今回は、MG34用の工具ポーチと、その中身を紹介する。本コンテンツを制作するにあた り、後期型ポーチを貸して下さったオータ氏に、この場であらためて感謝の意を表します。 |
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MG34には射手が携行する専用携帯工具と、その専用ポーチが用意されていた。革製もし くは人造皮革のポーチはウエストベルトに通し、右腰前面に装着された。 工具ポーチに入れて携行された工具の内容は、通常の戦闘中に使用する可能性の高い、銃身 交換時用の耐熱パッド、予備ボルト、弾帯用スタータータブ、銃口カバー、潤滑油を入れたオイラー、ジャミング解除工具、レンチ、対空サイト等、であった。 また、MG34用工具は、MG42用と共用の物と専用の物があり、耐熱パッド、弾帯用ス タータータブ、潤滑油を入れたオイラーは共用する事が出来た。 |
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これは、耐熱パッドを装着した、合成皮革(圧縮した紙)製の後期型工具ポーチである。 |
左のポーチから耐熱パッドを取り外した状態。 縦 : 185mm 横 : 154mm 厚み: 57mm |
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写真左上:ポーチの裏側。 |
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このポーチ本体の右上部(蓋の陰)には、メーカーコード”dyo”と生産年” 43”、ヴァッフェンアムト:WaA318が打刻されている。 |
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このポーチは革で作られている初期型であるが、内部の対空サイト収納部を固定していた金 具は外されている。 写真左上:耐熱パッドを外した状態。 写真上:ポーチの裏側。 写真左:ポーチの側面。 |
このポーチ本体の右上部(蓋の陰)には、上の合成皮革製と同じメーカーコードの” dyo”と生産年”42”、ヴァッフェンアムト:WaA318が打刻されている。 |
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MG34は、250発の連続射撃で銃身交換する事とされていたが、これは銃身が発射され た弾頭との摩擦熱で高温になり、ライフリングが磨耗する事を防ぐ意味がある。(鉄は通常800℃に加熱されると、強度は”0”になってしまう) これは、銃身交換時に熱い銃身を掴む耐熱パッドであるが、手を入れるための布製ループが 縫い付けられている。 |
こちら側が銃身に触れる面である。 耐熱パッドは、厚み約7mmの布製で、周囲はジグザグミシンで、また対角線には×印にステッチが入れられている。 縦約16cm、横約13cmのこのパッドは、通常工具ポーチの表側に、ポーチの蓋をとめるベルトに通して装着携行されていた。 |
熱くなった銃身を、スタータータブの先端で引き出し、耐熱パッドで掴み出して予備銃身と 交換する。 |
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射撃中にファイアリングピン:撃針等が破損した場合、ボルトを分解して修理するのでは間 に合わないので、工具ポーチには予備のボルトが1セット入れられていた。 |
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機関銃の保守手入れに使用するオイルを入れるオイル缶。オイル缶のキャップは、ノズルにチェーンで固定されている。 また、キャップには針が付けられていて、ノズルが詰らない様に工夫されている。ノズルはねじ込み式で、オイル缶本体との間には、革製の パッキング材が挟まれている。 上のオイル缶が同タイプの後期型、下は初期型であるが、末期には更に小型で簡単なオイル缶も使用された。 |
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ジャミング解除工具は、射撃中に引っかかってしまった薬莢を引き抜く時に使用する。 ジャミング解除工具は中折れ式になっていて、この画像の様に折ると、先端部が薬莢をくわ え込む構造になっている。 |
通常薬莢が引っかかった場合は、コッキングハンドルを引いて排莢するが、薬莢のリムが破 損したり、薬莢自体が変形している場合、簡易型の排莢工具では排莢出来なかった場合には、この工具を使用し、薬室内の薬莢を回したりして取り除く。 ただし、この工具は銃身を外して使用するので、急を要する場合には予備銃身と交換してか ら使用する。 |
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詰って抜けなくなった薬莢の底部に工具を当て、中折れ式のレバーを曲げると薬莢のリム部 を挟み込むので、工具自体を回転させたりして引き抜く。 |
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上のジャミング解除工具にはメーカーコードが、下の工具にはヴァッフェンアムトが打刻されている。 下のアムト刻印は鷲章の形状から初期(戦前)の物と思われるが、数字は判読出来ない。 |
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上のメーカーコード刻印のクローズアップ。 ”ghg”はZella-Mehlisにあった”Metallwarenfabrik Klett & Trapp”社のメーカーコードである。 |
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上のメーカーコードの裏側にはヴァッフェンアムトの刻印が打刻されている。 |
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”ghg”社製のジャミング解除工具に打刻されている”WaA C10”の刻印。 |
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