ここでは、戦時中のプライヴェート写真を軍装の観点から楽しんでみたいと思っております。
一枚の写真から・プライヴェート フォトを楽しもう!その3
  
 
引き続き・・・
 
前ページの写真をピックアップして細かく見ていくことにする。実際にはもっと大きくて鮮明な画像をアップしたいのだが、重さを考えると この位の画像になってしまうため、キャプションの意味が解りにくい部分もあるかと思うがご容赦願いたい。
  
Auch eine Bahnfahrt macht hungrig. 
”汽車旅もまた、腹がへる。” 

左の兵はM40、右の兵はM36野戦服を着用している。両名とも、1938年11月26日付通達で採用になった各兵科共通の襟章 を付けているが、左の兵の肩章を見ると、歩兵科の様に見える。右の兵はM36野戦服の左袖に、一等兵の袖章を付けている様に見える。二人が使用している飯 盒は、おそらく黒の塗装の初期型で、折り畳み式スプーン&フォークもアルミ製の初期型である。因みに、ドイツ軍では飯盒は炊事道具と言うよりは、加熱でき る食器と言うニュアンスが強く、殆どの場合スープやシチューの類を入れるのに使われた。左の兵士の野戦服の裾にある、包帯用ポケットにも包帯が入れられて いる様で、これから戦地に向かう緊張感を感じる。

ディティール
 
左の兵士が着用している野戦服の第二ボタンのホールには、二級鉄十字章のリボンが付けられている他、飯盒の陰になっているが、戦傷章の 黒を授与されている様だ。もしかすると、右の兵より新型の野戦服を着ているのは、右の兵より入隊時期が遅かった為と言うより、この戦傷によって、M36野 戦服は”お釈迦”になった為かもしれない。
この仮説が正しいとすれば、1940年の西方戦役か、1941年のバルカンの戦役で負傷したのだろう。国家鷲章は、ダークグリーン地に ライトグレーの糸で織られている1935年採用のBEVOタイプの様である。
Vorher ein Kochgeschirr doch gut sein kann. 
”先に飯盒ってのも悪くない。(意味不明)”
 
良く観ると、左端の兵士の足元と右端の兵士の足元に飯盒が置かれている。が・・・・・、手を洗う前に先程食事に使用した、飯盒を洗った という事なのだろうか?。中央より右の方の兵士達は1939年採用の官給セーターを着用しており、履いている行軍靴(半長靴)も1939年以前の物らし く、長さが長めのタイプである。
やはり行軍靴はこのくらい長い方がカッコが良い。
ディティール
 
上の写真を拡大した物だが、兵士が着用しているセーターはVネックで、襟刳りと袖口にダークブルーのラインが入っているのが確認出来 る。バックに写っている給水塔のハシゴに野戦服が掛けてあるのが興味深い。雪景色ではあるが、寒くは無いのだろうか?。
前ページでも書いたが、駅舎?の看板の”ILIA”という文字に注意!。これはルーマニア西部、ハンガリーの国境から150キロくらい (ブカレストの300キロ西北西)にある町のようである。この事から、この部隊の移動先が南方軍集団戦区の可能性が高いと言う事が出来るのではないだろう か。
Man spielte wieder Skat. 
”またシュカートゲームをやった。”
 
この写真で見ると、全員がM36野戦服を着用している。34年型略帽の国家鷲章とコカルデも当然ダークグリーン地の初期型が付けられて いて、兵科色の山形はおそらく歩兵を示す白だと思われる。34年型略帽は年式からもわかるように、ライヒスヘーア時代から使われており、38年型略帽より もトップが広く作られているのが特徴である。襟章は全員が1938年採用の各兵科共通タイプ。ただし、左から二人目の兵士は、1934年採用のライトグ レー地にオフホワイトの糸で織られた国家鷲章を付けている。
ディティール
 
上の写真を更に拡大してみると、襟章が各兵科共通タイプであることがはっきり確認出来る。また、中央の伍長が左胸にズデーテンラント従 軍徽章を付けているのがわかる。伍長の国家鷲章は1935年タイプで、左の兵士の物よりも新しいタイプだが、襟のトレッセの付け方から見て、下士官になっ た時点で新しい野戦服を支給された為かもしれない。一番上で紹介した兵士は二級鉄十字章を授与されているが、この様に下士官であっても、戦功章がまだ一つ も授与されていないのは、1939年のポーランド戦と1940年の西方戦役しか無かった為だろう。
今回のおまけ(笑)
  
国防軍の軍用チェス
 
今回のコンテンツでは、兵士達がトランプゲームをやっているので、本来はトランプを紹介したいのだが、現在未入手なので、代わりに軍用 のチェスを紹介する。
 
これは国防軍が兵士用に作らせていたチェスで、コマも含めて全て厚紙で作られている。
 
当時の週間新聞等でこれらのゲームをしている写真を見かけるが、トランプやチェス等のゲーム類、ハーモニカ等も軍の購買部で購入する事 が出来た。
  
最後に
 
今回のコンテンツは、おでっさ氏、鉄道マニアM氏、S.クシマ氏、オータ氏、滝口氏、と各方面に詳しい方々の協力を頂き、大変充実した 物に仕上げる事が出来ました。一枚の写真もこうした専門知識があると如何に面白くなるかを私自身が痛感したコンテンツでした。御協力頂いた皆様には改めて 深く感謝します。
    
  
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28.Jun.2000 公開
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