このページでは、ドイツ軍のファーストエイドと衛生用品 を紹介します。
   
はじめに

今回は、ドイツ軍兵士が、その野戦服の包帯用ポケットに入れていた応急処置用包帯 (消毒済みガーゼ付き)を中心に、しもやけクリームやコンドームなどの衛生用品を紹介する。本コンテンツを制作するにあたり、貴重なコレクションを取材さ せて下さったMOCHI氏に、この場で感謝の意を表します。

   
応急処置用包帯
 
ドイツ軍の負傷者に対する医療技術はかなり高かったと言われているが、その第一歩が前線 での処置でありその時に使用されたのが、今回紹介する”応急処置用包帯”である。
これらの包帯は衛生兵が持っている救急箱にも入っていたが、各兵士の野戦服の包帯用ポ ケットにも入れられていた。中身は消毒済みのガーゼと包帯からなるが、非常に多くのメーカーが生産に携わっていた様で、現存する包帯を見てもなかなか同じ パッケージの物を見つける事が難しい位である。
パッケージの形態には様々なバリエーションがあるが、中身は概ね同じ物が入っていて、 パッケージと中包みの油紙には取扱い説明がプリントされている。
取扱い説明の概略は「これを使用する際には”ここから開ける”の位置を破いて中身を取り出し、油紙 を開くとガーゼと包帯に”ここ”と指定してある部分があるので、そこを持ってガーゼを傷口に当て、包帯を巻きなさい。中身の包帯とガーゼは120℃の蒸気 で消毒してあるので、絶対に指定された以外の場所を素手で触れてはならない。」と言った内容がプリントされている。
   
 
包帯 1
 
1935年PAUL HARTMANN社製の包帯で、フィールドグレーの綿布で包まれているが、中には黒いゴム引きのパックが入っている。
 
大きさは110mmx65mmx30mmで野戦服の包帯用ポケットに丁度入るサイズに なっている。
包帯 2
 
1937年Dr.Degen&Kuth,Dueren-Rhid社製の包帯で、 フィールドグレーの綿布で包まれているが、これも中の黒いゴム引きのパックと二重包装になっている。
 
通常は製造年のみの記載が多いが、この包帯では8月12日と日付までスタンプされてい る。
 
包帯 3
 
1939年Wienの HARTMANN&Co社製の包帯で、フィールドグレーの綿布で包まれており、中には黒いゴム引きのパックが入っている。
 
大きさは80mmx50mmx30mmで、元オーストリア製の為か、ドイツの野戦服の包 帯用ポケットに合わせた規格では無い。
包帯 4
 
1940年BerlinのVerbandstoff-Industrie社製の包帯で、 黒いゴム引き布で作られたパックに入っているタイプ。
 
このタイプのパッケージには画像右下の様に”切り口”が付けられていて” Hiereinreissen”とプリントされている。
包帯本体の大きさは105mmx55mmx30mm
 
包帯 5
 
1940年WiesbadenのW.Saehgen & Co.社製の包帯。
1939年の開戦後、これらの装備も大量に消費される様になり、二重包装を廃止した物と 思われる。
包帯 6
 
1942年PAUL HARTMANN社製の包帯だが、パッケージのメーカー名の後に”Paris”の文字が見える事から、占領地でもこれらの製品を作っていた事が判り興味深 い。
 
包帯 7
 
1943年WIENのVERBANDSTOFFABRIK RAUSCHER & CO.社製の包帯だが、このパッケージは生色のゴム引き布で作られている。
包帯 8
 
1943年Bruexer Verbandstoff.Werke社製の包帯だが、この包帯は二重包装になっていて、フィールドグレーの布を開くとゴム引き布のパックが入っている。
 
包帯 9
 
1944年BerlinのVerbandstoff-Industrie社製の包帯。
 
これは85mmx40mmx25mmと小型の物だが、これも”包帯8”の画像の物と同じ 様に二重包装になっていて、中にゴム引きのパックが入っている。
 
殆ど全ての装備が簡略化されていたこの時期に、二重包装に戻したのは戦場に捨てたパッ ケージ自体の迷彩効果の為と思われるが確証は無い・・・。
包帯 10
 
1944年BerlinのPelz&Behnke K.G.社製の包帯。
 
これは通常の大きさ物だが、これも”包帯8”の画像の物と同じ様に二重包装になってい る。
 
これも”包帯9”と同じく1944年製であるが、外装は生成りの布で包装されている。
パッケージの色に関してはメーカーで異なるのか、1944年中に規定が変わったのかは不 明。
 
包帯 11
 
1945年HohenelbeのKleining&Co K.G.社製の包帯。
 
これは通常の大きさ物で、裏側が黒のゴム引き布でパッケージされている。
 
上の段の”包帯10”と同じく、外装のパッケージはミシンで外周を縫った物となってい る。防水性能を確保する為、パッケージには接着剤も併用してあり、ミシンで縫ったのは品質の落ちた接着剤の補強の為と思われる。
包帯 12
 
これらは野戦服用では無く、施設用の包帯である。
 
左の小さい方はHARTMANN社製であるが、この包帯も野戦服同様の注意書きが裏側に プリントされている。
因みにHARTMANN社は”包帯1と4”の画像の包帯を作ったメーカーでもある。
 
右の包帯はメーカー名等が削り取られてしまっているが1940年8月7日に作られた物の ようだ。
 
応急処置用包帯の中身
 
1941年KoenigsbergのF.Noide & Co.社製の包帯。
 
これは入手時には既にパッケージが開けられていた物で、中身が見たくて購入した物だが、 パッケージは黒のゴム引きを施した白い綿布製で、内側が黒いゴムの面になっている。
 
油紙にはパッケージの裏側にプリントされているのと同様の取扱い説明がプリントされてい る。
応急処置用包帯の中身
 
油紙を開くと消毒済みのガーゼ(黄色い薬剤が染み込ませてある。)と包帯が入っている。 また、この様にガーゼと包帯は細い糸で括られて入っている。
 
パッケージと油紙にプリントされている取扱い説明で繰り返し注意されているが、ガーゼと 包帯には”Hier !”と紫色のスタンプが押されていて、実際に傷口に当たる部分を素手で触らない様工夫されている。
   
衛生用品
   
 
画像上の2枚:しもやけクリーム(SS用)
 
おそらく東部戦線に備えて生産された物と思われる。
この様なアイテムにまでSS用があるのが興味深いが、占領地のメーカーに作らせたか、施 設を接収し生産した物らしく戦後東欧から大量に出てきた。
 
画像左:フットパウダー
 
長時間ブーツを履いている兵士の必需品。
靴下を履く前に足に振りかけると汗止めの効果があるという物で、シッカロールの様な粉末 が入っている。
 
 
 
蓄膿症の治療薬
 
欧米人は東洋人よりも蓄膿症患者が多いと聞いた事があるが、この様なチューブも軍装品の 仲間に入っているのだから本当かもしれない(笑)。
 
中身は勿論空だが、この薬はオーストリアのザルツブルクで生産されていた物。
 
官給コンドーム
 
ドイツ国防軍用のコンドームであるが、他国の軍隊同様コンドームを支給するのは避妊の為 では無く、兵士の性病予防が目的である。
1939年、ドイツでは国防軍兵士の健康を守る事を目的に街娼を禁止し、売春宿を警察の 管理下で衛生上の監督を受ける様指示した。1940年にはフランス占領軍に対し、兵士が利用するのに適切な店を指定し、それ以外は利用を禁止したが、ポー ランドや1941年以降の東部戦線の占領地等でも同様の措置が取られた。(海軍も軍港に軍管理の慰安所を設置していた。)
ドイツ本国においては軍専用の慰安所は設置されていなかったが、占領地の慰安所は野戦軍 指揮官の監督下、中隊長が軍医と協力して運営をしていた。
入場料は安く、兵士達が民間の売春宿に行かない様配慮されていた。
因みにこのコンドームはドライタイプで、現在でも弾力性を失っていない。
 
 

 
コンドームのバリエーション
 
これはLeipzig:ライプツィッヒのOtto Dillner:オットー・ディルナー社の製品で、軍にも納入されていた”Odilei”と言う商品名のコンドームである。
3年間の長寿命が売り文句として箱にプリントされており、中には紙包みに入れられたコンドームが3包み入っている。
 
 MOCHI 's コレクション
コンドームケース
 
これはコンドームを収納携行する為の缶である。
大きさはコンドームが丁度入る程度の大きさで、ブリキをプレスして作ってある。
中には長期間保存が出来ると言った内容の能書きが印刷された紙片が入れられているが、これらはおそらく酒保等で購入出来た物と思われ る。
コンドームケースは他にもバリエーションがあるので、当時はこの様な物が日常的に使われていたのかもしれない。
  
今回は医療系のアイテムを中心に紹介したが、戦争に於いては訓練を施した兵士を 如何に大事にするかと言う事も重要な事で、負傷兵をどの様なシステムで治療し、どの様な形で前線に復帰させるかと言う事についても色々工夫がされていた。 これらのシステム等に付いてはまた改めて紹介したいと思っている。
   
   
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23.Oct.2000 公開
20.Aug.2001 改定
03.Jan.2003 改訂
  

  

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