ここでは、Waffen-SSのEパターンのツェルトバーンの展示をしています。
   
はじめに
 
今回は、SSの迷彩ツェルトバーンの中でも最もポピュラーなEパターン迷彩の物を紹介す る。このEパターンのツェルトバーンは生産数も多く、細かく見ていくと実に多くのバリエーションが存在するが、ここでは2型と3型の違いと、迷彩パターン を意識した裁断の有効性に焦点を絞って観察してみる事にした。
   
 
 
SS迷彩ツェルトバーン
(2型Eパターン春夏側)
 
SSの迷彩ツェルトバーンの作りが3種類ある事や、迷彩パターンの種類に付いては既にそ れぞれのコンテンツで説明してあるので、ここでは細かい事に付いては省略する。
このツェルトバーンは赤味の強いEパターンの生地で作られており、春夏側の迷彩パターン は点対称になる様に裁断されている。
更に良く見ると左右で迷彩パターンが繋がる様に意識して作られており、興味深い。
 
 
SS迷彩ツェルトバーン
(2型Eパターン秋側)
 
これは上の写真のツェルトバーンの裏側である。Eパターンは初期のA・Bパターンと異な り、裏表の迷彩パターンが同じ位置に来るようなプリントをしていないので、この様に全く違った印象になっている。上の写真では、迷彩パターンが左上から右 下ヘ流れる感じになっているのに対し、こちら側は水平に繋がった感じになっており、迷彩効果は若干劣っている。なお、2型のツェルトバーンでも、迷彩パ ターンを左右で点対称にしていない物も多く作られていた。
 
 
SS迷彩ツェルトバーン
(3型Eパターン春夏側)
 
3型ツェルトバーンの特徴は、写真の黒い矢印の部分で縫い合わせた作りになっている事で ある。これは慢性的な綿布の不足から、原反巾の狭い布も利用せざるを得なかった為で、1943年以降に生産されている。
こちらのツェルトバーンは、迷彩パターンが左右で同じ方向で、パターンの繋がりも無視し て縫い合わされている。しかし、Eパターン自体の図柄が小さいので違和感は感じない。
 
 
SS迷彩ツェルトバーン
(3型Eパターン秋側)
 
これは上の3型ツェルトバーンの裏側である。こげ茶色のパターンを中心に見ると、迷彩パ ターンのリピートや迷彩のプリント方向が良くわかるが、なんとこちら側は迷彩パターンが点対称になっている事がわかる!。
このツェルトバーンの左半分の生地に関しては、迷彩プリントが裏表で逆の方向でプリント されているという事になるわけだ。これが意図的に行われた行為かどうかはわからないが(恐らく違うと考えている)興味深い。
迷彩パターン
 
上で紹介した2枚のツェルトバーンは両方共同じパターンで、この様に色味は違ってもパ ターンは繋げる事が出来る。これによって生地巾が変わってもパターン自体は変更されていなかった事がわかる。
画像中央より左が2型のツェルトバーンで、右が3型。
ディティール
 
これは2型の春夏側であるが、センターのつなぎめで、迷彩パターンを点対称に縫い合わせ てあるのがわかる。一応迷彩パターンも左右で連続する様に、位置合わせをして裁断しており、凝った作りになっている。
ディティール
 
これも上と同じ2型のツェルトバーンの秋側だが、迷彩パターンは点対称になってはいるが 連続性は失われている。これは今までにも何度か書いている様に、SSの迷彩装備の多くが春夏側を表として作っている事と一致している。上から2番目の写真 を見るとわかる様に、同じパターンでも変に規則的なパターン配置になると迷彩効果は低くなる。

 
ディティール
 
これは3型ツェルトバーンの接合部。
こちらのツェルトバーンでは、接合部の迷彩パターンの繋がりという意識は全く無視されて いる。
しかし、上から3番目の写真を見ればわかる様に、遠目から見れば全く違和感は感じない。
ディティール
 
これも3型ツェルトバーンのセンターのつなぎ目であるが、迷彩パターンは全く無視して裁 断されている。
当初パターンを合わせて裁断したが、思った程迷彩効果に違いが無かった事と、何よりも原 材料の綿布が慢性的に不足していた事が理由と思われる。
ディティール
 
これは一番上で紹介した2型のツェルトバーン。
ツェルトバーンをポンチョとして着用する時の為のスリット部のカバーには、Aパターンの 生地が使われている。この部分にパターンの異なる生地を使用する事は珍しく無いが、ここまでパターンが異なる生地を使用すると、本体をわざわざ迷彩パター ンを合わせて裁断する必要があったのか?と疑問に感じる。
ディティール
 
これは3型ツェルトバーンのスリット部。
こちらは同じ迷彩生地の端切れを使用している。
迷彩パターン自体は90度向きが異なっているものの、迷彩効果としては全く問題を感じな い。
Eパターンに関してはA・Bパターンに比べてパターンのリピートが短いので、下手にパ ターンを合わせ様とすると、かえって規則的なパターンが現れてしまい、全体としての迷彩効果を減じてしまうという事がわかる。これはEパターンが裁断位置 を考慮しなくて良いと言う意味で、完成度が高いと言う事でもある。
   
   
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09.Sep.2000 公開
  
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