このページでは、陸軍の42年型野戦帽を紹 介 します。
   
はじめに
 
今回は、陸軍の42年型下士官・兵用略帽を紹介する。この略帽は生産期間が短く、34年 型略帽と比べると残存数の少ない貴重なアイテムである。
本コンテンツを制作するにあたり、貴重なアイテムを取材させて下さった、えっさい氏と青 木氏に、また、キャプションに多大なる示唆を与えて下さったschmidt氏に、この場であらためて感謝の意を表します。
   
 
 えっさい氏コレクション
 
陸軍42年型下士官・兵用略帽:Feldmuetze 42
 
42年型略帽は、1942年7月21日(HM42,No.642)付け通達によって導入 された。
この新型略帽は、1941年の東部戦線における冬期戦の経験から、略帽の防寒性能を向上 させる試みがなされていた。
 
42年型略帽は34年型略帽と異なりトップの生地も1枚で作られており、43年に登場す る規格帽の鍔が付けられていない状態の様な裁断になっている。
 
戦争が始まってからは、軍装品の多くに生産性の向上を目的とした改良がくわえられたが、 防寒装備を中心に生産性を度外視して、性能向上を目的とした改良を加えられたアイテムもあった。
 

 
側面より
 
42年型略帽の側面形状(上)と、折り返しフラップ(耳当て)を降ろした状態(下)。
 
この帽子は、1941年〜42年頃の典型的なフィールドグレーのウール生地で作られてい る。
 
両サイドの通気金具は既に鉄製の物が使用されており、金具はオリーブに近いフィールドグ レーに塗装されている。
 
また、下の画像の様に折り返し部を下げて置くと、帽子本体と折り返し部のセンターが若干 ずらして縫い合わされているので、下側の折り返し部が少し見えている。
 
トップ
 
この帽子の特徴は、トップが一枚の布地で作られている事である。
 
こうして見ると、デザイン的にはまさに”つば無しの規格帽”と言った感じである。
 
事実、初期の43年型規格帽に見られる折り返しフラップの形状は、典型的 な42年型略帽のものとなっており、その後の規格帽は独自に進化し、フラップ形状/前合わせ部が細目となって行く。
 
また、工場で半製品の42年型略帽にバイザーを付けたと思われる”42年型略帽改の43年型規格帽”も散見されており、その後も42年型略帽の本体型紙をそのまま転用生産したと思われる規格帽もある。
 
 
正面より
 
正面より見た42年型略帽。
 
42年型略帽も、トップにアルミシルバーのパイピングを入れた将校用略帽や、戦車搭乗員 用の黒のウール製の物も作られていた。
 
将校用42年型略帽は非公式とされているが、多数確認出来、それらには 43年型規格帽と同様にトップ部全周に銀線が付属する。これらの中には兵用のものに銀コードを後付けした、アップグレード物もあるが、工場生産の時点で銀 パイピングを挟み込んだ物も存在する。記章は画像のいわゆる兵用タイプの他、フラットワイヤータイプ(アルミ/BEVO)が付属していることもあり、トッ プに金パイピングの付属した将官用の着用も確認されている。 
 
帽章
 
写真の略帽は1942年製で、国家鷲章と国家章が別々の略帽章が付けられているが、この 2つの徽章が一体になっている帽章を付けた42年型略帽も生産されていた。
 
この帽子ではコカルデに国家鷲章を重ねて縫い付けてあるが、この様な付け方は43年型規 格帽にも散見される。
折り返し部のディティール
 
折り返し部は2個のボタンで留められている。
 
ボタンは規格帽に使用されている物と同じで、直径12mmの鋼製プレス成形ボタンで、 フィールドグレーに塗装してある。
折り返し部のディティール
 
折り返し部前面の、ボタンが付けてある部位のクローズアップ。
 
折り返しはこの様にウール生地一枚で、裏地等は付けられていないが、ボタン取り付け部は 共生地の裏地が付けられている。
折り返し部のディティール
 
折り返し部側面、折り返しが始まる部位のクローズアップ。
 
前述の様に、折り返し部に裏地は施されていないが、端部は全てほつれない様に折り返し て、ミシンで縫ってある。
折り返し部のディティール
 
折り返し部後ろの接合部のクローズアップ。
 
接合部は通常この様に一度縫い合わされた後、更にダブルロックミシンで叩いてある。
内装のディティール
 
42年型略帽の内装は1種類では無いが、この帽子では比較的厚手のコット ンツイル(綾織り)が使用されている。
 
この生地は34年型略帽にも良く使われている物で、元の色はライトグレーである。
 
このほか42年型略帽の裏地には、人絹サテン(朱子織り)のものも確認さ れている。
メーカースタンプとサイズスタンプ
 
画像上の四角に囲まれているのが、HAMBURG19, Eduardstrasse 46/48:ハンブルクのエデゥアルドシュトラーセにあった、”SPRENGPFEIL”社のメーカースタ ンプである。四角の下、”1942”は製造年を、”56”はサイズを表している。
”SPRENGPFEIL”社は1911年にSPRENGPFEIL兄弟社として創業した帽子専門 メーカーで、国防軍各軍と党(RZM工場番号A1/84)の官給帽子を多数製造していた。 NS政権下では”アーリア系優良企業”として操業。 
   
バリエーション
  
 青木氏コレクション
正面より
 
上の略帽とは異なるタイプの帽章を付けた、42年型略帽。
 
この様に帽子のトップを開いた状態にすると、この42年型略帽が、既に43年型規格帽の特徴を備えている事がわかる。
帽章
 
国家鷲章とコカルデが一体となったT字型帽章。
 
この帽章は山岳帽やこの42年型略帽、43年型規格帽等に使用されていた。
  
着用例
  
 

 
 写真提供:schmidt氏
これは、全員が42年型略帽を被っているポートレートである。
 
官給略帽も、他の一般被服・装備類と同様に、耐用年数を超えた場合には新品と交換支給されるので、旧型被服等に思い入れがあり、敢えて それを私費購入しない場合は、この様に新型に更新されるのが一般的である。
 
野戦服の方は、36年(40年型の改造と思われる)、40年、42年型が混在しているのが面白い。
  
  
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22.Aug.2002 公開
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