ここでは、当時のプライヴェート写真を楽しんでみたいと思っております。
  
一枚の写真から・プライヴェート フォトを楽しもう!その23
  
 
はじめに
 
今回のプライヴェートフォトは、1940年の西方戦役前に於いて、戦闘任務から帰還した直後の歩兵分隊を撮影した一枚で、お題は「西方戦役の歩兵分隊」とした。
 
  
 
 
 
西方戦役の歩兵分隊
 
今回の写真は1940年の西方戦役で、戦闘任務から帰還した直後に撮影された歩兵分隊である。写真には8名の兵が写っているが、前列右より機関銃手、小銃兵、副機関銃手、小銃兵、そして後列右より、小銃兵、小銃兵、分隊長、機関銃班の弾薬手である。

撮影者を含めると9名で、分隊の定数には1名足りないが、戦闘直後の安堵と疲労の入り混じった表情が印象的である。

軍装は上着が34年型野戦服、ズボンは36年型、ストーングレーのストレートズボンを着用している。
また、1939年採用の重サスペンダーが未支給のためか、雑嚢用ストラップで弾薬盒を吊っているのが興味深い。
そして、兵士達の野戦服の腰ポケットがパンパンに膨らんでいる事にも注目して欲しい。

 
   
ディティール
   
分隊長
 
中央の下士官が、この歩兵分隊の分隊長である。

歩兵分隊の分隊長といえば、MP-38やMP-40を装備しているイメージが強いが、通常の歩兵分隊の分隊長に機関短銃が行き渡ったのは1941年頃であり、それまでは分隊長も小銃を携行していた。

また、戦闘直後でウエストベルトに柄付手榴弾を差込んだままなのも興味深い。と言うのも、武器弾薬は各中隊の武器係が管理するので、所謂戦闘(状況)終了後は、実包や手榴弾は返納するため、各兵は携行していない。
正副機関銃手
 
前列右端、この写真で一番疲労した表情をしている上等兵が、この分隊の正機関銃手である。

歩兵分隊では、正副機関銃手がピストルを装備しており、この写真でも前列右端の兵と、右から3番目の2名がピストルホルスターを装着している。

ただし、右から3番目の兵は予備銃身ケースを携行しているので、正機関銃手ではなく副機関銃手である。

したがって、この分隊の正機関銃手は、前列右端の上等兵が務めていた事になる。
1934年型国家鷲章
 
機関銃手の階級袖章と襟の色を見比べると判りやすいが、写真の兵士達は、34年型野戦服を着用している。国家鷲章も1934年採用の1stタイプのBEVO製国家鷲章が付けられているのが、モノクロ写真でもはっきりと判る。

画像は1934年採用の1stタイプの国家鷲章である。
雑嚢用ストラップ
 
写真中央に、後列の兵のスコップの柄が写っているが、野戦装備の多くをウエストベルトに装着するドイツ軍では、野戦服にベルトフックが付けられるようになっていた。

しかし、このベルトフックだけで装備を支えると服が破損しやすかったので、重装備用サスペンダーが採用されたのであるが、重装備用サスペンダーが支給されるまでは、軽装備用サスペンダーや、この写真のように雑嚢用ストラップを代用として使用していたのである。



雑嚢用ストラップ
 
ドイツ軍の雑嚢は、携行食等を入れる布製のバッグで、通常はウエストベルトに吊り下げて装着されたが、写真のストラップで携行する事もできた。このストラップは今回のようにサスペンダー代わりに使用された他、ヘルメットの偽装バンドとして使用される事もあった。

予備銃身ケース
 
予備銃身ケースは、機関銃班の副機関銃手と、弾薬手が携行する事になっていた。前述のように写真中央のピストルホルスターを装着した兵は、左肩に予備銃身ケースを掛けているので、副機関銃手である事が判る。

同様に、後列左端の兵も予備銃身ケースを装備しているので、彼が機関銃班の弾薬手である。

戦闘行動中、副機関銃手は常に機関銃手の傍にいる事とされていたが、この写真では小銃兵が1人、間に入っているのも興味深い。
副機関銃手は、疲労した機関銃手を気遣っているようにも見えるが、同僚と友人の差を垣間見た気がする。


 
 
MG34用予備銃身ケース
 
高速の弾頭を連続して発射する機関銃の銃身は、弾頭との摩擦熱で高温になる。銃身の命数は冷却にかかっているが、冷却効果の高い水冷式では重量がかさむ。そこで、MG34では加熱した銃身を頻繁に交換し、冷却後に再使用する事で、銃本体の軽量化と銃身命数の問題を解決した。
歩兵分隊の機関銃班には2本の予備銃身が、この予備銃身ケースと共に装備されていた。
予備銃身ケースに関しては、資料館別館「予備銃身ケース」を参照されたい。


   
  
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04.Sep.2015 公開
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