このページでは、武装SS将官の戦車搭乗服を紹介しま す。
   
はじめに
 
今回は、武装SS将官の戦車搭乗服を紹介します。本コンテンツを制作するにあたり、貴重 なコレクションを取材させて下さった菊地 晟氏にこの場で感謝の意を表します。
    
SS将官用戦車搭乗服
 
この戦車搭乗服は、いわゆるオーダーメイドの服で、官給の戦車搭乗服とは全く異なった作りとなっている。
 
オーナーの菊池氏によると、終戦時にミュンヘンのテーラーにあった服との事で、納品前の服、もしくは戦後に余ったパーツで作られた服の 可能性もあるとの事であるが、これが納品前の服だとすれば、階級からすると師団長クラスの将官用戦車搭乗服である。
 
前合わせはSS独特の垂直なカットとなっているが、襟のカット等は官給の戦車搭乗服とはあきらかに異なっている。
SS将官用戦車搭乗服の内装

内装はいわゆるヘムト(シャツ)の生地で作られており、背中もSSの官給戦車搭乗服とは異なり、2枚の生地を縫い合わせて作って ある。

   
各部のディティール
   
襟のカット等

この服は開襟着用を前提に作られており、下襟にはボタンホールも付けられていない。
 
上襟も下襟もすっきりとしたカットが印象的である。

襟章と肩章

SS将官の徽章は陸軍と異なり襟章だけでも階級がわかるシステムが採用されており、左右シンメトリーの襟章と肩章のどちらかだけ でも階級を特定出来る様になっていた。 
  
襟章の模様のモチーフはドイツの国樹であるオークの葉で、3枚は将官を表している。 
 
肩章の台布も武装SS将官の場合は白のウール地となっている。

SS少将用襟章
 
これは1942年4月〜1945年5月まで使用された、SS少将用後期型襟章である。 
  
オークの葉が初期型に比べ直線的なデザインに変更されているのに注意。 
  
この襟章も黒のベルベットの台布に、アルミシルバーのモール糸で手刺繍されている。 
武装SS少将用脱着式肩章
  
これは脱着式肩章で、主に洗濯回数の多いシャツや野戦服系衣料に使われる事が多かった。 
 
モールはツェロン製の様で、変退色していない。
SS少将用脱着式肩章
 
戦車搭乗服は勤務服等と比べると、野戦服に近い存在なので、肩章は差込み式では無く、脱 着式を付けているのかもしれない。
SS将官の国家鷲章
  
SS将官の国家鷲章では極稀な例外を除き、一般的な将校用国家鷲章を使用していた。 
  
この国家鷲章は、羽や胴が細身に作られているのが特徴的である。
ディティール

前述の様に、この服は開襟着用を前提に作られているので、正面のダーツの入れ方が官給タイプの戦車搭乗服とは異なっている。
 
官給タイプでは正面のダーツは、上襟と下襟の接点から垂直に下方に入れられている。
 

ディティール

上襟の裏側は共生地で作られており、上襟の縁には、アルミシルバーのモールが付けられている。
 
これは尉官クラスのSS将校用戦車搭乗服にも付けられているケースが確認されている。

ディティール

前合わせ部のボタンは黒の樹脂製であるが、通常の戦車搭乗服の物よりも大きな物が使用されている。
 
また前述の様に、この戦車搭乗服は開襟着用を前提として作られているので、前合わせ部のボタンは下方の4個のみとなっている。
 
右前身ごろの下端部に見えるループは、前合わせのボタンを掛けるための物だが、これも官給の戦車搭乗服とは異なった作りである。

ディティール

下襟をこの様にすると、官給戦車搭乗服とカットが全く違う事がはっきりわかる。
 
前身ごろの小さい方のボタンを、左前身ごろに付けた事で、着用した際にボタンのゴロゴロした感じがしない。
 
やはり将官用と言う事で、外観や着心地を重視したのであろう。

ディティール

袖の縫い目も官給タイプとは異なり、表側にステッチは見えない。
 
袖自体の作りは、ダブルカフになってはいないが、将校用勤務服に近いと言える。

ディティール

袖口には黒の樹脂製ボタンが付けられているが、ボタンは一つなので、通常の野戦服の様に袖口を絞ることは出来ない。
 
ボタンの付けられている側も、裏地で巻き込んであり、官給タイプより丁寧な作りとなっている。
 
この部分の裏地もヘムトの生地が使われている。

内装等

左前身ごろの裏側には、内ポケットが付けられているが、オーダーメイドの服の為、サイズスタンプ等は一切押されていない。
 
また、この服にはテーラータグや、ネームタグも付けられていない。

内装等

上の画像より下部を写したショット。
 
前合わせの隠しボタンのホールも、眠り穴型手縫いボタンホールで、いかにもオーダー服らしい。
 
ダブルの内側の小さいボタンが、下端部に付けられているのも官給タイプとは異なっている。

内装等

ダブルの内側の小さいボタンは、この布製ループでとめる様に作られている。

    
   
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31.May.2002 公開
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