ここでは、戦時中のプライヴェート写真を軍装の観点から楽しんでみたいと思っております。
一枚の写真から・プライヴェート フォトを楽しもう!その11
  
 
はじめに
 
今回の”一枚の写真から”のお題は、一見何の変哲も無い写真であるが、これがまた良く見ると面白い。
これだから写真の収集は止められないと言う事で、後は本文を読んでみて頂きたい。
 
  
今回のお題
 
この写真は裏側に書かれているキャプションによると1940年に兵舎の中で撮影された記念撮影であるが、兵士達が様々な格好をしてお り、結構リラックスしている雰囲気が良いな、と言う程度で見ていたが、全てはこの一枚から始まった。
ドイツ陸軍では1936年からグレーにグリーンの縁取りの入ったの官給セーターを支給している事はマニアの方々なら御存知かと思うが、 この写真の2列目の左から2人目と右端の人物が着用しているのがそれである。それでは1936年以前には官給のセーター等は支給されていなかったのだろう か?。
拡大してみると
 
野戦服を着ていない兵士達は白の官給シャツ姿であったり、官給セーターを着ている者がいる他に、私物のセーターやカーディガン等を着用 している者がいて、季節感が全く無い写真であるのが面白い(笑)。
またシャツ姿の兵士達を見ると様々なタイプのズボン用サスペンダーを使用しているのがわかる。
3列目の右端の兵士の野戦服にはボタンが見えないが、これは隠しボタンのオストマルクの服の様である。
と言う事で・・・
 
コレクターのバイブルとも言われているJohn R. Angolia & Adolf Shhlidht共著の”UNIFORMS & TRADITIONS of the GERMAN ARMY 1933-1945”を見てみると、ベストとセーターと言う項目があり、1936年以前には山岳部隊用と他の兵科用にベストが作られていた事が記されてい た。山岳部隊用はグレーグリーンの毛糸で編まれた物で巾3〜4cmのグリーンの縁取りが首廻りと前合わせ部に編み込まれていて、5ヶのグレーの樹脂製ボタ ンが付けられており、タブ付きのポケットも2つ設けられていた。また、他の兵科用にはグレーと白の霜降りの毛糸で同じくグリーンの縁取りも編み込まれた、 ポケットの無い黒のボタンが6ヶ付けられた物が作られていたとの事。
拡大してみると
 
これも1940年に撮影されたプライベート写真であるが、一枚目の写真では気にならなかった縁取り付きのカーディガンを着用した兵が複 数写っている!。と言う事はこのカーディガンは私物では無く官給品である可能性が・・・。んんっ、グレーと白の霜降り毛糸で編まれていてグリーンの縁取り が襟廻りと前合わせに編み込まれているボタン付きのベスト!?。ベストと言うと袖無しのチョッキと言うイメージで読んでいたが、もしかするとこれが件のベ スト!?。しかも前列左端の兵はこれも資料本で紹介されているリストウォーマーまで着用している!。
官給カーディガン
 
更に写真を見ていくと出てくる出てくる同じカーディガン(笑)。
市販されている写真集などでは見た事の無いカーディガンではあるが、前述の本と複数の異なる部隊の写真から、これが件の本に書いてあっ た官給ベストである事はまず間違い無いと思われる。
本にはベストは1936年3月15日のセーター導入で更新されたと書いてあったが、実際には少なくとも1940年頃まではこの様に着用 されていた事もわかり、なんだかとっても得をした気分になった(笑)。
拡大してみると
 
この写真は撮影日時が記されていないが、中央の兵が履いている靴下が3本ラインの入った官給品である事から、少なくともこれが採用に なった1939年11月25日以降の撮影である事は判る。
 
むすび
 
この様に文献だけでは実態のわからなかったアイテムが、複数の写真で確認出来ると当時の写真の収集もなかなか面白いものであると思う今 日この頃である。
  
  
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26.Feb.2001 公開
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