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今回の一枚の写真からは、前回に引き続き滝口さんのコレクションの中から1枚をお借りした。例によって軍装に焦点を絞ってみるが、今回 は空軍の騎士十字章受章者で若干のデーターが判っている。この様に貴重な写真を提供して下さった滝口さんと、参考画像に協力して下さった08/15氏に感謝の意を表します。 |
今回のお題 今回のお題は空軍の騎士十字章受章者:ヨハネス・ブランデンブルク中尉(写真左)が、戦友と一緒にチューブ入り濃縮コーヒーを飲んでいる写真。 ヨハネス・ブランデンブルク :Johannes Brandenburg 大尉 (RK:1940年9月18日受章、第2急降下爆撃航空団《インメルマン》第2飛行中隊長、中尉)彼は1942年2月28日に第1爆撃 航空団《ヒンデンブルク》第4飛行中隊長としてホルム Cholm 近郊で戦死している。 この写真は航空団が遺族のために作った箱入りアルバムの中にあった一枚であるが、ドイツ軍では個人や部隊の功績等を称える記念アルバムなどもしばしば作られていた。 ドイツ人はコーヒー好きで有名だが、戦時中のチューブ入り濃縮コーヒーを飲んでいる写真としても珍しい一枚。 写真の二人は4ツポケットの将校用勤務服ではなく、将校用のFliegerbluse: フリーガーブルーゼ(飛行服)を着用しているが、この写真からは緊迫感は感じられない。 前線基地での”忙中閑有り”と言った感じであろうか。 |
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楽しむと言っても右側の士官の表情を見ると、かなり飲みにくそうである(笑)。 ブランデンブルク中尉の方が表情にも余裕があり、チューブを上手く絞っている様だが、手にはかなり力が入っている。 右側の士官は手に力を入れていない代わりに強引に吸っていると言う感じがするが、果たしてどちらが上手く飲む方法だったのだろうか? (笑)。 なんとなく子供の頃に駄菓子屋で買ったチョコレートのチューブを思い出すのは私だけではないだろう。 |
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イギリス人の紅茶好き程知られていないが、ドイツ人はコーヒー好きで、第二次世界大戦中のドイツ軍でも様々な形でコーヒー飲料は支給又 は供給されていた。戦争が激化するとコーヒー豆の輸入が難しくなり、麦芽などから代用コーヒーも作られていた。このチューブ入り濃縮コーヒーも文献 等には出てくる事はあっても、このように鮮明な画像は珍しい物ではないだろうか?。 |
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ブランデンブルク中尉のフリーガーブルーゼには布製のパイロット資格章が付けられている。 この徽章に付いては参考資料の方で説明するが、フリーガーブルーゼは上にライフジャケットやパラシュート等を装着する事がある為、この 刺繍タイプの物を付けている場合が多い。右胸には空軍将校用国家鷲章の一部が見えているが、この画像で見る限り、モール刺繍タイプの様である。 |
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ブランデンブルク中尉と右隣の尉官は将校用のフリーガーブルーゼを着用し ているが、下士官・兵用の物との外観上の相違点は腰ポケットに雨蓋が無い事である。襟の外周に付けられているシルバーのパイピングも本来は将校用の物であるが、これに関しては下士官の着用例も確認されている。 また、この写真ではブランデンブルク中尉は乗馬ズボンを履いている。 |
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08/15氏コレクション |
ドイツ空軍の襟章は、陸軍とは異なり具体的な階級を表すシステムが採用されており、台布 の色で兵科を表していた。 この画像の様にイエローの襟章は飛行科と降下猟兵が使用し、下士官・兵用の場合はシル バーの縁取りは無く、金属製の羽の数で階級を表した。 将校用襟章の台布はフェルト若しくは起毛したウール地が使用され、シルバーのモール刺繍が施され、周囲にはシルバーの縁取りが施されている。 画像の襟章は写真と同じ飛行科中尉の物で、羽が一つだと少尉、3つだと大尉を示す。 |
08/15氏コレクション |
画像は、ブランデンブルク中尉の写真の物と同じ空軍飛行科中尉の肩章であるが、これらの肩章の多くは、ボール紙の芯と肩章の外周の形をした平たい鋼製のフレームを兵科色のフェルト、若しくはウール地で包んで作られた台布部分と、シルバーのモール紐で作られた肩章本体を組み合わせて作られている。 肩章の右側に付けられているピプ(星章)が無いと少尉、2個付くと大尉の肩章になる。 |
08/15氏コレクション |
モール刺繍製空軍将校用国家鷲章。 画像の空軍将校用国家鷲章はダウンテールタイプと言って、初期に採用されたタイプであ る。 ブランデンブルク中尉の飛行服にどのタイプが付いていたかは上の写真では判別出来ないが、実際には手刺繍で作られていた為様々なバリエーションが存在する。 陸軍等同様アルミシルバーの糸を使用したBEVOタイプの物も作られたいた。 |
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地上勤務兵の専門技能章に当たる航空機搭乗員用資格章で、所定の訓練を終了した者が着用 した。 パイロット・偵察員資格章は、1935年1月19日付けに採用になった一般搭乗員章に代わる物として1936年3月26日に制定された。 画像の様な刺繍タイプと金属製のタイプがあった。 布製の徽章は一般的に飛行服の様にメダルが邪魔な服に付けられる事が多かった。ドイツ軍の操典にあたる”REIBERT”の空軍の軍装ページによると、Flugzeugfuehrer-u.Beobachter-Abz.と記されているの で、直訳するとパイロット・偵察員徽章と言う意味。 |
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これは上記の金属製タイプ。デザインは半分が月桂樹で半分がオークの葉を表す輪の手前に、ハーケンクロイツを持っている羽を広げた鷲が配された物である。メダルの輪の部分が画像の様にゴールドの物とシルバーの物があった。ゴールドの物は1年以内にパイロット章と偵察員章の両方の資格を取得した者に与えられた。材質はアルミ・ニッケル・洋銀・亜鉛合金等の様々な物が作られた。
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これはリエナクトメント用に作られた、レプリカのチューブ入り濃縮コーヒーである。 |
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