ここでは、戦時中のドイツ軍の兵営生活のタイムテーブルを紹介します。
    
 
はじめに
 
前ページに引き続き、このページでは兵営生活関連の写真を紹介する。
 
 
兵営生活の写真
 
 
 
練兵場での食事
 
フィールドキッチン(野戦炊事車)による給食。写真は模擬戦闘訓練中のショットであるが、野戦炊事自体も訓練である。このフィールド キッチンは、圧力鍋とコーヒー鍋を備えていて、一度に125〜225人分(容量200リッターの鍋で175リッター)のスープやシチューを調理することが でき、コーヒー鍋の容量も90リッターあった。通常はこの機材で調理されたえんどう豆のスープや、グーラッシュというシチューの他に、ライ麦パンなども配 給されていた。ドイツ軍の糧食の詳細に興味のある方は、「ドイツ軍の糧食」の コンテンツを参照されたい。
 
 
 
練兵場での食事
 
この写真も練兵場での昼食シーンを撮ったものである。記念撮影をしているのは、工兵の訓練を受けている兵達で、後方に組立途中の架橋資 材が写っている。工兵には陣地構築、架橋、渡河、爆破などの実習訓練が施された。
 


 
 
訓練

105mm軽榴弾砲:le. F.H.18の照準実習を受ける砲兵を写した写真である。このラインメタル社製の榴弾砲は、1935年から終戦まで師団砲兵の中核として使用された。この 砲で使用できる弾種として、高性能榴弾以外に曳光弾、焼夷弾、発煙弾、対戦車用の成形炸薬弾、夜間用の星弾などが用意されていた。この砲の諸元は口径 105mm、砲身長2,941mm、重量3,490kg、最大射程10,675mで、馬匹牽引タイプである。
 
(写真協力:schmidt氏)

 
 
訓練
 
こちらは75mm歩兵砲:le.Geb.l.G.18の超壕訓練中のスナップである。この砲には馬でひく弾薬運搬車以外に、測量機材 や、この超壕機材などを積載する荷車なども用意されており、操作員達にはこういった機材の取扱い訓練も施されていた。1927年に採用されたこの砲は、機 構が単純で軽量かつ故障が少なく、自動車牽引タイプや山岳タイプなどにも改良され、終戦時まで使用されていた。この砲の諸元は口径75mm、砲身長 855mm、重量440kg、最大射程3,550mで、写真は馬匹牽引タイプである。
 
 
  
訓練
 
自動車化歩兵の訓練風景。オートバイ兵用コートを着用しての射撃訓練である。後方には車両群も写っている。自動車化歩兵には、通常の歩 兵訓練の他に、自動車の構造や簡単な整備および操作に関する訓練も施された。
 
(写真協力:schmidt氏)
 
 
スポーツ
 
この写真は陸軍第14歩兵師団のアルバムの中の一枚である。写真にはサッカーゴールとボールが写っているが、ゲーム前の記念撮影と言っ たところであろうか。この様なスポーツは、訓練期間中や戦線後方でも、体力向上及び維持の目的とリクリエーションを兼ねて行われていた。この写真のゴール はしっかりした物であるが、中には角材等で即席に作ったゴールの写真もあり、前線でも余裕がある時にはサッカーを楽しんでいた事が偲ばれる。服装は私物と 官給品が混ざって様々であるが、前列中央の兵士が着用しているのは官給のジャージ上下である。更にその後ろの兵士のスポーツシャツは官給タイプのサッカー シャツ(ハンドボールと共用):Fussballblusen und Handballblusenであるが、左の胴の部分に布製の国家スポーツ章:Reichssportabzeichenが付けられている。また、写真の 左側、ゴールに掛けられているのも、官給ジャージと思われる。。
 
 
 
スポーツ
 
リングも何も無い屋外でボクシングを楽しむ兵士達の写真。グローブさえあれば出来るボクシングも気軽に出来るスポーツとして好まれてい た。左ストレートを繰出している兵の左足が、右側の兵の足を押さえているのが興味深い。ボクシングは部隊内や部隊間でも大会が行なわれており、チャンピオ ンは部隊の有名人になったと言われている。この写真では全員が戦前の白いコットン製作業着ズボンを履いているが、上着はアンダーシャツやスタンドカラーの 作業着、襟付き作業着、官給セーター等様々な格好をしている。
 
 
 
訓練
 
機関短銃の射撃訓練後に、的と共に記念撮影している兵士達。標的は重機関 銃を構えた敵の機関銃チームが描かれた物である。弾着は地面のあたりに多く集中しているが、兵士達の表情は 左程暗くない。機関銃用の的に興味のある方は「一枚の写真から(射撃訓練の後で)」のコンテンツを参照されたい。
 
 
 
営内清掃
 
兵舎清掃後のひととき。タイムテーブルでは、清掃後は夕食となっているが、写真の兵達は訓練・作業着を着て、清掃道具も持ったまま、軍 歌でも歌っているようである。アコーディオンやバイオリンを演奏している兵のほか、ハーモニカを吹いている兵もいる。ちなみに当時のドイツでは、数多くの 兵隊歌集が出版されており、アコーディオンやピアノ、ハーモニカ用の譜面も酒保で売られていた。
 
 
 
自習風景
 
この写真は兵営内で自習中の兵士である。戦前から戦争初期の兵士達は入営後、行軍訓練や戦闘訓練以外に、歴史観や軍隊生活、拳銃から小 銃、軽機関銃や手榴弾などの武器の取扱い、小銃弾の弾道、地図の見方や合図等と、各専門兵科の座学等の様々な講義も受けていた。戦争が始まってからは、次 第に実戦に関係のない講義は省かれ、訓練期間も短縮された。
 
 

洗濯風景

 
スポーツパンツ姿で、コットン製の訓練・作業着を洗濯する兵士達。兵士達は、洗濯は勿論のこと、ボタン付けや繕いものも、全て自分達の 手で行なわされた。また、小銃や装備類の手入れ、洗濯、繕い物などは、基本的に夕食後の自由時間に行なうこととされていた。洗濯の詳細に興味のある方は「兵 営生活(被服の手入れ編)」を、縫い物・繕い物に使用するソーイングキットに興味の ある方は「裁縫セット」のコンテンツを参照されたい。
 
 
 
訓練後の一時
 
これは野営訓練中のショットである。指揮をとっている下士官達がツェルトバーンの前に集まって、ボックビアのようなデュンケルタイプの ビールを楽しんでいる。
 
 
 
自由時間

夕食後の自由時間に、自室で革製装備の手入れをする兵士達。写真では長靴、編上靴、ウエストベルトや、弾薬盒の手入れをしてい る。背景には、個人用クローゼットが写っているが、野戦服や作業着、コートから外出着、帽子や下着等の衣類から、ベルト類や靴、水筒や飯盒、タオルや歯ブ ラシなどの洗面道具に至る個人装備の全てを、きちんと整理整頓して収納することが義務付けられていた。
 

 
 
自由時間
 
装備品の手入れが終わったところで、コーヒーブレイクを楽しんでいる兵士達。この写真は1935年の再軍備開始直後の撮影で、兵士達が 被っている略帽はライヒスヘーア期の34年型略帽である。この頃は、コーヒーも本物のコーヒーが飲めていたと思われるが、戦争が激化するとコーヒーも代用 コーヒーに変わってしまう。それでも温かい飲み物を飲む時間は、兵士達にとっては安らぎの時間であった。
 
 
 
自由時間
 
就寝前の自由時間に、くつろいだ姿でビールを楽しむ兵士達。営内の酒保では、ビールの他にワインやシュナップスなどの酒類を購入するこ とができた。自由時間の過ごし方では、シュカートというトランプゲームやチェスも流行っており、プライベートアルバムには、こういったゲームに興じている 兵士達の写真も散見される。また、背景に写っている金属製のポットはコーヒー用のポットで、コーヒーに関しては上の写真の様に、決められた時間で配給され ていた。
さらに、この自由時間や休日に、おふざけ写真を撮って楽しむ兵達もいたが、その様な写真に興味のある方は「一 枚の写真から(ドイツ軍の下着とパジャマ)」のコンテンツを参照されたい。
 
    
   
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30.Sep.2003 公開
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