44年型迷彩服上着
   
開襟の状態を示す。
第一ボタンを閉めた状態を示す。
 
43年型野戦服と44年型迷彩服

44年型迷彩服は43年型野戦服のデザインを踏襲しているということだが、こうして重ねて見るとはっきり確認出来る。写真では襟 まわりが随分違った雰囲気だが、布地の厚みや風合いの違いによる物で、裁断自体は極めて良く似ている。ちなみに、44年型迷彩服は最も標準的な綿とレーヨ ン混紡の杉綾織布製、43年型野戦服はイタリアンウール(スチールグレー)製である。このSS型の43年型野戦服に付いては、カイルホーゼ(くさび型ズボ ン)と共に別の機会に紹介する事にする。

44年型迷彩服と44年型迷彩戦車搭乗服

左の44年型迷彩服は軍装規定に反し歩兵科大尉の肩章が付けられている。しかも袖にSS国家鷲章は付けられていない。
右の44年型迷彩戦車搭乗服は徽章類は一切付けられていない。ここで注目して欲しいのは、左の迷彩服に比べてパターンがぼやけた感じが する事と、色が赤味を帯びている事である。これはこの迷彩戦車搭乗服がざっくりした方の杉綾織布で作られている為である。

   
44年型迷彩服ズボン
   
44年型迷彩ズボン

これもカイルホーゼ(楔形ズボン)のデザインを踏襲したズボンで、杉綾織リの迷彩生地で作られている。カイルホーゼは短靴と短 ゲートルの導入に伴い、ズボンの裾を絞ることが出来るように改良された物で、サスペンダーと通常のベルトとどちらも使えるようになった事も特徴である。上 で紹介した上着とは逆に写真左の正面に小さいパターンが、写真右の背面に大きい迷彩パターンの生地が使われている。また、このズボンには、細かいパーツに ざっくりした杉綾織布や綾織り布も使われており、3種類全ての生地を比較する事が出来る。

臀部の補強布及び尻ポケット

上の画像では解りにくいが、このズボンも通常のカイルホーゼと同様に尻に補強布が縫い付けられている。尻ポケットも右にのみ付け られていて、更に胴回りの左右両サイドにサイズ調整用のベルトが付けられているのも、カイルホーゼと同じである。ただし、44年型迷彩ズボンは全ての面で カイルホーゼと同一のカットという訳ではなく、カイルホーゼの方がウエストまわりが深く作られている等の違いはあり、型紙は全く別に起こした物であると思 われる。
この写真では解りにくいが、実際には尻ポケットの内装の一部と、ベルト通し、両サイドのサイズ調整ベルトには、ざっくりした杉綾織りの 迷彩生地が使われている。

 
44年型迷彩ズボンの内装他

44年型迷彩ズボンはポケットとウエストまわり、裾に裏地が付けられている以外、内装は施されていない。
このズボンでは、ポケットの袋に茶系のレーヨン、ウエストまわりに白のコットンが使用されている。ボタンはツェルトバーン等に使われて いる鉄のプレス製ボタンと黒のプラスチック製ボタンが使用されている。ベルト通し等に使われているボタンが焦げ茶色に見えるのは、このボタンが鉄製ボタン で錆びてしまっている事によるもの。また、このズボンは内装側のサスペンダー取付用ボタンが欠損している。

 
 
3種類の生地

この写真を見ると3種類の生地の違いが良く解る。
まず、ズボン本体は最も標準的な杉綾織布であるが、ポケットの内装に綾織り布が見える。綾織り布は他の生地に比べ、表面が平滑なので迷 彩パターンがはっきりしている。また、ベルト通しと懐中時計の紐をとめるループの部分(ポケットの上端、少し右に見える布製のループの事。)にざっくりし た杉綾織布が使われているのが解るだろうか。迷彩パターンが3種類の生地の中で最もぼやけた感じに見えるのがこの生地の特徴である。
これも良く見ないと解らないと思うが、写真の左のベルト通しの下方には、懐中時計用の小さい張り付けポケットが付けられている。


 
ズボンの裾

ズボンの裾は写真の様に先細りに作られており、更に紐で縛る様になっている。これは、短靴や短ゲートルからズボンの裾が出てしま わない様に作られた物であるが、見るからに頼りない紐で、足の裏(土踏まず)を通して着用すると、すぐ切れてしまいそうだ。
事実軍装規定では、この紐を足の裏を通して着用する事は禁止されていたが、多くの使用痕跡のあるカイルホーゼや同型の迷彩ズボンでは、 この紐は切れていたり、全く取り去られている事が多い。
それにしても、この紐を足の裏を通さずに足首の所で縛っただけで、果たして効果があったのかどうかは、かなり疑問である。白い裏地で補 強された部分に見えるのは、この紐を通す為のスリットで、ボタンホールの様に周囲をミシンでかがってある。糸は迷彩パターンのベースと同じ茶色の物が使用 されている。

   
   
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25.Jun.1999 公開
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