ここでは、ドイツ軍の野戦服のフィールドグレーウール生 地の色のバリエーションについての展示をしています。
   
はじめに
 
ドイツ軍の野戦服のウール生地の色と言うとフィールドグレーと呼ばれているが、実際には 単にロットの差だけでは無く様々な色調の物がある。それらはウール生地のレーヨン混紡率や染料の変更に伴い変化したと言われているが、今回はその中から代 表的な物を紹介する。左側に掲載した写真は御覧の通りモノクロ写真であるが、おそらくこの色調の生地で作られていたであろうと言うサンプルを右側に掲載し た。これはあくまで残存する現物からの推測であり、参考資料である事をお断りしておく。
また、特に戦争が激化してからは同じ年式の野戦服も様々な生地で作られた為、必ずしもこ の年式の野戦服はこの色であると言う事では無い事も付け加えておく。
      

 
ライヒスヴェーアの野戦服
 
国防軍でも当初はヴァイマール時代のライヒスヴェーアの制服が着用されていた。
 
左の写真は1938年に撮影された物であるが、右端の兵のコートのみ襟の色が濃い事から、他の兵の被服は襟のグリーンが薄い色であった 旧型の被服を着用していると判断した。
 
ライヒスヴェーア時代の生地も様々な色調の物があるが、一例として色見本を掲載した。
 

 
礼服
 
これは野戦服では無く1935年型の礼服であるが、1936年採用の野戦服と同様の生地で作られた物もあった。
 
襟と袖口がダークグリーンで上着はフィールドグレー、ズボンはスレートグレー(ストーングレー)である。
 
礼服はテーラーメイドの物も多いので色調にはかなりのバリエーションが存在する。
 
写真の右隅の上等兵は上着と共生地のズボンを履いている。
 

 
1936年採用の野戦服
 
ドイツ軍の野戦服は上着とズボンで色が違うと言われている最大の原因が1936年型野戦服ではないかと思われる。
 
この野戦服は採用当初1935年型礼服同様、上着とズボンの色が異なった生地で作られていた。
 
ただし、後に生産性の問題と思われるがズボンもフィールドグレーのウール生地で作られる様になり、上下で色が異なると言う事も少なく なった。
 
また戦争が近づく頃にはフィールドグレー自体青味が薄く、黄色味が強い生地で生産された物もある。
 
写真は開戦当初の歩兵部隊であるが、上着とズボンの色が異なっているのがわかる。
 

 
1936年採用の野戦服
 
この写真は1940年の撮影で、すでに上着とズボンの色は同色となっている。
 
襟のダークグリーンも殆ど黒に見えるような濃い物や、このサンプルの様にグリーンとはっきりわかる物まで様々な色調の物があった。
 
またフィールドグレーもこの位の誤差があった。
 

 
40年型野戦服
 
1940年に新型の野戦服が採用になったが、多くは上の様に黄色味の強いフィールドグ レー生地で作られる様になった。
 
写真は1941年のバルバロッサ作戦時の物と思われる。
 
左隅の兵がジャックブーツではなく、スリッパを履いているのに注意(笑)。
 

 
41年型野戦服
 
1941年になるとウール原反の不足がかなり深刻になり、レーヨンの混紡率が高くなった為、生地の強度が落ち野戦服の前のボタンが5ケ から6ケに増やされた。
 
この頃のフィールドグレーも実際にはかなり色にばらつきがあるが、まだフールドグレーのイメージをきちんと残している。

 
42年型野戦服
 
1942年にはポケットのプリーツを省略した42年型野戦服が導入された。写真の左側が41年型野戦服、右側が42年型野戦服である。
 
こうして見ると二人の服に極端な色の差は無いので、上のサンプル画像の右側のフィールドグレー生地が使われていた可能性が高い。
 
サンプル画像の左側はフィールドグレー44(1943年頃から登場したと思われる)と呼ばれている色であるが、この色で初めてフィール ドグレーに分類が行なわれた。
 
42年型野戦服は稀にフィールドグレー44の生地で作られた物が存在するが、これは工場によっては43年型野戦服が採用になってからも 42年型野戦服を生産していた工場があった為と思われる。

 
43年型野戦服
 
この写真の3人は全て43年型野戦服を着用している。
 
左の海軍砲兵はおそらくフィールドグレー44と呼ばれたグレーブラウンの生地で、中央のSS上等兵はイタリア軍より接収した生地で、更 に右端の陸軍の兵は1943年頃に多く使われた色の濃いフィールドグレー生地で作られた野戦服を着用していると思われる。
 
これは陸・海・SSの区別では無く、手に入る原材料を使用したに過ぎず、この状況は1944年になると更に悪化した。
 
事実44年型野戦服などは、初期のフィールドグレー生地で作られた物もあり、使える材料なら何でも使ったと言う状況が想像出来る。
 
 
SSの野戦服に使われていたフィールドグレー
 
この写真はWaffen−SSの肩章の裏側に使われているフィールドグレー生地の画像である。
上段の3色と下段の左から2つは、1942年型の肩章の裏に使われている生地で、既にSSの被服廠が稼動している時期のSSで使われて いたフィールドグレーのバリエーションである。
また下段右端はスチールグレーと言われる色の生地で、一般兵科の野戦服よりも突撃砲搭乗服などに使用例が多い。
 
 

 
 
色のバリエーションについて
 
生地自体が染料で染められた糸で織られている為、実際にはロットによっても色が異なると言う事は否めないので、フィールドグレーと言っ ても「この色である!」と言い方は乱暴ではあるが、肩章の年式や野戦服の製造年からある程度の傾向は導き出せる。

画像は陸軍の様々な年式の肩章だがフィールドグレーでも微妙に色味が違うのが面白い。
そもそもネット上では各々の環境によっても色が異なって見えるので、この様なコンテンツ自体が何処まで有効かは難しい側面もあるが、実 際の軍装品を手にする事の少ないモデラーさん達やフィギュアのカスタマーさん達からは結構色の事を質問されるので、こう言ったコンテンツも何かの参考にな るかもしれないと言う思いで作ってみた。
これを機会にミリタリーイベント等に足を運んで実際の物の色を各自の目で確認するのも面白いと思う。
 

      
   
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05.Jan.2001 公開
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