ここでは、陸軍の戦車搭乗服の展示をしてい ます。
   
はじめに

ドイツの戦車部隊には様々な被服が支給されたが、何か一つを選べと言われれば、や はりこの黒の戦車搭乗服ではないだろうか。この服が黒のウールで作られた理由については、エリート部隊にふさわしいデザインとして、と言う説と、戦車の機 械油等の汚れが目立たない様にとの説があるが、いずれにしても大変インパクトの強い服であることに変わりは無く、多くの軍装コレクターを魅了し続けてい る。

   
陸軍装甲科中尉戦車搭乗服2号
   
戦車搭乗服2号後期型

1934年に装甲部隊用被服として、最初の戦車搭乗服が採用された。これは、開襟の着用のみのデザインで、戦車搭乗服1号と分類 されている。
1936年に戦車搭乗服2号が採用になった。
この1936年に採用された戦車搭乗服はまだ襟にローズピンクの縁取りが付けられていたが、1939年にその縁取りは廃止された。この 縁取りの廃止時期に付いては1942年頃としている資料もあるが、これは間違いである。
ただしそれまでに生産された服は支給され続け、テーラーメードの戦車搭乗服の多くにもローズピンクの縁取りは付けられていた。

戦車搭乗服2号後期型
 
上の搭乗服にウエストベルトと戦功章等を加え、前合わせのボタンを一個外した状態。
この写真の服は、戦後ロシアの映画会社が保有していたと言う物の中の一着で、肩章の虫食いを除けばかなり保存状態が良い。
戦後約半世紀の月日が流れ、もう悪役ドイツ軍の衣装も必要が無くなり放出した物で、内装に衣装の管理の為と思われる数字などが書き込ま れている。
これもある意味では歴史を感じさせる事実であると言えよう。
戦車搭乗服2号後期型
 
陸軍型の戦車搭乗服は背中も二枚の生地で構成されている。写真ではよく見えないかもしれないが、内装にあるウエスト調整紐のミシン目が 見える。
またベルトフックを出すスリットも両サイドにあるが、通常の野戦服の様に穴にはなっていない。
ウエスト部にもダーツが取ってあり、かなりスタイルを意識した服である事がわかる。
なお、この服の肩章は脱着式にはなっていないが、狭い車内で引っかかる事もあったので、このような取り付け方をした兵も多かった。
 
戦車搭乗服の内装

この搭乗服の裏地はコットンで、左右に内ポケットが付けられている。右胸の内ポケットは上から、左の内ポケットは斜め上から使え るように取り付けられている。
左右の黒い紐はウエストを絞る為の物だが、この服では使われていなかったようだ。
脇の下から下がって見えるのは、ベルトフック金具取り付け部分。

第一ボタンを留めた状態

襟のホックを止め、第一ボタンまで止めた時の戦車搭乗服。
 
記録写真では少ないが、防寒と言う意味に於いてはこの着用方法の方が優れていただろう。

この服の徽章類
 
黒のウールの服に、ローズピンクの兵科色は鮮やかである。
独特の襟章は戦車兵のシンボルで、二等兵から大佐までが着用しており、階級は表していない。
襟章
 
装甲科の兵科色ローズピンクで縁取られた襟章の中央には、装甲科のシンボルとして使われた髑髏章が付けられている。
この髑髏章にも形状と材質のバリエーションが存在するが、それはまた改めて紹介したい。
肩章
 
陸軍装甲科中尉の肩章。
野戦タイプの肩章で、差込み式である。
国家鷲章
 
この服には、1936年タイプの陸軍装甲科下士官兵用国家鷲章が付けられている。将校用の搭乗服でも、官給服にはこの下士官兵用国家鷲 章が付けられているケースがある。
襟の裏地等
 
戦車搭乗服の襟の裏側は、この様に共生地で作られている物が多い。
また、戦車搭乗服の襟章はドクロの付いていない状態で取り付けられ、ドクロ章は後から取り付けられた為ツメが襟の裏に出ている。
ボタンの配置

戦車搭乗服の前ボタンは、下4ヶが隠しボタンになっている。
これもまた、車内及び出入りの際に引っかかる事を避ける為のデザインである。
ボタンは黒のプラスチック製で下4ヶが直径は21mm、上の3ケは16mmの物が付けられている。
また取付位置も、写真の様に一直線ではない。

前身ごろ
 
前身ごろは、この様に側面から見ると二重構造になっていて、ボタンが隠しボタンとなっている。
袖口
 
袖口の調節ボタンを写した物で、二段階に調節出来るようボタンが2ヶ付けてあるのがわかる。ボタンは黒のプラスチック製で直径は 15mmである。
内ポケット等
 
左前身ごろの内側に付けられた内ポケット。
こちら側のポケットは斜め上が開いた形状で、全てのボタンを外さなくても使える様に工夫されている。
この服ではロシアの映画会社の管理番号と思われるスタンプや書き込みがある。
また、この写真にはダブルの内側のボタンを掛ける布製のループも写っている。
内ポケット等
 
右前身ごろの内側に付けられた内ポケット。
こちら側の内ポケットは四角形をしており、上から物が入れられる様に作られている。
ウエスト絞り部等
 
写真中央の黒い紐が垂れ下がっているのが、ウエスト絞りである。
それとクロスする形で、ベルトフック金具取り付け部が設けられている。
製造年・サイズスタンプ
 
上から、四角に囲まれた中にBU.39最初のBはベルリンを表しており、39は製造年を意味している。
その下が、G.MANTZKEと言うメーカースタンプ。
さらにその下がサイズ表示で41 43 96 57 58 、順番に、襟から腰までの長さ・首廻り・胸囲・着丈・袖丈を表している。
  
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08.Dec.1998 公開
07.Sep.2002 全面改訂
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