このページでは、武装親衛隊の41年型突撃砲搭乗服を紹 介します。
   
引き続き、武装親衛隊用突撃砲搭乗服を紹介します。
    
襟の裏側等

この服では襟の裏側にも服本体と同じ生地が使われている。
襟の裏側に見えている糸は襟のホック金具の取り付け糸で、上襟と下襟の接点に見えている のは上襟の取り付けを補強するための物である。
こうして見ると、この服が殆ど日焼けをしておらず、保存状態が良好である事がわかる。

ベルトフック金具取り付け部

ちょっと見えにくいが、突撃砲搭乗服もベルトフックが付けられる様に作られている。位置としては脇の下にある前後の布地の接合部 で、野戦服の様なホールはあけられていないが、フック金具を出すスリットが設けられている。具体的な取り付け方法は裏側を見ないと理解出来ないので後程詳 しく見る事にして、もう少し拡大した画像を見て貰う事にする。

ベルトフック金具取り付け部
 
ベルトフック金具の取り付け部のアップ。
こちらの画像の方が取る付け部分のスリットの様子がわかりやすい。画像右の縦線は服のダーツで、左側が前後の布地の接合部である。接合 部の両脇に見える縫い目が接合部の裏地兼ベルトフック取り付け部を縫い付けている糸で、水平に4本並んだステッチの間からベルトフックを出す様になってい る。
画像中央よりやや上に見える水平の2本のステッチはウエスト絞り部を縫いつけた糸である。
ベルトフック金具取り付け部

ベルトフック金具取り付け部を裏側から見ると、この様になっている。吊り下げ部のパーツは脇の下からつながっていて、前後の生地 のつなぎ目をカバーすると同時に局所的に力がかからない様に工夫されている。また画像を見るとわかる様に、SSの戦車・突撃砲搭乗服でも陸軍型同様ウエス トを絞る事が出来る様に作られている。通常の野戦服では36年型の初期までは同様のウエスト絞りが付けられていたが、36年型でも後半の物では省かれた。

袖口
 
袖口は通常の野戦服同様に2個のボタンで太さを調節出来る様に作られている。この服では 金属プレス製の小型ボタンが付けられていて、ボタンホールの付いた裏地は服の裏地と同じヘリンボーンの生地が使われている。またうっすらとカフタイトルが 付けられていた跡が見えているのがわかるだろうか?。
内装等
 
SSの戦車・突撃砲搭乗服は残存数も少なく、内装に関する資料もあまり無いが、この突撃 砲搭乗服は、陸軍型同様に右側の裏にも内ポケットが付いていた。この服は良く見ると着用痕跡があるが、ウエスト絞りなどは全く使用した痕跡が無い。これは 陸軍の物も含め、多くの戦車・突撃砲搭乗服に共通している。一般的にはSSの官給野戦服は陸軍の物に比べると内装等が簡単な物が多い傾向にあるが、戦車・ 突撃砲搭乗服に関しては、陸軍の物自体が簡単な裏地しか付けられていないので殆ど差を感じない。
内装等
 
これは左前身ごろの裏側だが、ダブルの内側のボタンを留める為のホールが付けられたフ ラップ状の布が興味深い。画像処理の段階で服地の色がバラバラになってしまったが、実際には上の画像よりはこの画像の様に青味が強いストーングレーの方が 実際の雰囲気に近い。この生地はSS特有の質のあまり良く無いウールだが、1941年頃から1943年頃までの服に良く使用されていたようだ。(イタリア 生地に色が似ているが別物である。)
   
SS下士官・兵用突撃砲搭乗服
   
SS下士官・兵用突撃砲搭乗服
 
この突撃砲搭乗服は1944年製で、先に紹介した搭乗服とは使用している生地が異なる他にボタンや袖口の作りも若干異なっている。
使用されている生地は茶色味を帯びたフィールドグレー44のドイツ生地で43年型野戦服などに良く使われている物である。基本的なカッ トに左程相違点は無いものの、こちらの服は着丈と袖丈の差が大きく、当時の写真で良く見られる典型的なSS型の突撃砲搭乗服である。階級はSS兵長で、左 袖に階級袖章が付けられている他、第二ボタンのホールには東部戦線従軍記章(1941〜1942)のリボンが付けられている。また、この服にはカフタイト ルが付けられていないが、着用者が1941年から1942年の冬に東部戦線に従軍したSS師団のいづれかに所属していたとすると、かなりの古参だった事に なる。胸には勲章用ループが一つ付いているが、何を付けていたのかのかは不明。
SS下士官・兵用突撃砲搭乗服
 
この画像は第一ボタンまで留めた状態を示す物だが、前ページの搭乗服よりもスリムな服なので、この様にボディに着せていない状態でも随 分印象が異なっている。写真にには第三ボタンが写っているが、丁度そのあたりから下襟が膨らんだ感じのカットになっているのがわかるだろうか?。SSの戦 車・突撃砲搭乗服は下襟の形状にバリエーションが存在している事は、当時の写真からも確認されているが、この服も前ページの搭乗服と同じカットの襟になっ ている。スタンプから前ページの物とは製造年や工場は異なると思われるが、襟のバリエーションが存在する理由が益々謎に思えてしまう。
SS下士官・兵用突撃砲搭乗服
 
背面に関しても、前ページの物と同じ作りであるのでキャプションは省略する。
SS下士官・兵用突撃砲搭乗服
 
徽章類は後で細かく紹介するが、大変良い物が付いており、使用痕跡があるものの大変良い コンディションの服と合わせて非常に良いアイテムである。
軍装品のコレクターの中には、野戦装備類であっても全く使用痕跡の無いデッドストックを 好む人や、ある程度使用痕跡がある物を好む人、またかなり使い込まれた物を好んだり、更にはバトルダメージがある物を好む人など、様々なタイプの人がいる が、実際には価格も含めてこの服の様に使用痕跡があるにもかかわらずコンィションの良い物が最も入手が難しい様に思われる。これはあくまで好みの範疇では あるが、デッドストックの場合は徽章類が服とマッチしているかの確認が難しいのに比べ、使用痕跡があるにもかかわらず、コンディションが良い服と言うの は、独特の迫力がある事にも関係ある様に思われる。勿論使用痕跡がある服には、破損個所がある物も多くあり、デッドストックには当時の姿を知る事が出来る と言う意味での資料価値があるので、決してデッドストックを下に見ている訳では無いが、こう言った迫力のある服は機会があったら是非直に御自分の目で見る 事をお奨めしたい。
この服の徽章
 
付けられている徽章類は服の製造年から考えても文句の付け様の無い物ばかりで、これだけでも価値がある。特に襟章は現在左右ペアで入手 する事が難しいBEVOタイプが付けられていて目を引く。
袖のSS用国家鷲章も同じくBEVOタイプが付けられており、階級袖章も良く見るイエロータンのトレッセを使った物では無いのが好感が 持てる。
BEVOタイプの襟章等
 
BEVOタイプの襟章は1943年頃に使われ始めたと思われる物で、レーヨン糸の機械織りで作られており、他の襟章よりも薄いのが特徴 である。この襟章は若干汚れているが、服のコンディションにはマッチしていてかえって迫力がある。また、肩章はSS砲兵科の兵用であるが、後で紹介する様 に末期型と言われているタイプである。
BEVOタイプの襟章
 
これは階級章の方で、センターに黒いラインを織り込んだアルミシルバーのラインが2本入っているのでSS兵長である事を示している。実 は、このBEVOタイプの襟章のこちら側(階級章側)は残存数が少なく、この様にきちんとした物が付けられているのは珍しい。SSのルーン文字が織り込ま れている方は未使用品が現在でも結構流通しているが、これは戦勝国の軍隊が大量に持ち帰った為と言われている。階級章側はラインが無いと只の黒い徽章なの で戦利品としての価値が無かったのだろう。
襟の裏側等

この服では襟の裏側にも服本体と同じ生地が使われている。前ページの服同様こちら の服もあまり日焼けはしておらず、保存状態は良好である。余談であるが、博物館などに長期間展示されていた服は決まった方向から紫外線が当たっている事が 多いため、服の面によって色が異なってしまっているケースがある。画像ではわかりにくいが、この襟章は初付けと言って生産された時点で付けられた物であ る。

脱着式肩章
 
この服の肩章も、通常の野戦タイプの服同様、肩章は脱着式になっている。
画像は肩章を服に付けられているループに通し、肩章用ボタンに肩章の裏側のタブを留めた 状態である。あとは肩章本体をボタンに留めれば上の画像の様に肩章の取り付けが完了する。
   
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05.Dec.2000 公開
31.Jan.2001 改訂
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