このページでは、ドイツ陸軍の操典”REIBERT”の内容を紹介します。
   
はじめに

今回は、ドイツ陸軍の操典とも言えるマニュアル”REIBERT”の内容を抜粋し て紹介する。この”REIBERT”は兵科毎、また年次毎に出版されており、各兵科共通項目と兵科の項目がある。この一冊を読破すればドイツ兵になれると 言っても過言では無いような教本であるが、今回は軍装の項目をピックアップして見てみよう。

      
 
REIBERT
 
BERLINのVerlog von E.S.Mittler & Sohn社から出版されていた、いわゆる”操典”で、兵科毎に作られていた。
 
写真の物は1938/39年度版の通信兵用のライベルトである。内容はドイツの歴史か ら、軍隊生活・軍装・部隊編成・武器の取扱い説明・地図の見方・基本的戦術・各種信号・記号・馬の手入れ・車両のエンジン基本等の他、専門職の通信機材に ついてが384ページにわたって書かれている。(兵科によってページ数は異なる。)
 
実際には細かい部分で、当時の実情(主に防諜上の理由と思われる。)と合致しない様な記 述も見られるが、少なくとも新兵教育時の規定はこうであったという事は知る事が出来る。
 
国内外から出版されている軍事・軍装関連の書籍にも、このライベルトからの出典は多く、 一冊は持っていたい一次資料と言う事ができる。
 
この1938/39年度版のあと1940年、1941年度版と若干改定されているが、軍 装に付いてのページにカラーを使っているのは、この1938/39年度版が最後で、以降モノクロページに変更されている。
 
 
陸軍の制服
 
制服と言っても主に礼服・勤務服の紹介になっている。
スチールヘルメットはM35になっているが、ヴァイマール国軍のライヒスヘーアと、 1940年以降のいわゆる戦時下のドイツ陸軍の中間期の軍装と言った感じである。
この時点では既に標準的になっていた36年型野戦服や、戦車搭乗服等にも全く触れられて いないのが興味深い。
 
上段はヘッドギアの紹介だが、この時点では下士官・兵にも制帽が規定されている。
 
中段の制服のイラストで、上着がグリーン、ズボンがグレーで描かれているが、これは当初 上着が青味の強いフィールドグレー、ズボンはスレートグレーだった為である。
 
下段は襟章と礼服用の袖章だが、襟章は”Kragenspiegel”、袖章の方は” Aermelpatten”と表記されている。
 
襟章の中段は礼服用”Zum Waffenrock”、下段の襟章は野戦服用で”Zur Feldbluse”と書かれている。
 
 
陸軍の制服
 
このページは肩章と刀緒・飾緒を中心に紹介している。
陸軍の場合、肩章は具体的階級を表す物で、兵卒から元帥までを、兵科やモノグラムを取り 混ぜて掲載している他、初期の角型肩章も描かれているのが興味深い。
モノグラムには医療を表す蛇のマークや連隊番号を表す数字の他、兵種を表すアルファベッ トの頭文字等があった。
画像右下方に描かれているゴルゲット(Ringkragen)は旗手の物で、その下の楕 円形は”Nebeltruppen”:煙幕部隊の袖章(ロケット砲部隊の秘匿名称)、更にその下が7等と12等の射撃優等者用飾緒” Schuetzenabzeichen”。
 
左下の雪洞の様な飾りは刀緒:ソードノットと言われる物で、サーベルや短剣、銃剣等に付 ける飾り紐。
これは”Trodden und Faustriemen”と呼ばれ、色で部隊がわかる様になっている。
 
因みにこの色には伝統的な”色の序列”が使用されており、順番に緑・白・赤・黄・青・と なっている。
 
 
空軍の制服
 
陸軍の操典とは言っても、自国の空軍や海軍の軍装を知らないで良い訳が無いので、空軍と 海軍に関してもカラーページで紹介されている。
1939年の段階で一般的な空軍の軍装がどうなっていたかわかる資料で興味深い。
一番上に帽章が描かれているが、国家鷲章は既に後期型になっており、略帽も流線型でSS より早くから採用されていた事がわかる。
また制帽の左端は将官用の物であるが、この時点で帽章が金色となっているのも面白い。 (陸軍では当初帽章は銀色で後に金色に変更された。)
また、将校用の飛行服:フリーガー・ブルーゼの腰には、当初からポケットがある事、対空 砲兵中尉の勤務服が1940年には廃止されてしまう礼装ベルトで描かれている事、兵の皮装備が茶色で、弾薬盒が一つである事等年代を感じさせる情報が沢山 盛りこまれている。
 
最下段中央のパイロット章や降下章なども”Abzeichen”という単語が使われてお り、あくまで資格章であった事もわかる。
 
空軍の制服
 
このページでは空軍の階級章と兵科色が紹介されている。
空軍は陸軍と異なり、兵を除けば襟章だけでも階級がわかるシステムを採用していた。
面白いのは軍楽隊等を表すモノグラムを襟章に付けるシステムになっていた事で、兵科は襟 章の地色でもわかる様になっていた。
また、階級制度が一部陸軍とは異なっていたので、袖章などに若干の相違点がある。
下士官の襟にトレッセを付けるシステムは陸軍共同じではあるが、コートの場合のみ、襟の 周囲では無く襟章に付ける様になっているのも面白い。
 
なお、空軍は陸軍が新型のトレッセを採用した後も、旧型のトレッセの使用を続けたが、戦 争末期には陸軍型のトレッセも使用した。
 
海軍の制服
 
どちらかと言うと礼服系が中心に紹介されている印象を受けるが、陸軍の兵士が出会う海軍 の将兵は、戦前では礼服系の場合が多かったと言う事なのかもしれない。
 
上段のヘッドギアにも何故かスチールヘルメットが省略されているが、海軍では礼装やパ レード軍装にスチールヘルメットの着用は無いのだろうか?。(海軍の軍装規定に付いては知識が無いのですいません・・・。)
こうして見ると、海軍の礼服は最も伝統的な装飾を多く残している印象を受けるが、将校に 任官した時などは制服を揃えるのも大変だったかもしれない(笑)。
将校にメスジャケットがあるのは兎も角、兵のセーラー服にも上から羽織るジャケットがあ るのが面白い。
 
これらのデザインは伝統的な民族衣装と共通点が多く、ここには紹介されていないが、U- Boot乗員が着用する革のジャケット等もイエーガーロックと呼ばれる伝統的民族衣装と極めてデザインが似ている事とも関連がありそうで興味深い。
 
海軍の制服
 
肩章・袖章の紹介。
 
海軍の場合は、フィールドグレーの服以外、襟章ではなく、肩章と袖章で階級を表すシステ ムを採用していた。
 
袖章は階級章の他に、兵科・専門職を表す物があり、独自のシステムを採用している。
 
階級を表すトレッセも陸軍や空軍の物とは異なる独自の物が使われていて、色も金色が採用 されていた。
海軍の制服
 
上の方が各専門職章の説明で、左腕に複数付けている例が図示されている。
 
陸軍と共通のデザインを採用している物も散見できるが、上から2段目の左から3番目の赤 い旗が交差したデザインの物は、”Signal”と書かれており、錨やコンパス、魚雷の図柄などと同様に如何にも海軍らしい感じがする。
 
中段には各資格章類が描かれているが、錨のマークの隣に、”Deutches Reichs sportabzeichen”体力検定章が描かれているのも興味深い。
 
下段は地上勤務の制服で”Feldgraue Marineuniform”:「フィールドグレーの海軍ユニフォーム」とタイトルが付けられている。
 
ここでも何故かスチールヘルメットの紹介は省かれている。
 
親衛隊の階級章
 
親衛隊に関しては正規軍では無い為、他の党組織と一緒に階級章のみが、巻末にまとめて掲 載されている。
他に掲載されている組織はNSDAP:党・RAD:国家労働奉仕団・RLB:国家防空連 盟・Polizei:警察・HJ:ヒトラーユーゲント・等があり、開戦後のライベルトでは同盟国の軍装・階級章のページも掲載される様になる。
 
これらは全て階級章を覚える為の教材で、いかにも軍の教科書らしい。
 
また、肩章を見るとわかる様にWaffen-SS:武装親衛隊というよりは、 Allgemeine SS:一般SSの階級章の紹介になっているのが興味深い。
 
武装親衛隊の階級章に関しては、肩章が異なる他、陸軍同様に袖に付ける階級章も採用され ており、実際にはもっと種類が多く、高級将校の樫の葉のデザインも1942年の前後では異なっているが、ここら辺に関しては改めて機会をみて紹介すること にしたい。
 
    
   
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25.Jul.2000 公開
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