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今回の一枚の写真からは軍装に焦点を絞ってみるが、例によって写真の撮影時期等に付いては一切の情報が無い為、推測による記述が中心に なっている事を御承知おき願いたい。 |
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この写真は写真館のネガをロシア軍が接収した物からプリントされた物と言われている一連の物の中の一枚。 印画紙サイズは縦が139mmで横が89mmである。 この素晴らしい写真に写っているのは”SS装甲擲弾兵師団・ライプシュタンダルテ・SS・アドルフ・ヒトラー”所属の戦車兵(SS伍 長)で、撮影は1942年以降と考えられる。 今回写真の撮影日時を推定するのに参考にしたのは、被写体の伍長の戦車搭乗服に付けられている東部戦線従軍記章で、これは1941年か ら1942年にかけての冬期戦に従軍している事を示しているので、撮影は少なくとも1942年以降と言う結論を導き出してみた。 軍装は、SSの下士官・兵用制帽に1941年から生産支給されたSS型戦車搭乗服、シャツには黒いネクタイと言ういでたちで、戦車搭乗 服には左胸に一級鉄十字章と戦車突撃章、戦傷章、襟には二級鉄十字章と東部戦線従軍記章の略授のリボンが付けられている。 更に細かく見ると、写真に写っている一級鉄十字章は縁をホワイトにペイントされている新品の様で、この写真は受章記念で撮影した物では ないかと思われる。そう言った目で見ると肩章を留めるボタンにも中隊番号が入っている様で、この服がお洒落着でこの時期ではわりと珍しい制帽を被っている のも納得できる。 それではもう少し細かくディティールを見ていこう。 |
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1940年に戦時軍装規定が制定されてからは、それまでのように着用する事が少なくなった様であるので、おそらく写真撮影の為に被った と考えても良い様に思う。 SSでは兵科色が制帽に使われたのは極めて短い期間なので、多くの場合はこの様に白のパイピングが付けられた制帽を被っていた。 この写真で見る限り、帽章はアルミ製の様で、国家鷲章の羽は帽子に合わせて曲げられている。 |
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写真の肩章にはLAHの組み文字が刺繍されており、このSS伍長が”SS-Panzer-Grenadier-Division Leibstandarte SS Adolf Hitler:SS装甲擲弾兵師団・ライプシュタンダルテ・SS・アドルフ・ヒトラー( 1942年より)”所属である事が確認出来る。この肩章は肩に縫込みでは無く、脱着式であるが、1942年より前のタイプで作りもしっかりしている。更に 肩章を留めているボタンには中隊番号がモールドされている様であるが、残念ながら数字は判読出来ない。 |
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この画像で見る限り,この国家鷲章は1939年頃から登場したBEVOタイプの物と思われる。 こう言った徽章類も写真の年代推定には結構役立つ事があり、細かく見ていく事が肝心である。 |
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このSS伍長は”一級鉄十字章”と、”戦車突撃章”と”戦傷章(銀または金章)”を胸に付けている。 この写真で見る限り、彼の一級鉄十字章は黒く塗装された十字の廻りの縁の部分を白く塗装したタイプで、この様にそれとはっきりわかる写 真珍しい。 このタイプの鉄十字章のデッドストックが最近幾つかの国内のショップに並んだので、実際に見た方もいるだろう。戦車突撃章と戦傷章を比 べると、戦傷章の方が明るい色にも見えるが、戦車突撃章自体ブロンズタイプにしては明るい感じがするので、戦争後期に作られた亜鉛製の物かもしれない。ど ちらにしても戦傷章が銀、若しくは金章である事から、このSS伍長がかなりの古参兵である事は間違い無いだろう。 |
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これは典型的なSS下士官・兵用制帽であるが、将校用制帽とは素材が異なる他にチンストラップが革製である事が大きな特徴となってい る。 制帽のトップの生地色がフィールドグレーのタイプが採用されたのは1937年であるが、制帽に兵科色が採用になったのは1940年の5 月10日の事で、それまでは白のパイピングが採用されていたが、同じく1940年の11月5日には再び制帽の兵科色は廃止され、兵科色の入った制帽の着用 は1940年の12月31日までとされた。 実際には1940年以降も多くの将兵はこの通達を無視した為、白のパイピングがSSの標準色を表した物なのか、歩兵科を示す物なのかは わからなくなっている。 (Pucki氏コレクション) |
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この写真はLAHの歩兵科兵用肩章を写した物であるが、上の肩章は直接肩章に組み文字を刺繍したタイプで、1939年12月より生産さ れたタイプ。 下は1942年から生産された肩章で、LAHの組み文字は脱着式のスリップオンタブに刺繍されている。 |
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上の写真の肩章は直接LAHの組み文字を刺繍してあるが、下士官の場合はシルバーの金属製モノグラムを肩章に付けているケースもあっ た。この写真はSS大尉の物なので金色のモノグラムが付けられている。 (資料提供:クラウゼ) |
上の写真の戦車搭乗服に付けられていたと思われるBRVOタイプのSS用国家鷲章。 SS用の国家鷲章は、当初国鉄と同じデザインの物が使用されていたが、1936年3月にSS専用のデザインの物が採用された。 この画像の鷲章は1939年頃から使用されたBRVOタイプのSS用国家鷲章の一つである。 |
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