このページでは、ドイツ陸軍のツェルトバー ンの付属品を紹介します。

   

はじめに
 
 本コンテンツでは、”迷彩ポンチョ”の別名でも知られる、個人用携行天幕”31年型 ツェ ルトバーン”の付属品:”Zubehör zum Zeltbahn 31”と、その”収納袋”:”Zubehörbeutel”を 紹介す る。
31年型ツェルトバーンは、他の多くの個人装備同様1920年代 から開発試用され、1931年に新しく採用されたが、このツェルトバーンの付 属品に関しては旧来の物が継続使用された。

 各兵士に支給された付属品の内容は以下の通り
・テントロープ 長さ2m 1本 : 1 Zeltleine, 2m lang. 黒 に染められた、太さ4mmの麻のロープ
・テントポール 1/4 1本 
1 Zeltstosk, vierteilig. 4分割された木製のテントポール
・ペグ 2本 
:  2 Zeltpflöcke.

 本コンテンツを制作するにあたり、貴重なコレクションを貸して下さったエーデルマン氏に、この場であらためて感謝の意を表します。

  

Zubehoer zum Zeltbahn 31


31年型ツェルトバーンの付属品:Zubehör zum Zeltbahn 31
 
31年型ツェルトバーンの付属品と、その収納袋。付属品は、テントロープ、テントポール、テントペグから構成されてい て、それらを収納する付属品収納袋が用意されていた。

92年型テントロープ:Zeltleine 92

Zeltleine 92



92年型テントロープ:Zeltleine 92

1892年に採用されたテントロープは、長さ2m、太さは4mmで、両端部は輪になっている。
素材は水に濡れると強度が増し、引っ張りに強い事から船舶用ロープとしても用いられる麻で、黒く染められている。

戦時中は、黒染にされていないロープも供給されたが、正規の物は黒染された物である。


ディティール

両端部の輪は、この様にロープを編んで作られている。
01年型テントポール:Zeltstock 01

Zeltstock 01


01年型テントポール:Zeltstock 01

1901年に採用されたテントポールで、4本を繋ぎ合わせて使用する。
1本は370mmで、先端に行くほど細くなっている。
差し込み部は0,5mm厚の鉄板から加工して作られたパーツで補強されており、根元側の太さは21mm(補強部外径22mm)、先の補強部で18mm、先 端の木部は 13,5mmとなっている。

画像左は各部の寸法の入った図であるが、画像をクリックすると拡大画像が表示されるので、興味のある方はどうぞ。


ディティール

画像は、テントポールの両端部を写した物である。

木製パーツは使用時に折れにくい様に、長手方向に木目が通って いるので、接続部は裂けやすい。
その弱点を補う為、この様なカバーが側面から釘で留められている。



ディティール

テントポールを接続した状態を示す。



ディティール

これは、接続部雄側のクローズアップであるが、鉄製の補強パーツは、ブルーフィニッシュ又は、黒色かフィールドグレーに塗装されてい た。
一般的には、初期がブルーフィニッシュで、その後塗装に変更されてと言われている。

上で紹介した図で判る様に、テントポールの規格は0,1mm単位で定められていたが、上下の物では形状が若干異なる。

因みに、画像のテントポールを実測すると、両方共図示されている寸法とは微妙に異なる部分がある。


ディ ティール


接続部雌側のクローズアップ。

画像上のテントポールは、鋼板製のカバーを取り付ける部分の木製パーツが削られていて、木部とカバーに段差が出来ない様に作られているのに対し、画像下の 物は木部が削られていない為、カバー部と段差が出来ている。
作りとしては上の物の方が丁寧であるが、木製パーツが割れやすい部分であるため、敢えて厚みを薄くしない方が良いと判断した物と思われる。

ディティール

接続部雌側のクローズアップ。

鋼板で作られた補強パーツが、木部をくるむ様に折り返しが付けられているのが分かる。
29年型ロープリング付テントペグ:Zeltpflock 29 mit Seilschlinge

Zeltpflock 29 mit Seilschlinge


29 年型ロープリング付テントペグ
Zeltpflock 29 mit Seilschlinge

31年型ツェルトバーンの付属品の中で、第一次世界大戦後唯一更 新されたのが、この1929年型ロープリング付テントペグである。

上の画像のペグは本体がアルミ製で、テントロープと同様の麻製ロープでリングが付けられている。

画像左は各部の寸法の入った図であるが、画像をクリックすると拡大画像が表示されるので、興味のある方はどうぞ。
ロー プリング

ロープリングはテントロープと同じ麻製ロープで作られているが、黒く染めら れてはいない。

上の図(規定)では、ロープリングは太さ 4mm、長さ370mmと定められていた。
ディティール

ロープの結び目を見ると、ロープの切り口がほつれない様に、糸が 巻き付けられている。

このほつれ止めも、上の図に示されており、標準仕様であった事がわかる。
ディティール

このペグは、1937年製を示す”1937”の刻印と、製造メーカーを示す”O. & C.”の刻印がある。

”O. & C.”の刻印は、SSのベルトックルをデザインし、生産していた事で知られるOverhoff & Cie社製を示す。
ディティール

このペグは、1939年製を示す”39”の刻印と、製造メーカーを示す”GA”の刻印がある。
ディティール

上のペグの裏面。

ペグの裏面は、センターに補強リブが設けられ、2本の溝が切られている。

これは、軽量化と表面積増による、引抜きに対する摩擦抵抗アップの効果を狙った物と思われる。

ディティール

ペグの先端裏面。
ロー プリング付テントペグのバリエーション

Zeltpflock 29 mit Seilschlinge



ベークライト製ペグ


開戦後、ドイツ軍では一般的な装備にアルミニウムの使途制限を行なっており、テントペグもベークライト製や鉄製の物が作られた他、一 部を鉄製パーツで補強された旧型の木製ペグも使用された。

このペグは、ベークライト製と言っても、木製のペグにフェノール樹脂を含浸させて、耐久性を高めた物で、いわゆるプラスチック製と言う訳では無い。

ベークライト製ペグには、この画像の様に黒っぽい物の他、色調がもっと明るい赤味を帯びたタイプも存在する。



ディ ティール


ベークライト製ペグの頭部には、メーカーコードや製造年の刻印がある。

このペグには”D.W.L.”の組み文字(メーカーロゴ
と思われる)の刻印がある。


ディ ティール

上のペグの反対側には、製造年の刻印”40”があり、このペグの製造年が1940年である事がわかる。

ベークライト製ペグは、繰り返し使用していると、木目に沿って割る事があったためか、後に鋼板プレス製のペグも導入された。


ディ ティール


ベークライト製ペグの断面形状は、ゆるやかな十字形になっていて、ペグの先端はこの画像の様に尖頭形と なっている。

ロー プリング付テントペグのバリエーション


 エーデルマン氏コレクション

鉄 製ペグ

戦争が始まって、ペグも他の装備同様、材料をアルミから鉄に変更した物が生産された。(ベルトバックルの様に、元々強 度が必要で、食に無関係な物は1940年には鉄製の物が生産されていたが、飯盒や水筒の様に食に関係する物は1943年頃から鉄製の物が生産されてい た。)
ペグに関しては、現在のところいつ頃から鉄製の物が生産され始めたか定かでは無いが、画像のペグは比較的末期の物と思われる。

この鉄製ペグは、厚み
1.7mmの鋼板をプレス成形して作られている。
サイズはアルミ製のペグよりも若干短く、252〜253mm(アルミ製は260mm)で、重量もロープを含めて100〜105gと、アルミ製の 58〜61gより重くなっている。




ディティール

この鉄製ペグの頭部には、メーカーコードや製造年の刻印が打刻されていない。
これは、鉄製ペグの特徴では無く、末期の装備品には多く見られる特徴の一つである。

また、このペグには若干の錆があるが、表面の色から亜鉛メッキが施されているものと思われる。



ディティール

鉄製 ペグの先端部の表・裏面。

鉄製ペグの先端部は、アルミ製の物と似た形状であるが、アルミ製のペグの裏面にある補強リブは無い。

ディティール

鉄製ペグの頭部の穴には、左の物の様にロープを通す穴が設けられている。

画像でも解る様に、この穴は単に鋼板を打ち抜いた物では無く、別パーツのブッシングを圧着した作りになっている。
これは、打ち抜きによる断面を研磨する工程を省くと同時に、ロープが擦れて損耗しにくくするための工夫である。


ディティール

これは、この鉄製ペグに付けられているロープの切断部のクローズアップである。

初期の物とは異なり、茶系の綿糸で作られたロープの切断部は、ほつれ止め処理もされていない。

また、芯材にはくず糸を使用しているようで、複数の色の糸が見える。

これも末期装備にはよく見受けられる特徴の一つである。
テントペグのバリエーション


木 製ペグ

31年型
ツェ ルトバーンの付属品は、前述の様に1892年型テントロー プ、1901年型テントロープ、29年型ロープリング付テントペグか ら構成されているが、テントペグのみが第一次世界大戦後に導入された新型装備であった。
この木製ペグは、一次戦型で1929年型テントペグが導入される前の物である。
29年型のペグが導入された後も新型に更新する間は継続使用され、開戦後はアルミを節約する意味で再度脚光を浴び、新たに作られ始めた鉄製ペグと共に、再 生産されて供給されたと言われている。




画像上:木製ペグは、両端部が薄い鉄板で補強されており、直径5.6mm長さ17mmの鋼製丸 棒にテントロープを掛ける様に作られている。

サイズは全長:270mm、巾:20mm、厚:15mmである。

画像左:テントロープを掛ける鋼製丸棒は、木部を貫通して
打込まれて おり、ロープが外れにくい様に、約70°の角度が付けられている。

この鋼製の丸棒の切断面を見ると、ワイヤーカッターの様に、両側から挟む道具で切断されていて、尖った部分を叩いて潰す程度の荒い仕上げとなっている。

ディ ティール

木製ペグの先端部は、画像の様にテーパーが付けられ、薄い鋼板でカバーされている。
木製パーツは使用時に折れにくい様に、長手方向に木目が通っているので、そのままでは地面に打ち込む際に先端部が傷みやすい。
その為、この様なカバーが側面から釘で留められている。
付属品収納袋:Zubehörbeutel

Zubehörbeutel


付属品収納袋:Zub
ehörbeutel

1人 分の付属品と付属品収納袋。各兵士は、テントロープ1本、テントポール1本、ペグ2本を付属品収納袋に入れて携行した。
付属品収納袋のサイズは、370mm×120mmである。



マニュアルから

Die Zeltausrüstung:テント装備

Bestandteile:携行数量
1 Zeltabhn 31 dreieckig, 2,50m x 1,90m.
 31年型ツェルトバーン 
三角形 2,5m x 1,9m 1枚
1 Zeltleine, 2m lang.:テントロープ 長さ2m 1本
1 Zeltstosk, vierteilig.:テントポール 1/4 1本
2 Zeltpflöcke.:ペグ 2本


Zubehörbeutel


付属品収納袋:Zubehörbeutel

この付属品収納袋も、第一次世界大戦時より殆ど同じ物が使用されてい た。
初期にはフィールドグレー、開戦後にはオリーヴグリーンの
キャンバス で作られた他、熱帯用としてタンの物も存在する。
全ての収納袋には、ボタン留めの蓋が付けられていたが、ボタンの数は画像の2個の物と、蓋の中央に1個だけ付けられた物があった。
また、画像のタイプには、茶革製のバックル付きストラップが付けられているが、黒革製のタイプもあった。
これは携行時に他の野戦装備に取り付けたりするための物とされている。
私見ではあるが、Aフレームや、Dリング付きサスペンダーが採用される以前の物なので、この収納袋のストラップでウエストベルトに固定し、その上からツェ ルトバーンを背嚢用ストラップで固定する事があったかもしれないと考えている。
しかし、実際にはツェルトバーンをロール状に巻く時に、収納袋を中に入れて巻いて携行する事が多かったため、このストラップが無い収納袋もあった。

付属品収納袋のバリエーション



 エーデルマン氏コレクション

この付属品収納袋は、上の画像の物と同様、フィールドグレーのキャンバスで作られた物であるが、上の物よりも初期から生産されていたタ イプと思われる。


ディ ティール

これはベルトのバックル金具のクローズアップである。

上の
付属品収納袋に付けられているバックルには無い、 パイプ状のパーツが付けられており、ベルト通しも鉄製で、バックルと共にメッキ処理が施されている。

因みに上の
付属品収納袋に付けられているバックルは、 鉄製で、ライトグレーに塗装されている。

ディ ティール

このアルミのプレス製皿型ボタンも、比較的初期の装備品に多く見られるタイプで、断面形状が直線的で、スイス軍の物によく似ている。

この付属品収納袋には製造年スタン プが押されていないが、こうしたパーツを見て、上の物より初期から生産されていたタイプではないかと考えた。
そ の他のアクセサリー

補修用パッチ

ツェルトバーンに小さな穴が開いたり、破れた場合の補修に使用する、共生地で作られた補修パッチが用意されていた。
補修用パッチは、ツェルトバーン等を生産する際に発生した、端切れを利用して作られていたので、迷彩プリントを施した帆布製である。

この補修用パッチは、通常ゴム糊で接着して使用した。

写真には2種類のパッチが写っているが、右の円形のパッチは直径25mm、左の物は直径25mmの円を5mm重ねた形状で、長辺は45mmある。

補修用パッチ

これは上の物より大型の補修パッチで、直径は50mmある。

補修用パッチのサイズに関しては、他に直径33mmの円形の物もあり、損傷箇所の状況に応じて、これらのパッチを使い分けていた。

補修用パッチは、未使用のツェルトバーンのロールから出てくる事があり、ツェルトバーンと共に支給されたと思われるが、具体的にどのサイズが何枚入れられ ていたかは不明である。
ただし、一枚のツェルトバーンにかなり多くの補修用パッチが貼られている事もあるので、部隊単位である程度の予備を保有していた可能性もある。
  
  
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09.Apr.2012 公開
01.May.2012 増 補改訂
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