今回は、SSのシングルデカールのM42スチールヘルメットを紹介する。SSがM35ス チールヘルメットを導入したのは1936年5月からであったが、国防軍同様M40、M42を使用し、1943年8月にデカールが廃止された以降は、デカー ルの貼られていないM42スチールヘルメットも使用された。 |
スチールヘルメットの変遷に付いては、既に既存のコンテンツで紹介しているが、M42ス チールヘルメットで、その採用は1942年4月20日であった。 シェルの縁を内側に折り曲げていたのは、鋼鈑の切り口の処理と補強リブの役割を兼ねてい た訳であるが、M42では縁を外側に4mm残す事で補強リブの役割を兼ねている。 写真のM42スチールヘルメットには軍種を表すデカールが付けられているが、1943年 8月28日付け通達で軍種別デカールも廃止される。ヘルメットの変遷に関してはM35・M40・M42スチールヘ ルメットのコンテンツを参照されたい。 |
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写真上:正面から見たM42ヘルメット。
シェルの縁が外側に折り曲げられているのに注意。 写真下:後方から見たM42スチールヘルメット。 |
写真上:このヘルメットは1943年製で
あるが、8月28日の通達前に作られた物で軍種のデカールが付けられている。 写真下:SSのヘルメットではこちら側にデカールは無い。 |
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上方より見たM42スチールヘルメット。 このヘルメットは最も丸頭形のヘルメットを生産していたEF社製の物。 M42スチールヘルメットのシェルはM40タイプより更に簡略化を計られてはいるが、サイズに関しては今までの物同様60cmから70cm迄、2cmおきに6種類のサイズの物が作られていた。 このM42ヘルメットはラフテクスチャー仕上げで、塗料に砂状の物が混入されているが、通常のフラットな塗装の物も生産されていた。ま た、塗装色は陸軍のブラックグリーンよりは若干明るいSSグレーと言われる色が使われている。 |
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このヘルメットにも、1931年採用のM31ライナーが付けられている。M31ライナー は生産時期によって改良が加えられ終戦まで使用され続けた。 M31ライナーは金属製のライナーバンドとフェルト製クッション・革製のハンモック等か ら構成されているが、このヘルメットのライナーは1943年製で、各金属部品にも鉄が多く使われている。 ライナーはいわゆる帽子のサイズと同じで頭にフィットさせる必要があるため、52cmか ら63cm迄、1cm刻みに12サイズが作られていた。 M31ライナーの詳細に関してはM31ライナーのコンテン ツを参照されたい。 |
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M35とM40スチールヘルメットでは、シェルの縁は内側に折り返されていたが、M42 ヘルメットでは、この様に縁は外側に曲げ加工を施している。 |
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M42スチールヘルメットは、M40スチールヘルメット同様、通気ブッシングはプレスの 一体成形で作られている。このデカールはSSの後期型デカールで、M40スチールヘルメット以降に使用されている。 |
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M42スチールヘルメットは、1940年3月21日に既に国章のデカールが廃止されてか ら採用されたため、軍種を表すデカールのみが貼り付けられた。 ただし前述の様に、この軍種を表すデカールも、1943年8月28日付け通達で廃止され た。 デカールのバリエーションに関してはヘルメットのデカールのコ ンテンツを参照されたい。 |
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このヘルメットのメーカーコード及びサイズ刻印は、左耳のあたりに打刻されている。 |
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EF64の刻印はEF社製 シェルサイズ64cm の意。 メーカー名は、Emaillierwerke, AG Fuldaで、メーカーコードはFSの場合もある。 メーカーコードに関してはスチールヘルメットのメーカー比較の コンテンツを参照されたい。 |
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このヘルメットのネックガード部(真後ろ)には、製造管理番号が打刻されている。 |
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これはネックガード部の刻印の拡大写真だが、7258と刻印されている。 |
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このヘルメットのライナーは1943年製の為、チンストラップ取り付け部も後期型の作り で鉄製の針金を曲げた金具が使用されている。 写真で見る様に、チンストラップは、アルミ製のピンで簡単に脱着が出来るように作られて いて、切れたらすぐに交換出来るようになっていた。このストラップも他の多くのドイツ軍装備同様、肌に触れる面に皮の表面が使われている。 |
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写真では紹介出来ないのが残念だが、このライナーは1943年に、B&C社 LITZMANNSTADTで作られた物で、ライナーバンドは鉄製である。 なお、ライナーバンドには64n.A/57とと、シェルとライナーのサイズの関係を示す 刻印も打刻されている。 64はシェルサイズ、57がライナーサイズである。 |
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