このページでは、武装親衛隊の後期型略帽を紹介します。
   
はじめに
 
今回はSS下士官・兵用40年型略帽を紹介するが、この略帽は40年型略帽の中でも後期 生産型である。また、Feldmuetzeの訳語は野戦帽の方が正しいかと思われるが、略帽という呼称が既に定着しており、明らかな誤訳では無いので、本 コンテンツでも略帽という呼称を使用した。
   
SS用37年型略帽
 
この写真に写っている略帽は以前紹介した34年型略帽と今回紹介する40年型略帽が採用 になるまでの間に採用になった37年型略帽である。形状は34年型略帽と同じであるが、色が黒からフィールドグレーに変更になった他、正面に兵科色の山 形:Soutacheが付けられている。
写真の左端のSS伍長は38年型の下士官用野戦帽(布つば付きクラッシュキャップ)を 被っている。
SS用40年型下士官・兵用略帽
 
戦争が始まった翌年の1940年、ドイツ全軍は兵員の大規模な増員をすると共に各軍の軍 装の簡略化を実行した。SSでも1940年10月に今までの旧型略帽に変わって、下士官・兵用の新型略帽を採用した。(将校用は1939年12月採用)こ れによって、今までは将校・下士官・兵用と全て異なっていた略帽のデザインが基本的に統一された。(ただし、将校用略帽の折り返しのトップにはアルミシル バーのパイピングが付けられていた。)デザインは空軍の略帽に良く似た流線型のカットで、帽章にはBEVOタイプの新型帽章が使用された。1940年の採 用当時には、正面の髑髏章を囲うように兵科色の山形が付けられていたが、この兵科色は1942年の9月には廃止された。
側面形状
 
こうして見ると空軍の略帽に良く似ているのがわかる。
この略帽はドイツ製の生地では無く、占領地で鹵獲した生地を使用して作られている様であ るが、1943年頃のSSの被服類にはこうした生地を使った物が多く見られる。
また、この新型略帽は、当時トップが開かない様に被るのが流行していた様で、内側中央に 安全ピンでトップが開かない様、止めてあった跡が残っている。
トップ
 
37年型略帽までは一枚の布で作られていたトップは、二枚の布で作られる様になってい る。トップは通常折りたたまれている為、周辺部より中心の方が日焼けしていないのが判るだろうか?。(中心部の方が周辺部よりグリーンが残っている。これ はグリーンの染料は一般的に紫外線等の影響を受けやすく褐色に変色しやすい為である。)
正面より
 
この略帽を正面から見ると、帽子本体とおり返し部分でセンターがづれているのがわかる。
これはSSの略帽にはよくある事ではあるが、前後部に布の折り返しが集中して縫いにくい ためにづれてしまったか、敢えてづらして縫い合わせた物で、本来このようにデザインされた訳では無い。
余談ではあるが、きちんと縫い合わせてある略帽の髑髏章は擦り切れてしまっている場合が あるが、この略帽デは折り目から髑髏章がづれているため、わりと良いコンディションで髑髏章が残っている。
SS用国家鷲章
 
これはSS独自のデザインの国家鷲章で、袖に付ける鷲章の縮小版である。
将校用にはアルミ糸を使用した物が作られた。
この鷲章は略帽の他に規格帽やクラッシュキャップ等にも使われていた。
1942年12月からは髑髏章と共に、迷彩野線帽用にグリーンとブラウンの物も作られた が使用期間は短かった。
SS用髑髏章
 
BEVOタイプの国家鷲章及び髑髏章はいくつかのバリエーションが確認されているが、髑 髏章の方は髑髏自体の大きさにも大小の差がある物があり、この画像の髑髏は小さい方の髑髏章である。これは1942年9月に兵科色が廃止されたのに伴い、 若干大きめの髑髏章が作られたためと思われる。髑髏章も国家鷲章同様に将校用のアルミ糸を使用した物が作られていた。(末期の規格帽等では兵用帽章を付け た将校用規格帽等も確認されている。)
略帽本体と側面折り返し部の取り合い
 
写真の様に折り返し部をめくると、本体部と折り返し部のセンターがづれているのがはっき り確認出来る。この様な事例は国防軍の被服類には殆ど見られないが、SSの被服には散見される。これは国防軍の被服が元々の専門工場で作られていたのに対 し、SSの被服の多くが収容所内に開設された被服工場で作られていたためだと思われる。
内装
 
この略帽の内装には黒のレーヨン混紡の綿地が使われているが、スタンプ等は残っていな い。一般的にはグレーやベージュ系のレーヨン・レーヨン混紡の綿生地が使われている事が多い。スタンプは残っていない物もあるが、大抵はメーカー名、サイ ズ、生産年等がスタンプされていた。
      
   
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12.Oct.2000 公開
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