このページでは、ドイツ軍のハンカチを紹介し ます。

   
 
はじめに
 
今回は、当時のハンカチ:Taschentücher を紹介する。
ハンカチは、陸・海・空軍とSSが、各々兵士達に2枚ずつ被服類と共に貸与していた。
この貸与品はいわゆる官給品で、実際には多くの兵が私物も使用していたと言われる。

余談ではあるが、”Wehrmachseinngeitum :
国防軍所 有品(備品)”のスタンプの押されたハンカチが市場に出回っており、書籍など でも紹介されているが、タオルや毛布、毛布カバー、シーツ、枕カバーの類で見 る限 りは国防軍というくくりでは無く、通常陸・海・空軍単 位で管理されていた。そもそも、”国防軍最高司令部: Oberkommando der Wehrmacht”は予算配分を受けていた組織であるが、”国防軍: Wehrmacht”となると、陸・海・空軍を合わせた国軍の総称であって、 国防軍自体が備品を各兵士に貸与したというのは少々不自然に思える。
”Wehrmachseinngeitum : 国防軍所有品(備品)”の刻印等が入って いる物としては、一部の衛生用品が知られているが、これは部隊備品であり、兵士個人に貸与される性格の物では無い。

本コンテンツを作成するにあたり、当時のハンカチの使用状況についてご教示下さった、元兵士のSchote氏にこの場で改めて感謝の意を表します。
 

官 給ハンカチ



陸 軍の官給ハンカチ

陸軍では各兵士に2枚のハンカチを支給していた。

サイズは485mm×485mmとやや大判で、グレー地にダークグリーンの柄が織り込まれている。

特に軍用を示すスタンプ等は無く、一見極普通のハンカチである。


私物ハンカチ


布製ハンカチと紙製ハンカチ
 
画像は、私物の布製のハンカチと、野戦郵便のパッケージに入れられた状態の紙製ハンカチ であ る。
この布製ハンカチは、陸軍の野戦服を購入した際に、ポケットに入っていた物で、当時の兵士が実際に使用していた物と思われる。
日本と異なりドイツでは、ハンカチの使途は手を拭いたり汗をぬぐう物では無く、鼻をかむ物である。
鼻水は、菌を体外に出すもので、鼻水をすすると言う行為は、極めて不衛生な事とされている。
手を拭いたり汗を拭う際にはタオルを使用する事とされていたが、タオルを常に携行していた訳では無いので、通常は被服がその役を担っていた。
紙製のハンカチは、布のハンカチを洗濯できない状況下で、便利な鼻紙として使用する為の物であった。
これらのハンカチは、前線でも野戦服の腰ポケットや、ズボンのポケットに入れて携行されていた。

布製ハンカチ
 
綿製のハンカチ。このハンカチのサイズは36cm×32cmで、正方形ではない。

生地の風合いは、目の細かいガーゼのようである。

かなり使い込まれていて、破れやほつれも随所にあるが、持ち主 は、簡単に新しいハンカチが入手出来ない状況にあったのかもしれない。

ハンカチは通常一週間に一度洗濯場へ被覆類と共に出し、替えを受け取る事 になっていた。

ディテール
 
ハンカチの四辺には、画像のようなストライプ柄が入っていて、ほつれないように縫われて いるが、画像の縦と横では折り返しの幅が異なり、横の方が大きく折り返されている。
これは、本来36cm角のハンカチが、ほつれたために補修した為かもしれない。

紙製ハンカチのパッケージ
 
パッケージ表面。

パッケージの左上部には”野戦郵便包み:Feldpostbrief”と、右上には”無 料郵便:Portfrei”と印字されている。
その下には、宛先と差出人記入欄
下部に見える”
Inhalt:Schützengraben-Taschentücher.” は、”内容物 : 塹壕−ハンカチ”の意。

紙製ハンカチのパッケージ
 
パッケージ裏面。

裏面はこのように、何も印字されていない。

パッケージのサイズは、17cm×8.5cm
×1.4cmである。

紙製ハンカチ
 
この野戦郵便包みになっている紙製ハンカチは、内地の母や妻、恋人などが、こまめに洗濯ができないであろう前線で、息子や夫、恋人達が、不便な生活を強いられて いるのでは・・・と、慰問品として送るための物だったと思われる

他の慰問品を送る際に使用されていた、通常の野戦郵便小包用パッケージには、
” 無 料郵便:Portfrei”の文字は印刷されていない事から、この紙製ハンカチは国が認めた特別扱いの品だったのであろう。


ディテール
 
このパッケージは帯封状で、紙製ハンカチの長手方向を長方形の紙で巻 いて、糊付けしてある。
紙製ハンカチは、更に硫酸紙の帯封で短辺方向をまとめられている。

パッケージに使用されている文字であるが、
野戦郵便包み:Feldpostbrief”、”無 料郵便:Portfrei”、”内容物:Inhalt”の文字は、ローマン体やゴ チック体などの通常の活字であるが、”Schützengraben-Taschentücher.”は飾り文字が使用されていて、”S”と”T”は唐草のような装飾が施された凝った文字が使用されている。

ディテール
 
このパッケージには8枚の紙製ハンカチが入っている。

紙製ハンカチは、現在のティッシュペーパーとペーパータオルの中間位の厚みで、紙質は
再生紙で新聞の活字などがたまに見えた、日 本の昔の落とし紙より良質で、ペーパータオルに近い感じである。

と言っても、今の若い人達には解らないかもしれないので、乾いてしまったウェットティッシュに近い感じと補足しておく。

ディテール
 
紙製ハンカチの表面は、画像のように細かいシワがよっていて、吸水性に優れていると思わ れる。

紙の厚み(強度)から、鼻紙として使用した場合は、折り返しながら使用すれば、かなりの 回数使用可能だったと思われる。

布のハンカチが、自分で洗わない限り、一週間に一度の洗濯で使用されていた事を考えると、この紙製ハンカチも複数回使用したと考えた方が自然だろう。

紙製ハンカチ
 
紙製ハンカチのサイズは、33cm×33cm。

鼻紙としては大きく、落とし紙(トイレットティッシュ)としても使用出来る大きさである。
  
  
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本サイトに掲載されている文章及び画像の 無断転載はお断りします。Copyright  2010  STEINER

18.Sep.2010 公開
25.Oct.2010 改訂
05.May.2011 増補改訂
  29.Apr.2012 改訂 
  
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