このページでは、ドイツ軍の携帯用スコップを紹介します。
   
はじめに
 
第二次世界大戦時のドイツ軍では、数種類のスコップが使用されていたが、最もポピュラー なスコップは第一次世界大戦時から使われていたタイプで、Kleines Schanzzeugと呼ばれていた。
他に1938年に採用になった折畳み式スコップ、オーストリア軍の物、工兵などが使う大 型スコップなども使用されていたが、今回は第一次大戦タイプの改良型スコップと折畳み式スコップの2種類を紹介する。
   
 

 
折畳み式スコップとストレートスコップ
 
スコップはタコツボなどを掘る道具として各国の兵士に支給されていたが、ドイツ軍でも携 行に便利な小型スコップが支給されていた。
また、スコップは穴や溝を掘る目的の他に白兵戦時の武器としても使用された。
画像上は1938年に採用になった折畳み式スコップ、下は第一次大戦型スコップの改良型 である。
 

 
 
Kleines Schanzzeug
 
小型スコップと呼ばれたこのスコップは、第一次世界大戦時から使われていたスコップと殆 ど同じ形の物であるが、ブレード部と柄を固定するマウント部がスポット溶接で接合されているのが特徴である。
第一次世界大戦時の物は、この部分がリベットで接合されており、柄を固定するマウント部 も鉄製の輪でかしめてある物が多い。
ヨーロッパの各国軍隊のスコップは良くデザインが似ているが、このスポット溶接を採用し ていたのはドイツ軍のみであったと言われている。
 
 

 
Kleines Schanzzeug
 
写真は携行用ケースから出した状態のスコップだが、鉄板プレスで作られたブレードとマウ ント、オーク材で作られた柄で構成されていて、全長は535mm、携行時はケースに入れられ腰のベルトに下げる様になっていた。
携行の便を計るため短く作られたこのスコップでは、大掛かりな塹壕などは掘れないが、個 人壕(タコツボ)などを掘るには柄が邪魔にならず便利な寸法になっている。
 

 
ディティール
 
ブレードは写真の様に上部を折返した鉄板製で、折返し部はマウント部を挟み込む形に作ら れている。
これはスポット溶接部や柄を固定しているリベット部にだけ力が掛かる事を防ぐ効果があ る。
スポット溶接の採用と、このプレスによる作り方でかなり生産性は向上したと思われる。
 

 
ディティール
 
オーク材で作られた柄は、この様に鋼鈑で作られたマウント部で挟み込まれる形になってお り、鉄製リベットでしっかり固定されている。
 
ディティール
 
ブレードは穴などを掘りやすくするために、グラインダーで研がれていた。これは武器とし て使用する際にも有効だったと言われている。
実際にこのスコップを使用してみると、やはり柄が短いので木の根などが多い場所などを掘 るのはかなり骨が折れる。銃剣なども併用していたそうだが、タコツボを一つ掘るのはかなりの重労働だったと思われる。
ディティール
 
このスコップは写真では見えにくいがブレードにckzの刻印が打刻されている。
これはメーカーコードの刻印であるが、本来軍用のスコップにはWaA:ヴァフェンアムト の刻印も打刻されているべきであると思われるが、このスコップでは確認出来ない。
また、画像左端を見ると、ブレードが補強の折返し部まで研がれているのがわかる。
 
 
Schanzzeugfutteral:ケース
 
このケースはベルト通しとスコップ固定用ベルト以外は圧縮した紙(人造皮革)で作られて いる。
1935年からの再軍備開始による兵員の増員に続き、1939年の開戦後の増員でドイツ は皮革原料の不足にみまわれていた為、早い時期から折り曲げをしない装備の多くは、この様に人造皮革を使用していた。人造皮革の代表的な使用例としては、 機関銃手の工具ポーチや信号拳銃のホルスター、書類ケースやウエストベルト等がある。
このケース、元々はリベット止めのスコップが入れられていた様で、リベットの跡が残って いる。
 
メーカースタンプ等
 
ケースにはこの様にヴァッフェンアムトとメーカー・製造年刻印が確認出来る。写真中央や や上の国家鷲章の下にWaA300と打刻されているのがヴァッフェンアムトである。eue/42はメーカーコードOtto Reichel, Inh. Rudolf Fischer, Lederwarenfabrik, Lengfeld, Erzgebirgeと製造年1942年を表す刻印。
ケースも作りにバリエーションが存在するが、メーカー格差や年代による違いは体系的には わからない。
 

 
 
銃剣の装着
 
銃剣はそれ自体が革製の銃剣吊りに入れられているので、ウエストベルトに下げる事が出来 るが、スコップを携行する場合にはスコップに固定して携行する様になっていた。
装着は銃剣をスコップに重ねて固定用ベルトでスコップと一緒にとめるだけだが、これで 走ってもそれぞれがバラバラに揺れない効果があった。
 
 

 
銃剣の装着
 
銃剣をスコップに固定した状態を示す。
この状態はタミヤのプラモデルのお陰ですっかり御馴染みになりましたね(笑)。
   
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24.Dec.2000 公開
04.Apr.2002 改定
17.Jan.2003 改定
  
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