ここでは、戦時中のプライヴェート写真を軍装の観点から楽しんでみたいと思っております。
一枚の写真から・プライヴェート フォトを楽しもう!その14
  
 
はじめに
 
今回の一枚の写真からは軍装に焦点を絞ってみるが、例によって写真の撮影時期等に付いては一切の情報が無い為、推測による記述が中心に なっている事を御承知おき願いたい。
  
今回のお題
 
この写真は写真館のネガをロシア軍が接収した物からプリントされた物と言われている一連の物の中の一枚。
印画紙サイズは縦が139mmで横が89mmである。
今回の写真に写っているSS曹長(SS Obersturmfuehrer)は、残念ながら所属師団はわからない。しかし、一つボタンの規格帽を被っている事から1943年10月以降の撮影と考 えられる。
軍装は、SSの下士官・兵用規格帽に1942年から生産支給されたSS型の42年型野戦服と言ういでたちで、42年型野戦服には左胸に 国家スポーツ章、胸ポケットの上には東部戦線従軍記章と空軍の勤続章・・ズテーテンラント従軍記章の略授のリボンバーが付けられている。肩章を見ると兵科 色は白の様で、歩兵科曹長にしては国家スポーツ章だけと言うのも少し寂しい感じはするが、空軍から転属してきて間も無いとすれば納得できる。更に細かく見 ると、下士官を表す襟のトレッセはアルミシルバーの初期型の物が付けられており、この服が野戦用では無く外出着の可能性も考えられる。おそらく空軍から SSに転属した記念か、曹長に昇進した記念に撮影した写真なのであろう。しかし、この写真では左袖が写っていないので、カフタイトルの有無が確認できない のが非常に残念である(笑)。
それではもう少し細かくディティールを見ていこう。
   
ディティール
   
SS下士官兵用規格帽
 
1943年10月1日に今までの略帽に替わり、統一規格の新型の鍔付き帽が制定された。(1942年からあったとする資料もあるが、制 式採用前の試用の可能性もある)これはかねてより人気のあった山岳帽に似ているが、全くの別物として新たな型紙で作られている。陸軍の場合と異なり、SS では制定当初から前面の折り返し部のボタンが1つのタイプも作られていた。この写真の規格帽には40年型略帽用の帽章が付けられているが、44年中期以降 にはSS国家鷲章と髑髏を一緒に台形の布に刺繍した(BRVOタイプもある)帽章も作られた。
襟廻りと肩章のトレッセ
 
ドイツ軍では下士官の襟廻りにトレッセと言うリボンを縫い付けて識別できるシステムを採用していたが、この写真の曹長は襟にアルミシル バーのトレッセを付けている様である。このアルミシルバーのトレッセは野戦では目立つ為、フィールドグレーのトレッセが1940年に制定されたが、実際に は1942年頃まではシルバーのトレッセが使われている事が多い。この写真の場合は肩章のトレッセがそのフィールドグレーのトレッセを付けている様で、服 自体は外出着である可能性も考えられる。
胸ポケット廻り
 
この部分を見ると、胸の貼り付けポケットのプリーツが省略されているので、この服が42年型である事がわかる。更に第二ボタンの位置が 雨蓋の上端にある事から、5つボタンのSS型(陸軍型は6つボタン)である事も確認できた。ポケットの上にはリボンバー、ポケットには国家スポーツ章が付 けられているが、他の戦功章は見えない。国家スポーツ章の詳細に関しては国家スポーツ章のコンテンツを 参照されたい。
リボンバー
 
リボンバーの左から東部戦線従軍記章空軍の勤続章、ズテーテンラント従軍記章が付けられている。これで彼が、結構古参でチェコの併合や 1941年〜42年の東部戦線に従軍していて空軍から転属した兵である事がわかり、興味深い。このズテーテンラント従軍記章は、1938年に行なわれた チェコスロバキアのズテーテンラントを併合した作戦に従軍した将兵に与えられた物であるが、後にボヘミアやモラビア併合に関わった者にも授与されたので、 ズテーテンラント進駐に参加した者には、プラハ城のバーが追加された。 
参考資料
資料について
 


 
トレッセ
 
下士官を表すトレッセも細かく見ると材質や巾などのバリエーションが多く存在していて、写真や実際のアイテムを見る時に大変参考になる パーツである。
ここでは野戦服に使われていたトレッセの代表的な物を簡単に紹介する。
1番上のトレッセは空軍用と思われている方も多いかと思うが、陸軍でも極初期には使用していた。(1921年〜1935年)
2番目と3番目は1935年に採用になった新型のアルミシルバーのトレッセであるが、2番目は下糸が黒のタイプで、これも割と初期の物 である。
3番目はよく見るアルミシルバーのトレッセであるが、これは戦後東独でも似た物が使われていた。(東独の物は織り目が比較的粗く、四角 のパターンが横長のひし形をしている)
4番目は白のレーヨン製トレッセであるが、1940頃からSSの肩章などによく使われている。
5番目は1940年4月25日に陸軍で制定されたフィールドグレーのレーヨン製トレッセであるが、実際の使用例は1942年頃から多く 確認されている。
6番目と7番目は1942年以降のSS用階級袖章に使われていたイエロータンのレーヨン製トレッセで、トレッセ自体に黒のステッチが 入っているのが特徴である。
SS上級曹長の肩章
 
これは上の写真と同じくフィールドグレーのトレッセを使用したSS上級曹長の肩章である。
この肩章は末期型の為か、トレッセの縫い付けがかなり粗雑であるが、1941年以降のSSの被服類の多くは強制収容所内の被服廠で作っ ている為、陸軍等の物と比べると縫製の下手な物が多い。
東部戦線従軍記章
 
これはリボンバーの一番左の東部戦線従軍記章のリボンとメダルの画像であるが、野戦服の場合は通常リボンのみを第二ボタンのホールに付 けるか、リボンバーを左胸ポケットの上に付ける事になっていた。
 
東部戦線従軍記章の詳細に関しては既に勲章・戦功章・名誉章に東部戦線従軍記章のコンテンツ がアップしてあるので、詳細はそちらを参照されたい。
 
 (08/15氏コレクション)
空軍勤続章とズテーテンラント従軍記章
 
これは二級鉄十字章と空軍勤続章、ズテーテンラント従軍記章のメダルバーの画像であるが、リボンの色はリボンバーと全く同じ物なので、 上の白黒写真を見る時の参考にして頂きたいと思い、二級鉄十字章のコンテンツに使用した画像を再掲した。
 
  
  
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13.Apr.2001 公開
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