ここでは武装親衛隊の使用した迷彩パターンについての展示をしています。
   
はじめに
 
現在の各国軍隊に於いて、迷彩服は特別な存在では無いが、一般的に大量に支給し実戦投入 したのはなんと正規軍では無く、第二次世界大戦中の武装親衛隊が初めてである。しかも、その迷彩パターンの完成度は極めて高く、戦後の各国迷彩服に少なか らぬ影響を与えたと言っても決して過言では無いだろう。
本稿では、その武装親衛隊の迷彩パターンを海外の研究者等の分類に従って(迷彩の分類及 び名称は当時の正式な物では無いと言う意味)各々観察し、私なりに納得のいった形で解説してみようと思う。
SSの迷彩
 
SSで独自の迷彩装備の開発がはじめられたのは1935年の事で、当初はSS長官幕僚本 部でその概略が決められていたが、準備段階で担当者が急死したため実際の研究はオットー・シック教授が引き継ぐ事となった。迷彩装備の実践的実験をするた めに当時まだSSVTであった「ドイチュラント連隊」の第4大隊が選ばれブラントSS大尉とエッケSS中尉がこの開発計画に参加し、1936年12月から 1937年1月までテストが行われ、良好な結果を出す事に成功した。そして1937年1月にはヒムラーSS長官により各部隊へ迷彩ツェルトバーンの支給が 決定され、迷彩装備は特許を申請する事になった。1937年末には迷彩スモックも開発され、翌1938年には「ドイチュラント連隊」をはじめ、各SSVT への支給が開始されたのである。この迷彩スモックこそ世界初の規格型迷彩服で、以後終戦までSSの兵士に使用され続けるのである。しかし、この時点で開発 された迷彩パターンは全てをスクリーンプリントで行う手作業で生産されていたため、生産性には問題があり、本格的な大量生産が可能になったのは1940年 の6月にローラープリントによるAパターン、40〜41年に開発された手作業及びローラープリントにより生産されたBパターン、ローラープリントのみで生 産されたC・D・Eパターンが開発されてからの事となる。各装備や被服についてはそれぞれのコンテンツで改めて説明するが、まずは代表的なパターンを見て みることにしよう。
   
主 な 迷 彩 パ タ ー ン
   
すずかけの樹(A)パターン:版板による手作業・迷彩番号1〜6
 
生産時期1936年〜1944年・使用例:ツェルトバーン1型2型・ヘルメットカバー1型2型・スモック1型2型3型・迷彩帽・顔面偽 装具・最も初期から生産された迷彩パターンの一つで、写真は迷彩番号5の春夏側。パターン内にリピートは無く、使用されている3色全てが手作業でプリント された。
すずかけの樹(A)パターン:ローラープリント・迷彩番号1〜6
 
生産時期1940年〜1944年・使用例:ツェルトバーン1型2型・ヘルメットカバー1型2型・スモック1型2型3型・迷彩帽・顔面偽 装具・上記のパターンの生産性が悪かった為にローラープリントで生産した改良型、基本的にパターンは同じだが迷彩番号の数字が無い物がある。写真は迷彩番 号6番の秋冬側。
すずかけの樹(B)パターン:版板による手作業・迷彩番号1〜6
 
生産時期1940年〜1944年・使用例:ツェルトバーン1型2型・ヘルメットカバー1型2型・スモック1型2型3型・迷彩帽・戦車兵 オーバーオールベースの明るい色のパターンのみローラープリントにして生産性を向上させたパターンで暗い色の部分は手作業で生産された。 写真は迷彩番号3番の春夏側。
すずかけの樹(B)パターン:版板による手作業・迷彩番号1〜6
 
上のパターンの秋冬側。本来は暗い色もローラープリントに変更されたパターンがあるのだが、残念ながらサンプルが今回は入手出来なかっ た。これら「すずかけの樹」パターンはツェルトバーンでテントを作ったとき、隣のパターンと暗い色の模様がつながる様に作られている。
しゅろの樹(C)パターン:ローラープリント
 
生産時期1940年〜1942年・使用例:ヘルメットカバー1型・スモック1型2型・迷彩帽・このパターンから完全にローラープリント での生産に変わっているが、何故かツェルトバーンには使用されなかった。かなりはっきりとした葉の表現が印象的なパターンだが、生産時期も短かく、使用ア イテムも少なかった。 
しゅろの樹(C)パターン:ローラープリント
 
上のパターンの秋冬側。この様な葉の表現は生地の両サイドにプリントされているため、スモックの場合は肩から袖にかけて現れる。どちら にしてもかなり地域性を考慮したパターンであるが、このパターン以降その様な物は採用されなかった。
縁取り(D)パターン:ローラープリント
 
生産時期1940年〜1945年・使用例:ツェルトバーン1型2型・ヘルメットカバー1型2型・スモック2型3型・迷彩帽・アノラッ ク・フード・手袋・杉綾織布製3型スモック・縁取りがぼやけた感じのパターンで数種類のバリエーションが存在する。この画像は杉綾織布にプリントされた春 夏側で迷彩スモックに使用されている。
縁取り(D)パターン:ローラープリント
 
上のパターンの秋冬側。このパターンから杉綾織布にもプリントされているが、迷彩効果を優先した被服という発想の転換があった物と考え られる。またこの迷彩パターンが後のライバーマイスターパターン(対赤外線暗視装置も視野に入れた新型迷彩)に進化していったと考えられている。
柏の葉A(E)パターン:ローラープリント
 
生産時期1940年〜1945年・使用例:ツェルトバーン1型2型3型・ヘルメットカバー1型2型・スモック2型3型・迷彩帽・戦車兵 オーバーオール・アノラック・フード・手袋・杉綾織布製3型スモック・戦車搭乗服・野戦服・最もスタンダードな迷彩パターンで生産量も多くバリエーション も多い。画像は春夏側。
柏の葉A(E)パターン:ローラープリント
 
上のパターンの秋冬側。このパターンもローラープリントで作られていて、生産性も良く最も多くのアイテムに使用された。迷彩アノラック などの被服では片面のみプリントされた生地が使用された他、1943年より生地不足から幅の狭い帆布にもプリントされた(ツェルトバーン3型等に使用)。
柏の葉A(E)パターン:ローラープリント
 
上のパターンの色違いのバリエーション。実際にはかなりの色違いのバリエーションが存在するが、上のパターンとかなりイメージが異なる 事がわかる。またパターン自体も輪郭が角張ったバリエーションも作られていた。画像は春夏側。
柏の葉A(E)パターン:ローラープリント
 
上のパターンの秋冬側だが、デッドストックのツェルトバーンとはいえ、かなり濃いオレンジ色が印象的である。
これらのパターンのリピートは概ね45cmで(布の伸び縮みの関係で多少の誤差がある)直径約15cmのローラーでプリントされていた 事がわかる。
柏の葉B(F)パターン:ローラープリント
 
生産時期1942年頃〜1945年・使用例:ツェルトバーン2型3型・ヘルメットカバー2型・スモック3型・アノラック・フード・手 袋・杉綾織布製3型スモック・戦車搭乗服・野戦服・デザイン的には上のEパターンのバリエーションという見方も出来るが、通例に従って柏の葉B(F)パ ターンと分類しておく。
柏の葉B(F)パターン:ローラープリント
 
上のパターンの秋冬側だが、生地などの違いで結構異なった印象の物が存在する。このデザインを最後にリバーシブルの迷彩パターンから片 面迷彩に移行するが、その理由は野戦服自体を迷彩生地で作るという事が主な物であったと考えられる。
ドット(エンドウ豆)パターン:ローラープリント
 
生産時期1944年頃〜1945年・使用例:野戦服・戦車搭乗服・アノラック・フード・手袋・この迷彩パターンの最大の特徴はリバーシ ブルで無い事だろう。また、5色の染料が使用されており、一般には市街戦を視野に入れてデザインされたと言われている。パターン自体は一種類だが色のバリ エーションは存在する。 
ドット(エンドウ豆)パターン:ローラープリント
 
上のパターンと同一の物であるが、パターン自体が水平方向に大きい柄から小さい柄へ変化しているため、被服にした場合かなり変化に富ん だ物が出来るようデザインされている。また、今までの通常の野戦服の上に着用する発想から、迷彩生地で野戦服を作るという物に変化している事も興味深い。
ライバー迷彩:ローラープリント
 
生産時期1945年・使用例:野戦服・アノラック・迷彩帽・このパターンをSSの迷彩パターンとするのは問題もあるかと思うが、現在知 られている限り、これが最後に採用生産されたパターンである。残存数も少なく、当時の写真も公開されていないので不明な点が多いが、黒のパターンにはカー ボンが含まれており赤外線暗視装置に対応していると言う、当時としては画期的な迷彩パターンである。
  
今回は、武装親衛隊の代表的な迷彩パターンについて簡単に説明したが、実際には まだ多くのバリエーションが存在する。
特に極初期のパターンやA・Bパターンに関しては不明な部分も多いが、新たにわかった時 点でコンテンツに加えて行きたいと思っている。
   
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09.Jun.1999 公開
22.Nov.1999 改 訂
06.Nov.2001 改訂

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