ここでは、WW2のドイツ軍が使用した半自 動小銃G43とK43を展示しています。
  
 
はじめに
 
今回は、ヒトラーのガーランドとも渾名された、ドイツの半自動小銃Gewehr43 (G43)とKarabiner43(K43)の無可動実銃を紹介する。
 
このG43とK43に関しては、別物としている資料も存在するが、実際にはに 呼称を変更したに過ぎない物で、1944年4月にアルベルト・シュペーア軍需相が、銃器の名 称変更についての指示を出しており、MG42に関しては従前のまま、G43はK43に、MP43はMP44に変更されたと言われている。(注1)
 
G43は、1941年に採用されたG41(W)の改良型とも言える半自動小銃であるが、 新しく開発されたガス・ピストン方式は極めてデリケートな機構でもあり、実戦配備後の1944年春頃から小改良が繰り返されていた。これらのマイナーチェ ンジは一斉に行なわれたものではなかった為、細かいバリエーションが増える原因にもなっている。また、戦局の悪化に伴い生産性の向上も計られ、K43に名 称変更された1944年5月頃までには、銃口のネジ切り加工の省略、レシーバーカバーを手動式に変更、銃床収納部キャップ・フロントサイトマウントの溝切 り加工の廃止、ボルトキャップの廃止等のマイナーチェンジも暫時実施された。
 
データ(G43/K43)
 
口径  : 7,92mm
全長  : 1120mm 画像のG43:1118mm・K43:1117mm
銃身長 : 550mm
重量  : 4,4kg
装弾数 : 10発
 
主要生産メーカー及びメーカーコード
 
ac:カール・ヴァルター社(チューリンゲンのツェラメーリス)
duv:ベルリナー・リューベッカー・マシンファブリック社(リューベック)
bcd:グストロフ・ヴェルケ社(ヴァイマール・ブッヒェンヴァルト)
qve:1945年よりベルリナー・リューベッカー・マシンファブリック社が使用したメーカーコード

(ブッヒェンヴァルト:BuchenwaltにあったグストロフのG43工場は、1944年8月24日にV兵器を狙ったRAFの 集中爆撃に遭い、壊滅的な打撃を受けて以降の生産は不可能になったそうである。)
 
K43がG43を50mm短縮した物であるとする説は、おそらく銃身長の異なる試作品に対する誤った検証が元になったのではないかと思 われる。
 
本コンテンツを制作するにあたり、貴重なコレクションの画像と情報を提供して下さった TOMO氏と、歩兵銃と騎兵銃の区別に関する書き込みを当サイトの掲示板にして下さったブラックホーラー氏に、この場であらためて感謝の意を表します。
 

   
G43・K43・Kar98kの比較
   
 
 TOMO氏コレクション
 
比較写真
 
この比較写真は、上からG43(bcd:グストロフ社1944年製)、K43(ac:ヴァルター社1945年製)、K98k(byf: マウザー社1943年製)である。この写真ではK43の方が少し短く見えるが、実測ではハンドガードの長さは同じである。
 
このG43は1944年製ではあるが、比較的初期に生産されたとG43の特徴を持った物で、K43の方は末期生産タイプではあるが、グ ストロフ社とヴァルター社製の特徴もあるので、単純にG43とK43の比較とは言えない要素もあるが、一般的には初期型の特徴を備えたG43と、末期型の 特徴を持ったK43の比較は出来ていると思う。
 
 
このG43のストック及びハンドガードは積層板である。積層板はKar98kでも採用されていたが、ストックに向く良質の木材不足を補 う方法として用いられた方法で、ドイツ国内に比較的豊富にあったブナ材の単板(厚み2mm)を積層接着して作られた物である。木材はかなり大きな断面の丸 太からでも、捻れや反りの無い良材は少ししか取れない。また、このクセは意外と強い物で、鉄製の銃身等を曲げてしまう事もある。しかし、木材を薄くスライ スすると、そのクセは比較的弱くなり、更に積層高圧接着する事で殆どクセの無い良い材料を得る事が出来る。このG43の木部に見られる色の濃い部分は、木 目では無く、接着剤の層である。(注2)
また、グロストフ社製G43に関しては、レシーバー部に削り出し加工を採用していた等の特徴もあるが、それらの詳細に付いては、また機 会を見て紹介出来ればと考えている。
 
画像のK43には樹脂製のハンドガード(注3)が付けられ ている。樹脂製のハンドガードは、本来duv(qve):ベルリンのリューベッカー・マシンファブリック製のみの特徴だったとしている資料もあるが、 G43後期型/K43では、鋳造製ボルトキャリアを高圧ガスで作動するロッドで破損する事を防ぐ目的で設けられた、ガス抜き穴から出るガスで積層板製ハン ドガードの破損が頻繁に発生した為、樹脂製ハンドガードを多用したとの資料もあるので、これは当時補給されたパーツの関係であったと思われる。
 
 
銃口部とクリーニングロッド
 
銃身と外したクリーニングロッド。上がG43で、下がK43である。
 
クリーニングロッドはKar98kと同じで、長さは32cmの物である。
 
ハンドガードはG43が積層材、K43は樹脂製の物が付けられている。
 
また、金属部品はG43がブルー仕上げであるのに対してK43はフォスフェイト仕上げ (phosphate:燐酸加工)が多いと言われている。
 
銃口
 
上がG43で下がK43の銃口部である。
 
K43の方は1945年の最終生産型らしく、いかにも作りが粗い。
 
初期生産型のG43では、写真の様にマズルリングをネジ式で取り付けてあるが、こ れはMP44の様にグレネードランチャー等をつけられる様に施された物で、後に省略された。
ディティール
 
G43のマズルリングを外した状態。
 
マズルリングの脱落を防ぐ、バネ式のロックがついているのが、上の写真のK43と見比べ ると良くわかる。
 

 
ディティール
 
銃口部の比較。
 
左がG43、右がK43であるが、前述の様に、K43ではサイト後ろの溝切り加工が省か れている。
 
また、写真では分かりづらいが、サイトの基部側面の銃身からの立ち上がりがG43では曲 面になっているが、K43では直線で角度がついている。

 

レシーバー部
 
レシーバー右側面。上がG43で、下がK43。
 
G43の方が削り出しであるが、極初期のac製を除いて全てドイツ占領下 のフランスの Nationale d'Armes de St-Etienne(WaA134)で製造されていた。この削り出しレシーバーは、bcdが独占的に使用した他、acにも一部供給されていたが、duv やqveでは確認されていない。
 
また、ボルトキャリアー右後端のボルトロックボタンがこのK43では省略されている。
刻印

これはG43のレシーバー部にある刻印である。
ヴァッフェンアムトの刻印の他に、グストロフ社のメーカーコード”bcd”と、シリアルナンバー”3592b”、更にG43の刻印が確 認できる。
このレシーバーも上記のフランスにあった工場で生産された物と考えられるが、この工場もブッヒェンヴァルト爆撃に続いて連合軍の手に落 ちた。
 

刻印
 
これはK43のレシーバー部にある刻印である。
ヴァッフェンアムトの刻印の他に、”K43”、ヴァルター社のメーカーコード”ac”、製造年を表す”45”(acの直下に上半分が見 える)と、シリアルナンバー”4761a”の刻印が確認できる。
レシーバー部
 
レシーバー部を、左上後方から見た状態。
 
画像左がG43で、右がK43である。
 
G43のボルトレバーにはキャップが付けられているが、K43のボルトレバーではキャッ プは省かれ、パイプ状に変更されている。
 
レシーバーとボルトキャリアー
 
上から見たレシーバーとボルトキャリアー部。
 
上のG43と、下のK43のボルトレバーの差に注意。
 
また、ボルトキャリアーはどちらも鋳造製であるが、ボルトキャリアー先端 部を見比べてもらいたい。、キャリアーの先端の凸部のすぐ後ろに、G43には無い補強リブがK43には追加されている。これは鋳造製ボルトキャリアーの先 端が割れやすかったことから、1944年の早い時期に採用された対策である。
 
ディティール
 
タンジェントサイトのクローズアップ。
 
G43とK43のサイトは100m〜1200mまで調節する事ができる。
ハウジング部
 
ハウジング部を後方から見る。
 
左がG43で、右がK43。
 
ハウジング最後端のL型レバーはセイフティである。
因みに、右のK43が安全位置、左のG43の方が撃発位置である。
 
なお、このK43の泥除けカバーの後端部は破損している。
ZF4スコープマウント部
 
ZF4スコープマウント装着用レールの比較。
 
このG43には、bcd製の特徴の一つとして、一般的なG43や、K43にある中央部の 切り欠きが無い。これは、バネ式のマウント固定ロック用の溝であるが、圧力レバーだけでバネ式補助ロックのない試作型マウントに対応しているという説もあ り、このbcdのG43は初期型である可能性が高い。
スコープ支柱が斜めになっている試作マウントは43年10月25日付けのG43マニュア ルに写真が載っており(実物は現存しないようである)確かに、この試作マウントにはバネロックが無い様に見える。
下部
 
写真上がG43、下がK43である。
 
マガジンは写真に向かって左が前になる。(銃の向きと逆)。
 
装着方法は、前方向を先に差し込んでからマガジンキャッチレバーのある後部側に全体を押 し込む。外すときは、マガジンキャッチレバーを前方に押して装着と逆に後部から外す。
ディティール
 
マガジン装着部のアップ。
 
上がG43で、下がK43.
 
無可動銃であるので、G43方はボルトが溶接されており、K43の方はボルト自体が切除されている。
バットプレート
 
バットプレートの比較。
 
左がG43で、右がK43。
 
銃床内にオイラー・袋入り予備パーツ(ファイアリングピン及びエクステンション・エキストラクター等を3セット入れた袋)・マニュアル 等を収納するスペースが設けられている。
 
G43の収納部キャップに溝切り加工が施されているのに対し、K43では省かれているのに注意。
木製ストック
 
左がK43で、右がG43である。
 
既に積層材製のストックに付いては説明したが、この画像を見ると更に理解しやすいだろう。
 
G43とK43には、積層材製のストックが使われており、このK43は少しわかりにくいが、G43は等高線の様に赤い接着剤の層が規則 的な模様に見える。
 

 
 

  
 
注1 Gewehr:歩兵 銃とKarabiner:騎兵銃について
 
歩兵銃と騎兵銃は、第一次世界大戦の頃にはその携行性から、騎兵銃の方が短く設計されていたりした場合もあるが、その最も大きな違いは 負い革の取り付け位置であった。従来の歩兵銃では負い革は銃本体の下側に付けられていたが、騎兵の様に銃を背負う場合には、これは極めて不都合である。し たがって、騎兵銃では負い革は銃本体の側面に付けられる様になっている。この様な意見ではG43は元々K43と呼称されるべきであったと言えるだろう。
 
注2 積層板(集成材)と合板(ベニヤ板)について
 
積層板は通常スライスした板の、木目の方向を合わせて接着した物を指し、長さ方向も継いである場合は集成材と呼称する。それに対して合 板は、スライスした板の木目方向が、直交すように接着した物を指すのが普通である。合板は積層板より一般的には強度があり、クセも少ないメリットがある反 面、小銃のストック等に使用した場合には、一枚おきに重ねた板の断面が表面に現れる為、ささくれたりトゲが刺さる可能性があるので不向きである。
 
注3 樹脂製のハンドガード
 
G43/K43のハンドガードに使用された樹脂は、通称"Durofol"(メーカー名 Durofol KG,O.Brangs & Co.より)と呼ばれるもので、木質繊維をプラスチックで固めたFRP(ガラス繊維で補強したプラスチック)の様な素材であった。この木質繊維で補強され たプラスチックは、MG34/42のバッドストック等にも使用されていた。
 
  
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30.Sep.2002 公開
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