練用模擬柄付き手榴弾のデータ ( )内は24年型柄付き手榴弾 |
|
投擲訓練用の模擬柄付き手榴弾は、木工旋盤で削り出された柄に、鋼製リングを付けただけの簡単な物である。 |
|
|
弾頭部には、鋼製リングが付けられている。これは、バラストと投擲時に木製の柄が割れる事を防止する役割を果している。 |
|
鋼製リングは、木製の柄にビス止めされていて、投擲時の衝撃で、リングが脱落しない様に作られている。また、この鋼製リングは黒く塗装 されているが、操作訓練用手榴弾の場合は、通常弾頭部は赤く塗装されている。 |
|
鋼製リング固定ビス部のクローズアップ。 |
|
それにしても、この訓練用手榴弾が使用された練兵場は、かなり石が多かった様で、厚さが2mmある鋼製リングもでこぼこになっている。 |
|
柄の中程にはデカールが貼られている。 |
|
デカールのクローズアップ。メーカーロゴと思われるが、残念ながら60%以上が失われてしまっている。 |
|
柄の端部。この模擬手榴弾は、投擲訓練用のため、信管などは全て省かれている。 |
|
資料館 別館トップへ |