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ドイツ軍のレーションは1943年から登場したと言われているが、これは米軍側資料で確認されているのみで、ドイツ側資料や鮮明な写真 等も殆ど紹介されていなかった。本コンテンツではアームズマガジンの連載記事を書く際に、サムズミリタリ屋のオサム社長より借りた写真で、ドイツ軍のレー ションを紹介する。 本コンテンツを制作するにあたり、貴重な写真を貸して下さったサムズミリタリ屋のオサム社長に、この場で感謝の意を表します。 |
(写真提供:SAM . MOTOJIMA氏) |
戦闘食 1943年から支給されたこの戦闘用の特別食は調理しないで食べられる事と、携行性に主眼が置かれており高カロリーである事が特徴で あった。 これはドイツ軍の戦闘食のパッケージが写っている大変貴重な写真である。 これらの非常食料は基本的には部隊の補給車両等に積み込まれているか、出撃前に支給され、指揮官の判断で食べる事が出来た。 内容は米軍が調査した資料によると、ビスケット・キャンディー・缶入りチョコレート・タバコから構成されていた。 この戦闘食に関しては、前述の米軍が調査した資料によると、大型戦闘食:Grosskampfpaeckchenと近接戦闘食: Nachkampfpackchenの2種類が前線部隊のみに支給されたとされている。 余談ではあるが、レーションを配っている下士官の略帽の折り返し部分に、サイズ調節の為に行なったと思われる接ぎ目があるのが興味深 い。 |
これは、上の写真のパッケージ部分を拡大した画像である。 しかし、前述の資料には、何故か大型戦闘食の内容しか記述されていない事と、大型に対するNachkampf:近接戦闘が不自然な事が 気になる。 そう言った目でこの写真を見ると、パッケージに印刷されている”Fuer Frontkaempfer im Grosskampf :偉大なる戦闘に従事する者の為に”のGrosskampfの”Gross”を大型と誤訳しただけで、実際にはパッケージに印刷された戦意高揚標語的名称 にバリエーションがあっただけではないのかな?等と考えてしまう。 |
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(写真提供:SAM . MOTOJIMA氏) |
この写真は戦闘食の中身が写っていると言う意味で、やはり大変貴重な一枚である。 この兵士が口にしているのはビスケットであるが、内容が米軍資料の「ビスケット・キャンディー・缶入りチョコレート・タバコから構成さ れていた。」と言う記述とは若干異なる様にも見える。 当時のドイツでは、エネルギー源としての炭水化物はジャガイモからも作る事が出来たので、様々な代用食に利用されていたそうであるが、 同時にそう言った食糧にビタミン等を添加する試みも行なわれており、戦闘食のビスケットも現在のカロリーメイトの様な物であった可能性がある。 事実、当時から前線の兵が持ち歩く事の出来る、ビタミン剤のケース(金属製の缶)等も作られている。 |
パッケージの左側にはビスケットが並んでいる。 画像右上の包みに関しては、キャンディーバーの可能性も感じるが、詳細はわからない。 親指の近くに写っているパッケージは、”Juno”と言う銘柄の紙巻タバコ。 |
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(写真提供:SAM . MOTOJIMA氏) |
これもまたレーションを食べている兵の写真であるが、兵が手にしているのは”ドロップ”である。 上の写真のレーションとは中身の配置等に違いが見られるが、レーションの大きさに関しては、上の写真の物が小型で、これが大型なのだろ うか?。(どちらにしても米軍の資料とは矛盾する) いずれにしても、米軍の報告資料にある、缶入りチョコレートは確認出来ないが、本当はどうだったのであろうか。 この写真に前後して撮られたあろう写真も是非見てみたいものである。 陸軍の迷彩スモックの写真も比較的珍しいが、レーションの中身の写真は更に珍しい。 |
米軍の調査資料の”キャンディー”に関しては、この写真の”ドロップ”の事で、キャンディーバー等ではなく飴玉状の物であった可能性も 考えられる。 今までに収集したドイツ側の一次資料は1942年版の補給関係資料の為、この戦闘食に関する記述が全く無いので詳細はわからない。 もしも御覧の皆様の中でなんらかの情報をお持ちの方がいらしたら、是非とも御教示下さる様お願い致します。 |
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