ここではMG34の無可動実銃を展示しています。
  
はじめに
 
MG34はMASCHINENGEWEHR34の略で34年式機関銃と いう意味である。

第一次世界大戦後のドイツ軍はベルサイユ条約で過酷な軍縮を課せられたが、かえっ て旧式の兵器を一掃する結果となり、戦訓を活かした画期的兵器を開発する下地を作る結果となった。
MG34も従来の用途別機関銃の発想を様々なアクセサリーを付け加える事で全て満たして しまうという画期的万能機関銃として開発された。
開発はラインメタル社とマウザー社で行われ1934年に制式化、1936年に実戦配備さ れた。
MG34は当時としては画期的な性能は有していたものの、生産コストが高く、高度の金属 加工技術を必要とした他、泥などの汚れにも弱いという欠点もあったが、後継のMG42が採用された後も1945年の終戦まで生産され続け、戦後も近隣諸国 等で使用され続けた。
機構的にも数々の優れた特長を持ち、その後開発された機関銃に少なからず影響を与えてお り、万能機関銃の元祖といっても過言では無いだろう。

テクニカルデータ

口    径   :7.92mm×57
作動システム :ショートリコイルオペレーテットロテイティングボルトシステム セミ/ フルオート切り替え可
給弾方法   :ベルトリンク(50発)または75発ベルトレスサドルマガジン
全    長   :1224mm
重    量   :12.1kg
銃 身 長   :629mm
サ イ ト     :フロント・ブレードタイプ/リア・Vノッチ200〜2000m エレベーションアジャストタイプ
発射速度   :600〜900発/分
  
MG34  シリアルNo128
1943年ラインメタル社製造
 
日本の銃刀法に適合させるため発射機構等は徹底的に壊されており今では単なる置物となっ ている。
写真ではスマートだが実際は結構ボリューム感がある。
殆ど鉄の塊から削り出された部品で構成されていて、工芸品の風格すら感じる。
写真では前後のサイトは倒した状態にしてある。
バットストックはベークライト製のタイプが付けられている。
真上から観たMG34
 
各部でブルーフィニッシュの色が微妙に違うのが解るだろうか。
MG34は車載機銃としてサイドカーからティーゲルUまで殆ど全ての車種で使用された。
また、1939年のポーランド戦から1945年のベルリン戦までありとあらゆる前線で使 用されていた。
下側のショット
 
こういう角度での資料は少ないので後で少しアップも紹介したい。
   
各 部 詳 細
   
銃口部・フロントサイト・ニ脚架・対空サイトマウント部
今度はフロントサイトを起こした状態にした。フロントサイトは左右の微調整が出来る様に なっている。
中央部に写っているのは対空サイトマウント部。
二脚架は畳んでこのように本体に固定できるようになっている。
リアサイト・機関部・トリガー部
リアサイトも起こした状態。
MG34はトリガーでシングル・フルオートの射撃が出来る様に作られている。トリガーの 上のくぼみに指を掛け射撃するとシングルオート、下のくぼみを絞るとフルオート射撃になる。
トリガーにE(Einzelfeuer:単発)とD(Dauerfeuer:連射)の刻 印が見える。
また、トリガーの上の丸いボタン状の物がセーフティレバーで射撃位置になっている。
バットストックと取付部
このバットストックはベークライト製だが木製の物も生産されていた。
バットストックはその下側にあるロックレバーを押しながら半回転させるだけで簡単に脱着 する事が出来る。
車載機銃では良く外されているが、狭い車内での射撃姿勢を自由にするための物と思われ る。
二脚架の詳細と固定部・スリング取付部
MG34の二脚架はその目的によって脱着出来るように作られている。
また写真のように銃口近くと機関部近くに取り付け出来るようになっている。
二脚架はスプリングで常に開いた状態になるようになっており、開く角度は写真で星形に見 える調節ノブを回す事で出来るようになっている。
二脚架は運搬移動時など不要の際はBの突起にAの穴を差し込む事で本体に固定出来る。
矢印Aの穴はもう片方の脚にも付いていて、お互いが開こうとするため、解除操作をしない 限り簡単には外れる事は無いが、解除も両方の脚の外側の突起を同時に押しながら引き上げるだけという簡単な操作である。
スリングは小銃用の物とは異なり長さを調整する事は出来ないが、重さの関係上かなり丈夫 な作りになっている。
本体に固定された二脚架
運搬移動時はこのように二脚架は本体に固定する事が出来た。
機関部下側及び二脚架取付部
Aは二脚架の外れ止めの板バネで、同様の物が銃口部近くの二脚架取付部にも付けられてい る。
Bは排キョウ部のダストカバーで、トリガーに軽く触れると自動的に開く機構になってい る。
MG34は寒さや泥などの汚れで作動不良を起こしやすかったというのも解る様な精密な機 構である。
バットストックの取付部分
矢印は、先にも述べたバックストックのロックレバーである。
バットストックは金属フレームにベークライトが被せてあり、よく見ると木質繊維の様な物 が混ぜられているようである。
またグリップの部分にスリングが付けられているのに注目してもらいたい。
  
通常分解:フィールドストリップ
  
フィールドストリップ
特殊な工具を使うこと無く此処までは分解出来る。
写真左上より・バレル(銃身)・バレルケース・フラッシュハイダー・リコイルブースター (発射速度を調整)・バイポット(二脚架)・フィードカバー・コッキングハンドル・ボルト・スプリングキャッチ・レシーバー&トリガーハウジング・フィー ドトレイ・バットストック・リコイルスプリング(半分程度に切断されている)・ベルトリンク&ブレット(50発)
  
サ イ ト
  
写真左:通常のサイトでVノッチリアサイトは200m より2000mまで100m刻みに照準を調節する事が出来る。横風調整機構は無いが連射の場合はさほど問題は無いと考えられる。照準線はバレルからかなり 上にあるため照準はしやすく正確である。
写真右:対空サイト、低空で飛来したレシプロ機を射撃する時のサイトで前方サイトは脱着 式になっている。後方のサイトも通常はリアサイトの中に折り畳まれている。
対空サイト詳細
写真左が脱着式対空フロントサイト
通常は工具ポーチに収納され携行される。

写真右:対空リアサイト、通常は矢印のように折り畳まれている。

   
   
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23.Jan.1999 公開
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