ここでは、W−SSの1型迷彩スモック・Cパターンを紹 介しています。
   
前ページに続き各迷彩スモックのディティールを紹介するが、細かい部分を見ると同じ1型迷彩スモックでも微妙に作りが異なって いて興味が尽きない。迷彩スモックには製造年や工場を特定するスタンプなどが無いので体系的な研究は難しいが、こうしてコンディションの良いアイテムを複 数観る事は色々な発見がある。
   
迷彩スモック1型、Cパターン
   
 
ディティール
 
1型迷彩スモックの特徴としては、襟廻りにゴムが入れられている事と、前の合わせに防風 フラップが付けられている事があげられる。
これは当初迷彩スモックが防寒衣料の役割を重視して作られた可能性を感じさせる。
2型以降のスモックではこの襟廻りのゴムと防風フラップは省略されるが、夏場でも着る事 を意識した改良が加えられているのが面白い。
これは生産性の問題で省かれたのでは無く、迷彩スモックの目的自体が見直された結果であ ると思われる。
ディティール
 
1型迷彩スモックでは、前の合わせ部分の作りも補強布が春夏側に付けられている。
2型以降はフラップは廃止され、補強布は原則として秋側に付けられる様になっている。
また、この迷彩スモックでは防風フラップの取り付けの縫い目が右側に見えるが、左側に付 けられている物もある。
この様な細かいバリエーションは生産工場による物なのか、はたまた正規の規定による物な のかはわかっていない。
ディティール
 
1型迷彩スモックと2型迷彩スモックには、中に着た野戦服のポケットに手を入れられる様にスリットが設けられている。しかし、残存する スモックの多くはこの部分が裂けてしまっている事を見ると、これはあまり良い設計では無かった様だ。このスリットはかなり大きめには作られているが、ウエ ストベルトをしている状態では確かに野戦服の腰ポケットに手を入れるのに無理があり、3型迷彩スモックでは腰にポケットが設けられたのもうなづける。当時 の写真でスモックの裾をたくし上げて着用している物を見かけるが、流行と言うよりは野戦服のポケットが有効に使える様にする為の工夫だったのではないだろ うか。
ディティール
 
防風フラップは秋側に付けられているが、フラップを留める機構は一切無い。もしも防寒と言う観点で付けるのなら、秋側での着用が多いと 思われるが、そうだとしたら内側(春夏側)に付けられていた方がめくれる事も無く効果的な感じがする。ま た、脇のスリットの補強布は完全に柄合わせはされていないものの、それなりに迷彩パターンの似ている個所を選んで使用している様で、作り自体が丁寧な感じ がある。
なお、余談であるが、迷彩スモックの前合わせ部には専用の紐が用意されていたが、切れて しまうと靴紐などで代用する事が良くあった様である。このスモックもオリジナルの紐は短く切れてしまっていたので撮影用に革製の靴紐を使用している。
ディティール
 
ウエストのゴムを入れる部分は、画像の様に春夏側に帯状の迷彩布が縫い付けられている。
脇の縫い目の部分にスリットが見えるが、これはゴムを交換する為にあけられた物と思われ る。
ただしこのスモックではゴムを交換する時に秋側に穴をあけてゴムを通してしまっている。
2型以降のスモックのゴムが前後でセパレートになっているのと異なっているが興味深い。
ディティール
 
上の2枚はスモックの裾を写した物だが、既に何回か述べている様にSSの迷彩衣料の多くが春夏側を表として生産されているいるのに対 し、この1型スモックは秋側が表の作りになっているのが興味深い。
また、左の写真でわかる様に1型迷彩スモックの特徴として、2型以降のスモックに設けられている脇の下の通気スリットが無い事があげら れる。
これらは先に書いた様に防寒衣料としての目的があった事とも関係があるだろう。
ディティール
 
上の2枚と左の写真は、この迷彩スモックの袖口の画像であるが、袖口には迷彩布の端部が使われている。これは生地の端部はほつれ難い事 を利用した物であるが、上の写真を見るとわかる様に、一部ほつれが確認出来る。
2型以降の迷彩スモックの多くはこの部分を折り返して縫っており、これも初期のスモック特徴と言えるかと思う。
また、袖口のゴムを入れる部分も帯状の布を縫い付けるのでは無く、ゴムを入れる部分を境に2ピースに別れている。画像ではわかりにくい がゴムは交換出来る様スリットが設けられている。
ディティール
 
このスモックの迷彩プリントを見ると、随所に白っぽい部分が見られるが、これはプリントに使用したローラーに対して垂直に入っていると 考えるのが自然だろう。
これは迷彩の原反を見れば簡単にわかる事ではあるが、実際には原反を見なくてもこう言ったアイテムの観察から事実は見えてくる。
原反巾について
 
このスモックでは秋側の袖のつなぎ目に原反の末端部が確認出来る。
これで、このスモックに使われた迷彩布の原反巾が130cmである事が確認出来た。
また袖のつなぎ目はダブルロックされているが、これは春夏側を見ると縫い目は1本で、ダブルロックミシンを使って縫われていないのが面 白い。
補修痕跡
 
このスモックの両脇のスリットは下側が両方共裂けており、三角形の布が縫い付けられていた痕跡が残っている。
これは当時、色柄等を無視した布で補修した物を戦後に剥がしたのではないかと思われる。
当時の兵にとっては実用性が第一だったが、コレクターにとっては余分なパーツは無い方が望ましかったのかもしれない。
またこのスモックのスリットのフラップは春夏側が表の作りになっている様であるが、これは1型スモック全てに共通する特徴では無い。
    
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10.Jan.2001 公開
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