今回は、ルガーP-08用のホルスターを紹介する。二次戦時のドイツ陸軍では初期型、後 期型と2種類のホルスターが使用されていたが、このページで紹介しているのはその後期型である。本コンテンツを制作するにあたり、貴重なコレクションを取 材させて下さったオータさんとMOCHIさんに、この場であらためて感謝の意を表します。 |
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ルガーP-08は第一次大戦時より引き続き生産使用された軍用拳銃で、9mmパラベラム 弾を使用する大型拳銃であった。ルガーP-08はP-38が採用になってからも一部の将校やSSなどでは使用され続けた。 前述の様に、ルガーP-08には、前期・後期型のホルスターがあったが、この写真のホル スターは後期型で蓋がベルトで止めるようになっている。 写真左上:正面より。 写真上:裏側より。裏側のベルトループは若干斜めに付けられていて、拳銃が抜きやすいよ うになっている。また、メーカー刻印”cxb”、製造年”41”、”WaA721”、と”P.08” の刻印が打刻されている。 写真左:蓋を開けた状態。本体の上方の下方にくれた部分に見えるのが、ガイドの革ひもの 末端部で、これを引っぱると拳銃が抜き出せる様に作られている。 |
蓋を留めるベルト部のクローズアップ。 ベルトには3つの穴が空けられており、鉄製のバックル金具は黒色に塗装されている。 |
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ホルスター本体右側には、予備マガジン用のポケットが付けられている。 |
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ホルスターの内部。こうして見ると、ホルスターのベルトループ取り付け部以外は、厚い革 一枚で作られている事がわかる。 |
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前述の拳銃を抜く時に使用する、ガイドの革ひもであるが、モデルガンで試してみると確か にこの革ひもは有効であることが良く解る。 |
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蓋を開け、ガイドの革ひもを引っぱり出した状態。 この状態で実際に拳銃を入れると、トリガーガードがガイドの革ひもを再び押し下げる様に 作られている。 |
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蓋を開けると蓋の裏側にポケットが付けられている。このポケットには工具(マガジンロー ダー兼分解工具)が収納されている。 |
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工具収納ポケットと、工具のクローズアップ。 |
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この工具のセンターの穴はマガジンに弾を装弾する時に使用する。また、画像では右の方に のびている部分は分解用のスクリュードライバーに(ネジ回し)なっていて、グリップを外す時や撃針を分解する時に使用する。 写真上はこの工具の表面である。全長5cmの小さな工具であるが、ヴァッフェンアムトの 刻印が打刻されているのが見える。 写真下は、マガジンに装弾する際に、マガジンに接する面である。溝が切られているが、こ れはマガジンの突起に合わせる為のものである。 |
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ヴァッフェンアムトの刻印のクローズアップ。 鷲の下には”63”の数字のみが打刻されている。この”63”は” Waffenwerke Bruenn”社製である事を示している。 |
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この図版は、REIBERTのP-08に関するページに掲載されているもので、マガジンへの装弾方法の説明である。 P-08のマガジンには、装弾時に押し下げる為のツマミが側面に付けられているが、これを手で押し下げると指を痛めてしまう可能性があ る。この工具はマガジンのツマミに引っ掛け、押し下げる作業を安全に行なう為の道具である。 |
オータ氏コレクション |
刻印のクローズアップ。写真の右方には、このホルスターがルガーP-08用である事を示 す”P.08”が、また、ベルトループの間にはメーカーコード、製造年、バッフェンアムトの刻印が打刻されている。 |
メーカーコード、製造年、ヴァッフェンアムトの刻印のクローズアップ。メーカーコードの”cxb”は、Goch, Rheinlandの” Moll, Lederwarenfabrik ”社のコードで、その下の”41”は製造年、更に下方にヴァッフェンアムト”WaA721”が打刻されている。 |
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これは、同じくP-08用の後期型ホルスターの刻印である。(注1)”epf” はメーカーコード、”1941”は製造年、右側にバッフェンアムト”WaA195”が打刻されている。 ”epf”は、” Interessengemeinschaft fuer Bergbau u. Huettenbetrieb AG, Betriebsgruppe Bismarckhuette, Huettenwerk Falvahuette in Schwientochlowitz, Kreis Kattowitz,のコードで、後の”'Koenigs- u. Bismarckhuette A G”を示している。 |
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MOCHI氏コレクション |
これは1937年製のホルスターの裏側の刻印であるが、P−38の採用前である為、P− 08の打刻は無い。また、本格的な戦争が始まっていない為、メーカー名もコード化されていない。 |
上の画像の刻印部のクローズアップ。画像左側にはメーカー名(判読不能)の刻印、中央部 に”WaA387”が、更に右側に製造年を示す”1937”の文字が打刻されている。 |
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このピストルホルスターは、写真の様にウエストベルトに通して携行される。左腰に下げた時に、拳銃が抜きやすい様に若干角度が付けられ ている。 |
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上の画像の裏側。サスペンダーを装着する際には、写真の様にリング付きベルトループを、ホルスターのベルトループの間に挟んでウエスト ベルトに通しておく。 |
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上で紹介したリング付きベルトループ。 |
(注1) : このホルスターはキャプションの通り、1941年に生産さ れた物であるが、戦後の西ドイツで継続使用された為、GI型ベルトに取り付ける為の改造(革製のベルトループを外し、ベルトに掛ける金具を取りつけた)が 為されていた。画像の穴を埋めた跡がその痕跡であるが、西ドイツが放出後に金具を撤去し、穴を埋め、ベルトループがレストアされている。 |
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