ここでは、MG42の無可動実銃の展示をしています。
   
ここではMG42の無可動実銃を展示しています。
 
MG42はMASCHINENGEWEHR42の略で42年式機関銃という意味である。
 
MG34は精巧な機関銃ではあったが生産性が悪く、当然コストも高く、前線での信頼性にも問題があって、陸軍兵器局では1937年の段 階で既に次期主力機関銃の開発を検討し始めていた。
その結果誕生したのがMG42である。この機関銃は1938年から39年にかけ、ヨハネス・グロスフス・メタル・ファブリック社によっ て開発・試験され1941年末には部隊試験が行われた。そしてその結果1942年初めには採用、この年だけでも17000挺が生産され、終戦までには実に 400000挺以上が生産された。

MG42は生産性を重視した結果、大量のプレス部品を採用したため、MG34に比べると安物の感があるが、その信頼性は画期的な ローラーロッキングシステムや迅速な銃身交換システム・新型送弾システム・単純なトリガー機構の採用で格段に向上し、戦闘力も一分間に1200発という航 空機関銃なみの発射速度の結果、極めて高い物となった。

その優秀さは戦時中アメリカ軍がコピー生産をしようと試み失敗したエピソードや、半世紀以上経った現在でもヨーロッパ各国の陸軍 で殆ど同じ機関銃を使用している事が証明している。
 

テクニカルデータ
口    径   :7.92mm×57
作動システム :ショートリコイルローラーロッキングボルトシステム      フルオートのみ
給弾方法   :ベルトリンク(50発)
全    長   :1219mm
重    量   :11.5kg
銃 身 長   :533mm
サ イ ト     :フロント・ブレードタイプ/リア・Vノッチ200〜2000m エレベーションアジャストタイプ
発射速度   :1200発/分
   
上から見たMG42

このMG42は極めてコンディションが良いので、当時のMG42の仕上げを知る資料として貴重な存在である。
この様に見てみると、基本的にはMG34の直線的なデザインを踏襲した事が良く解る。
オーストリアのシュタイヤー・ダイムラー社製(bnzの刻印)シリアルナンバー 2078、1943年製造。

特徴のあるバレルジャケットでMG34とは容易に識別出来る。
プレス製の本体は銃器用の特殊鋼では無く通常の鋼材で生産する事が出来、材料面でも画期的に省力化する事が出来た。
こうして見ると、こちら側のバレルジャケットは射手が熱くなった銃身に触らない為という機能よりも、迅速な銃身交換を重視した 設計であることが理解出来る。
これは、まさに武器に徹した設計と言えるだろう。
下方より見たMG42

機関部がより直線的デザインになっているのが良く解る。

   
デ ィ テ ィ ー ル
   
迅速な銃身交換を可能にしたのは、この様にバレルジャケットを大きく切り欠いた事による。
これによって写真右隅のリリースキャッチを開けるだけでバレルを交換する事が出来る。
一見角パイプの様に見えるバレルジャケットは一枚の鋼板からプレス加工で作られており、こちら側の面で溶接されている。(通気 穴に添って溶接跡が見えている。)
フロントサイト

フロントサイトを起こした状態。
フロントサイトは微調整が出来る様になっているが、構造はMG34より簡略化されている。
機関部側にあるのが対空サイト取付部(写真の右隅)
銃口のすぐ後ろのリコイルブースターにガス抜きの穴が見えるが、射撃時にはここから炎が出ている様に見える。
これは射撃姿勢を安定させると同時に、確実な作動をさせるのにも一役買っている。
しかし、不用意に連続射撃をすると地面に土埃があがる欠点もある。

フロントサイト

フロントサイトを倒した状態。(運搬移送時、若しくは対空射撃時)
フロントサイトは写真の様に後ろに倒すと、殆ど突起が無くなるようになっている。
フロントサイトの前にあるのはリコイルブースター部のゆるみを防止するストッパーである。これで振動等でブースター部がゆるむ事を防い でいる。
この部品はMG34にもあったが、連続射撃時の振動はかなりの物と考えられる。
ブースターを外す時は、これを持ち上げて工具ポーチの中にある専用レンチで回すようになっている。

リアサイトと対空サイト

リアサイトは射撃時以外は写真の様に倒しておく。
また対空サイトも写真の様に倒してある。
これらのサイトはかなり強いバネで固定されていて、振動や軽く触れた位では動かないように作られている。
この位置から見るとバレルジャケットは単純な角パイプでは無い事が解る。

バレルジャケットとリアサイト

少し見えにくいが、リアサイトを起こした状態を示している。
省力化の為にプレス加工を採用したとはいえ、この様に見てくると当時のドイツのプレス技術の高さが他国より優れていたという事も容易に 理解出来る。

バレルジャケットとリアサイト

バレルジャケットと機関部は固定式で外す事は出来ない。
右隅に見えるのは給弾口でここからベルトリンクに入れられた7.92mm弾が給弾される。
中央上に見えるのがリアサイトで手前側に対空サイトが倒してあるのが見える。

機関部・トリガー部

鋼板プレスで作られた機関部の特徴が良く解る。
右上に丸く見えるのがフィードカバーのキャッチレバーで、これを前方に押すとフィードカバーを開ける事が出来る。
このMG42はピストルグリップも木製で作られている。
グリップの右上の半月形のボタンは安全装置で、この状態は射撃位置を示している。
グリップの後方にあるのはラフェッテ(重機関銃として使う時の三脚架)に取り付ける時の固定具である。

機関部・トリガー部

特徴のあるコッキングハンドルが見えるが、MG34のコッキングハンドルが水平に取り付けられていたのに対し、このタイプでは垂 直方向に付けられている。MG42でも初期には指に合わせてくぼみのある板状のコッキングハンドルが水平に付けられていた。

機関部・トリガー部

上の話の続きになるが、おそらくコッキングハンドルは水平に付いたタイプより、この形の方が邪魔にならないというのが理由だろ う。
トリガーハウジングも注意して見ると鋼板プレス製であるのが解る。

またトリガー部分の手前に排キョウ口のカバーが見えている。
グリップの上の方に出っ張ったボタンが見えるが、セーフティボタンである。
こちら側が出っ張っているのは射撃位置で、これを押せば安全位置になる。

バットストックと取付部

このバットストックは木製だがベークライト製の物も生産されていた。
バットストックはその下側にあるロックレバーを押しながら半回転させるだけで簡単に脱着する事が出来る。
この木製ストックは取付部を針金で巻き、ストックが割れないように作られている。

バットストックと取付部

バットストックを外した状態。
こうして見るとMG42はバットストックを外して使用している例を見かけない理由が解る。
脇に置いてあるバットストックの内部にロック機構が見える。
また、フィードカバー上にシリアルナンバー2078が見えている他、後端部のリベットが二つ並んでいる上下に僅かにキズの様に見えるの が工廠番号の刻印である。

下から見たバットストックと取付部

バットストックに丸く見えるのが脱着用ボタン。
その右にあるレバーも分解用の物である。

   
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23.Feb.1999 公開
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