このページでは、親衛隊の初期型略帽を紹介します。
   
はじめに
 
今回はSS用34年型略帽を紹介するが、この帽子は当初軍事訓練時の着用を目的として作 られ、1937年以降作られたフィールドグレーのタイプは兵科色の山形も付けられた。1940年に登場する新型略帽が行き渡るまでのSS部隊に使用された 他、この黒い略帽は戦車兵が着用している写真も残っている。
   
SS用34年型略帽
 
この略帽は、34年型と言っても、1936年より作られた外出用の黒服にあわせて作られ た物で、更にSS鷲章(36年型)から後期型と分類される。34年型略帽は当初アースグレーの生地で生産され、軍事訓練時の着用を目的としていたため、制 式名称は野戦帽:Feldmuetzeとなっている。また、この帽子にはその外観からSchiffchen(小船の意)のニックネームが付けられた。
また、1937年には黒服の廃止に伴いフィールドグレーの生地で作った略帽に更新され た。
(この画像は輪郭等を分かりやすくするために、敢えて色を変えてあります。)
側面より
 
帽子の前後が共に前傾したデザインになっている。
この画像は、カメラで撮影する事でパースが付いてしまう事を防ぐため、帽子を直にスキャ ンした物である。(この画像は輪郭等を分かりやすくするために、敢えて色を変えてあります。)
トップ
 
この帽子の特徴の一つは、この様にトップが一枚の布地で作られている事である。
一部の資料には、この帽子のトップは左右非対象の2枚の布で作られていたとする物がある が、間違いである。
こうして見ると、デザイン的にはつば無しの規格帽と言った感じである。
(この画像は輪郭等を分かりやすくするために、敢えて色を変えてあります。)
内装
 
この帽子の内装は、黒のコットンで作られており、白いサイズスタンプが押されている他、 RZMのオイルタグが縫い付けられている。
内装に使われている黒いコットン生地は、これ以降に登場する新型略帽等の物より厚手の生 地で、かなりしっかりした作りになっている。
(この画像は輪郭等を分かりやすくするために、敢えて色を変えてあります。)
SS鷲章(36年型)
 
SS鷲章は金属製の物を含めると、年代により様々なバリエーションがあるが、この帽章で ほぼデザインが落ち着いた感がある。
黒い三角の台布に白糸で刺繍されており、袖の鷲章同様左側に付けられている。
(この画像は輪郭等を分かりやすくするために、敢えて色を変えてあります。)
ドクロボタン
 
SSのドクロは、当初プロイセンタイプのドクロが使われていたが、陸軍の戦車兵が襟章に 採用した際に、陸軍からクレームがついたと言う説がある。これはSS独自のデザインのドクロであるが、この様にボタンになっている帽章は34年型略帽専用 である。(1940年型略帽以降ではBEVOタイプや刺繍の帽章が使われている。ただし陸軍の略帽にこのボタンを付けていた将校などの例外はあった。)
このボタンはアルミ製で、裏側に刻印は無い。
S字リング
 
帽子前部のドクロボタンを止め付けているS字リング。ドクロボタンはこの様に、S字リン グで固定されており、簡単に取り外す事ができる作りになっていた。このリングは綿の被服等にも良く使われている物で、穴の廻りはホールミシンで処理されて いる。
これは、ウールの被服と違って帽子の場合は洗濯を意識したために採用された方法と思われ る。
トップと側面部の取り合い
 
SS用34年型略帽のトップと側面部の取り合い部には、画像の様にパイピングは挟み込ま れていない。これは、一番上の画像の様に、接合部を無視した形で折り癖を付けるデザインの為採用された方法と思われる。(パイピングを挟み込むと、縫い目 の部分ではウール生地だけでも縫い代を含めると6枚の生地が重なる為に、フォルムが変わってしまう。)
(この画像は輪郭等を分かりやすくするために、敢えて色を変えてあります。)
サイズスタンプとRZMオイルタグ
 
画像上の方に見える白い”57”のスタンプはサイズ表示で、帽子サイズ57cmを示す。
1935年以降多用されたRZMタグには契約工場コードや製造番号が記入されている。最 上段のFeldmuetze fuer SS はSS用野戦帽の意。左右には、丸に囲まれたRZMとSSのマークがプリントされている。その中間にあるのHersteller 15が生産者番号で、契約工場コードナンバー”15”の意。
その下のReichszeugmeisterei der NSDAPは党需品管理局・RZMの制式名称。(ナチス党で使用する物品の統制をしていた管理部門の名称で、初期のSSの装備も管理統制されていたが、武 装SSに関しては組織が大きくなり、品物によっては次第にRZMの統制から外された。)その右側が製造番号26023
内装のディティール
 
この帽子では、トップと側面の合わせ部分を内装のコットン生地でくるみ、ダブルロックミ シンで縫ってある。ダブルロックミシンは2本の直線縫いの間をジグザグに縫った状態を一度に縫う事が出来るミシンで、通常の野戦系の被服にはあまり使われ ていない。また、同じSS用34年型略帽でも、必ずしもこの部分がダブルロックミシンで縫われていた訳では無い。
着用
 
この34年型略帽は40年型略帽と異なり、まっすぐ目深に被る様に規定されていた。
 
勿論写真等では、この規定を守らず斜めに被っている例が多く確認出来るが・・・。
      
   
ホームに戻る
資料 館トップへ

本サイトに掲載されている文章及び画像の 無断転載はお断りします。Copyright  2000  STEINER

12.Aug.2000 公開
inserted by FC2 system