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今回の一枚の写真からは軍装に焦点を絞ってみるが、例によって写真の撮影時期等に付いては一切の情報が無い為、推測による記述が中心に なっている事を御承知おき願いたい。 |
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この写真はプライベートフォトと言っても、戦後に戦友会等で行方を調べる為に配布された物だそうで、かなりの枚数が出廻っているそうで ある。と言う事は、このSS上級軍曹はしばらく帰国しなかったと言う事であるが、その後の経過に付いてはわからない・・・。 人生の中で”結婚式”と言う晴れがましい時に撮影された写真が、本人の行方を捜す為に使われていると言う事が”戦争”と言う物を感じさ せている。 ここまで書いてくると、軍装に付いて観察する事が不謹慎な様に思えてきてしまうが、敢えて本題に入りたいと思う。原画は138,5mm ×90mmで、極めて鮮明な写真である。このSS上級軍曹が着ているのは、恐らくオーダーメイドの勤務服かと思われるが、胸に二級剣付き戦功十字章のリボ ン、戦傷章、体力検定章などが付けられている。また、小脇に抱えた下士官・兵用の制帽はかなりの高級品で、この曹長が裕福な家庭に育った可能性を感じさせ る。 |
まず、勤務服は服地の風合いや、胸ポケットを見た感じでは、野戦服改造では無く、オーダーメイドの様である。次に襟に注目して欲し い!。オーダーとはいえ普通の将校服にも負けない凄い襟である・・・。襟章だがSSの書体と襟章の厚みから刺繍タイプを付けている様だ。肩章は兵科色が 白、歩兵科ではないかと思われる。雰囲気は42年型の様なので、この写真が1942年以降に撮影された可能性を示唆している。胸ポケットの上のリボンバー は剣付き2級戦功十字章が確認出来るが、ブーケに隠れて他のリボンがあるかどうかは不明。 |
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制帽のトップは服地よりも明るいフィールドグレーの生地が使われているが、ドスキンの様な高級感のある風合いである。恐らく最高級の制 帽ではないかと思われる。実際には一口に制帽と言っても各メーカーで、かなり色々なランクがあり各々の予算に合わせて買い求められる様になっていた。帽章 は標準的なアルミ製の物が付けられている様だ。胸には戦傷章、多分銀章と体力検定章が付けられている。野暮な事を言うようだが、袖の国家鷲章やカフタイト ルが見えないのが残念である・・・。 |
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BEVO社特許の製法で作られた襟章で、作りとしては他のBEVOタイプの帽章や国家鷲章同様、シャープな文字と襟章自体の厚みが薄い 事が特徴である。下士官用の襟章としては、シルバーグレーの刺繍タイプや、アルミ糸の刺繍、アルミモールの刺繍タイプ等が製造されていたが、いずれも黒い ウール地が使用されており、芯材にはボール紙等が使用されていた為厚みも厚くなっている。 |
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シルバーグレーの糸を使用した刺繍タイプの襟章。この刺繍は一回SSの文字を刺繍した後、一回り小さいSSの文字を重ねて刺繍した作り になっており、結果的に縁取りがしてある様に見える。SSの文字の中にボール紙等の芯材は入っていないが、厚みがある仕上げになっている。余談だが、襟の トレッセ(襟の縁取りをしているリボンで下士官である事を示している。)はフィールドグレーのレーヨン製で前線での迷彩効果が高くなった後期型。 |
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画像は、SS歩兵科伍長の肩章であるが、兵科色のパイピングはレーヨン製で、トレッセ(肩章の縁取りをしているリボンで下士官である事 を示している。)も写真写りで見る限り、アルミ糸のシルバーのトレッセでは無く、この肩章に使われている物と同じオフホワイトのレーヨン製ではないかと思 われる。 |
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