ここではドイツ空軍降下猟兵中尉の勤務服の展示をしています。
   
はじめに
 
今回は、当HPの雑記帖や掲示板等で御馴染みの08/15さんのコレクションの中から素 晴らしいコンディションのドイツ空軍の将校用勤務服を紹介する。
    
 
空軍降下猟兵中尉の勤務服

これは典型的なドイツ空軍の将校用勤務服である。
この服は下にシャツを着てネクタイをする様に定められていたが、騎士十字章の受賞者はネ クタイをしなくても良いとされていた。(ただしネクタイを着用していた方が騎士十字章が目だったので、ネクタイ着用者は多かった様である。)
こうして見ると、開襟専用に作られた襟や、内側に傾いて付けられたポケット、ストレート なポケットの雨蓋、袖口の折り返しなど教科書通りと言った感じであるが、所有者は洒落者だったと見えて着丈は短めになっている。
唯一変わっている所を挙げるとすれば、右袖の折り返しの上に付けられているカフタイトル だが、これは第2降下猟兵連隊の物である。
所有者の08/15さんは?と言われているが、私は大変良い物だと思っている。
 
写真左は内装だが、この服には内ポケットがありその中に所有者の氏名が書いてある。オー ダーメイドの為、野戦服に見られる様な無粋なサイズスタンプ等は一切無い。
襟の直ぐ下にテーラーを表すタグと、左腰ポケットの内側に剣を吊るす時に使うスリットが あるのみである。
 

   
各 部 の デ ィ テ ィ ー ル
   


テーラーメイド
 
ドイツ軍将校も他の多くの国同様、被服は基本的に購入資金で支給されていた。 金額に関しては時期等によって多少異なる様であるが、一時金と毎月の維持費が支給されて おり、軍指定のクライダーカッセなどで予算に応じた様々なランクの既成品やオーダーメイドの服を揃えていた。 高級な生地を使用した物などは、軍から支給された金額では納まらなかったと言われてお り、一式揃えるにはかなり自己負担をしなければならない場合もあったそうである。 事実この勤務服は高級なトリコット生地で仕立てられており、かなり高価な物であったと思 われる。
テーラータグ
 
これは、ミュンヘンの有名なテーラー”Kuhn & Nupnau”:”クーン&ヌプナウ”のテーラータグ。
この店の仕立ては定評があり、御得意さんの中にはフォン・クライスト将軍やゼップ・ ディートリヒSS上級大将などもいた。 将校用勤務服と言っても、全てが テーラーメイドと言う訳では無く、いわゆる”吊るし”に はテーラータグが無い物もあった。
また、逆に制服に拘りを持った将校はこの様な有名店の服を誂えていたそうである。
この服の徽章類
 
将校用の徽章類も細かく見ると様々な作りの物があった。 この服の場合は襟章、肩章共に台布はイエローのフェルト製で大きさ、形共に極めて標準的 な物が付けられている。
空軍将校用国家鷲章はモール手刺繍製の物が付けられているが、これは手刺繍の為出来不出 来があるが、この服に付けられているのは、極めて出来が良い部類だと思う。 空 軍の鷲章は特に形が複雑であるせいか、中には本物と言われても、「ウーン」と唸ってし まう物もあったりする(笑)。
空軍将校用国家鷲章
 
この空軍将校用国家鷲章は初期型で、鷲の尾羽が下がった作りになっているのが特徴であ る。
ウールの台布にボール紙の芯が入れられており、胴と羽はコイルスプリング状のモールが使 われており、羽の上端部やクチバシ、ハーケンクロイツ部はそれぞれ異なるモール糸が使用されている。
また羽は一枚一枚別個に刺繍されているが、輪郭を際立たせるために継ぎ目にグレーの糸が 入れられている。 非常に丁寧な仕事がされているのが印象的な逸品だ。
襟章と肩章
 
この平行四辺形の襟章は、意外と襟の形に添っていない場合があるのだが、この服ではきち んと合わせてある。
これは決して偶然では無く、こう言った細かい点もテーラーメイドならではなのかもしれな い。
また肩章は差込み式であるが、将校用勤務服の場合はこれがスタンダードな付け方である。
厚みのある尉官用肩章を差込んであるが、極めて綺麗な仕上りになっている。
襟章:空軍飛行科中尉襟章
 
ドイツ空軍の襟章は、陸軍とは異なり具体的な階級を表すシステムが採用されており、台布 の色で兵科を表していた。
この画像の様にイエローの襟章は飛行科と降下猟兵が使用し、下士官・兵用の場合はシル バーの縁取りは無く、金属製の羽の数で階級を表した。
将校用襟章の台布はフェルト若しくは起毛したウール地が使用され、シルバーのモール刺繍 が施され、周囲にはシルバーの縁取りが施されている。


肩章:空軍飛行科中尉の肩章
 
画像は、空軍飛行科中尉の肩章であるが、これらの肩章の多くは、ボール紙の芯と肩章の外 周の形をした平たい鋼製のフレームを兵科色のフェルト、若しくはウール地で包んで作られた台布部分と、シルバーのモール紐で作られた肩章本体を組み合わせ て作られている。 肩章の右側に付けられているピプ(星章)が無いと少尉、 2個付くと大尉の肩章になる。
カフタイトル
 
グリーンのベルベットに白糸でFallschirm-JaegerRgt.2:第2降下 猟兵連隊の文字が刺繍されている。(下士官・兵用は同色のウール地に刺繍されている。)カフタイトルは入隊後訓練を終えた者に支給、若しくは購入する物な ので、このカフタイトルを付けていると言う事は降下資格章も所持している事を示している。
襟の裏地等
 
この服の襟の裏地には極めて質の良いフランネルが使われている。
野戦服なども起毛したウール地であるが、質が全く違う。
襟章は画像の様に黄色の糸で縫い付けられているが、クリーニング等の際にはモールは洗え ないので外す為か、わりと簡単な付け方になっている。
また、上襟の陰になる部分にもほぼ垂直にダーツが入っているのに注目して欲しい。
勲章ループ等
 
この服の左胸ポケットの周辺には5ケ所に勲章取付け用ループが付けられている。 ポケットの上には2段のループがある が、上段はメダルバー用、(降下猟兵なので、白兵戦章と言う可能性も考えられるが、実は空軍の白兵 戦章は存在はするが実際に授与されたと言う確証が無い)下段はリボンバー用、ポケットの中心にあるのが一級鉄十字章用、両サイドのループの左が降下資格章 用、右側が国家スポーツ章若しくは戦傷章用では無いかと思われる。(これはあくまで想像である。) また、胸ポケットの右側に見えるダー ツや袖の取付け部などもテーラーメイドだけあって良い仕事がされている。
ボタンホール
 
この服のボタンホールは「眠り穴型手縫いボタンホール」と言ってドイツではテーラーメイドものには多用されている。  これは「はと目」即ち「キーホール」の頭の丸い部分がなく「眠った目」状態に見えるボタンホールで、日本では紳士服用にはほとんど見ら れない型であるが、このへんがドイツ(欧州)独特なのか?。  また官給品とは逆にテーラーメイドの被服でミシン縫いボタン ホールの物は極、稀の様である。
20.5mmのボタン
 
将校用勤務服のボタンは、通常の野戦服に使われるボタンより若干大きい20.5mmのボタンが使われる事が多かった。
この勤務服のボタンもその20.5mmのボタンが使われており、ボタンの裏側には20 1/2の刻印が打刻されている。
ただし、肩章のボタンに関しては逆に小さいボタンが付けられる事が多く、この服でも肩章用には直径16mmのボタンが使用されている。
袖口
 
これも将校用勤務服の大きな特徴である袖口の折り返しであるが、これは元々は命令書などの書類を入れるポケット代わりだったと言われて いる。
これは胸や腰のポケットが一般的でなかった頃からあった様で、実際出し入れも楽な上に意外と書類がしわにならない。
内ポケット
 
この服では左胸に内ポケットが設けられている。
内ポケットはこの様な縦型の物の他に、横型の物もあった。
内ポケットは斜め下方に深く、身分証明書等を入れるのに充分な大きさがある。
この内ポケットの内装には黒いレーヨン生地が使われており、内ポケットの中にはテーラー名がプリントされ、所有者の氏名等を書き込む事 が出来るオイルタグが縫い付けられている。
ネームタグ
 
この画像は、テーラー名の入ったネームタグで所有者の氏名や製造年月日などを書き込む様になっている。やはり将校のオーダー服にはこれ が無くては寂しい。氏名は判読出来ないが、最初にLtn(少尉)と書いてあり、この服を作った時点(1941年5月11日)では持ち主が少尉であった事が わかる。
以上の事から襟章は交換、肩章のピプは後から追加された事になる。
    
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24.Jan.2001 公開
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