このページでは、親衛隊の37年期型略帽を紹介します。
   
はじめに
 
今回は珍品堂の石村氏のコレクションの中から、SS用37年型下士官・兵用略帽を紹介す るが、この帽子も極めて残存数の少ない貴重なアイテムである。本コンテンツを制作するにあたり、この様な貴重なアイテムを取材させて下さった石村氏と、 キャプションに数多くのアドバイスを下さったschmidt氏に、この場であらためて感謝の意を表したい。
   
 
SS用37年型下士官・兵用略帽
 
この略帽は、1937年にフィールドグレーの被服類が採用されたのに伴い新たに採用され た物で、型紙は34年型略帽と ほぼ同一で、(ただし、折り返し部の深さは34年型略帽より若干深くなっている様で、寒冷時には耳を覆う事が出来る様になっている。)下士官・兵用タイプ のみが生産された。
徽章類は1936年採用の物がそのまま利用され、1940年に新型略帽が採用されるまで 生産されていた。この略帽の前面の髑髏章の上には、戦争直前から初期にかけて兵科色の山形が付けられていたが、この略帽には付けられた痕跡は無い。
制式名称は野戦帽:Feldmuetzeとなっているが、この帽子にはその外観から Schiffchen(小船の意)のニックネームが付けられた。
 
 
着用例
 
これは1940年に撮影されたドイチュラント連隊の兵士達の写真であるが、全員37年型 略帽を着用している。この37年型略帽は34年型略帽同様、まっすぐ目深に被る様に規定されていたが、写真を見ればわかる様に規定通りに被っている者もい れば、規定通りには被っていない例もある。
余談ではあるが、この写真の兵士達は襟章を付けていないが、これは西方戦役の前に連隊番 号の入った襟章は、防諜上取り外す事が命じられた為で、同連隊の兵達は1941年のバルバロッサ作戦頃まで、襟章を付けていない者もいた。
 
 
正面より
 
37年型略帽では、34年型略帽同様正面には髑髏章のみが付けられており、SS用国家鷲 章は左側面に付けられている。
この国家鷲章の位置は野戦服の国家鷲章の取り付け位置を意識した物と思われるが、40年 型略帽では国防軍同様正面に変更される。
しかし、1943年に採用される規格帽では再び国家鷲章の位置は左側面に戻され、規格帽 の国家鷲章が正面につけられたのは1944年になってからとなる。
また、前述の様にこの略帽には付けられていないが、兵科色の山形:Soutacheを付 ける場合には、陸軍の略帽で多く見られる様にテープ自体を縫い付ける場合と、頂部に山形を通す為のループを設け、それに通したテープの下端部を略帽の折り 返しの中で留めつたタイプがあった。
 
側面より
 
帽子の前後が共に前傾したデザインになっている。
これは34年型略帽と共通しているが、陸軍の同時期の略帽では前側が垂直にカットされて いる物も多く見られる。
側面より
 
上の画像と反対側を写したショット。
折り返し部分のセンターが、略帽本体と微妙にヅレている為、このように置くと髑髏のボタ ンが偏ってしまう。
トップ
 
この帽子の特徴の一つは、34年型略帽同様にトップが一枚の布地で作られている事であ る。
一部の資料には、この帽子のトップは左右非対象の2枚の布で作られていたとする物がある が、間違いである。こうして見ると、デザイン的にはつば無しの規格帽と言った感じである。
内装
 
この帽子の内装は、側面がベージュのコットンで作られており、頭頂部は同色のスフ(人造 綿)製、黒いメーカスタンプとサイズスタンプが押されている。
内装に使われているベージュのコットン生地は、しっかりした厚手の生地で、初期の略帽類 に良く使われている物である。
ドクロボタン
 
SSのドクロは、当初プロイセンタイプのドクロが使われていたが、陸軍の戦車兵が襟章に 採用した際に、陸軍からクレームがついたと言う説がある。これはSS独自のデザインのドクロであるが、この様にボタンになっている帽章は34年型と37年 型略帽専用である。(1940年型略帽以降ではBEVOタイプや刺繍の帽章が使われている。ただし陸軍の略帽にこのボタンを付けていた将校などの例外は あった。)このボタンは鉄製で、裏側にRZM SS 63の刻印がある。
S字リング
 
帽子前部のドクロボタンを止め付けているS字リング。ドクロボタンはこの様に、S字リン グで固定されており、簡単に取り外す事ができる作りになっていた。このリングは綿の被服等にも良く使われている物で、穴の廻りはホールミシンで処理されて いる。これは、ウールの被服と違って帽子の場合は洗濯を意識したために採用された方法と思われる。
SS鷲章(36年型)
 
SS鷲章は金属製の物を含めると、年代により様々なバリエーションがあるが、この帽章で 鷲のデザインがほぼ落ち着いた感がある。
黒い三角のウール台布に白糸で刺繍されており、袖の鷲章同様左側に付けられている。
 
 
トップと側面部の取り合い
 
SS用37年型略帽のトップと側面部の取り合い部には、画像の様にパイピングは挟み込ま れていない。
縫い代両倒し/二本ステッチの形式は一次大戦のドイツ・オーストリア軍山岳帽にも多く見 られる伝統的な作りで、サイドとトップの接合部をあたかも一枚の布のようにつなぐには、好ましい作り方であったと思われる。因みにほぼ同シルエット/畳み 方の陸軍用34年型略帽はパイピング無しで「縫いしろ片倒し/一本ステッチ」になっているが、これは帽子天面布に陸軍のような、つまみ(二枚はぎ)がある 場合は「縫い代両倒し/二本ステッチ」は縫製/構造上かなり無理が生じるからである。
内装のディティール
 
この帽子では、トップと側面の合わせ部分を内装のコットン生地でくるみ、2本針ミシンで 縫ってある。
2本針ミシンは2本の直線縫いが同時に出来るミシンで、通常の官給陸軍略帽や、規格帽の 正面接合部等の両脇ステッチも同様のミシンで縫われていることが多い。また、SS用34年型略帽等では、この部分が直線縫いの間をジグザグに縫う事が出来 るタイプのダブルロックミシンで縫われていた物もある。
メーカースタンプとサイズスタンプ
 
画像上の方の楕円に囲まれているのがメーカースタンプで、中央には製造年月がスタンプさ れている。メーカーはスタンプでもわかる様にブラウンシュヴァイクにあったが、同地にはわりと初期からSS用被服類を作っていたメーカーがあった。また、 このスタンプで製造年月が1940年の4月である事がわかるが、新型略帽が採用される少し前の製品である為、支給される前にストックに回された可能性を感 じる。下に見える”57 1/2”のスタンプはサイズ表示で、帽子サイズ57、5cmを示す。
   
  
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18.Aug.2001 公開
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