このコンテンツでは、陸軍の熱帯用下士官・兵用ベルト&バックルを紹介する。なお、本コ ンテンツを制作するにあたり貴重なアイテムを貸して下さった堀内氏に感謝の意を表します。 |
堀内氏コレクション |
アフリカ軍団を始めとする熱帯用装備の一つであるが、通常のウエストベルトが革製であるのに対し、熱帯用のベルトはコットン製であるこ とが特徴である。これは、アフリカの乾燥した気候では、革製品の寿命が短い為との説があるが、真偽は確認出来ていない。むしろヨーロッパの冬では凍結して しまう危険性があるコットン製ベルトも、熱帯地域ではその心配が無いという説の方が納得出来る様に思う。いずれにしても、生産性はコットン製ベルトの方が 勿論上であるが、コットン素材自体は輸入に頼っていた状況を考えると、単に皮革原料の不足が主因では無いと考えられる。 |
|
|
写真上が通常のベルトバックルで、下が熱帯用ベルトバックルである。双方共1941年製 の鉄製バックルであるが、タブの素材が通常タイプが革製、熱帯用がコットン製(革製タブ付きの物もある)と異なる他、塗装色も通常タイプがフィールドグ レー、熱帯用がオリーブドラブと変えてある。 |
|
1941年、ドイツアフリカ軍団の編成に伴い、熱帯用被服と装備が導入された。ベルト バックル自体のデザインは変更されなかったが、前述の様に塗装色が変更された他、布製タブが付けられている。 |
|
バックルのサイズは、通常の陸軍下士官・兵用バックルと同じく縦49mm、横64mm。 タブの巾は36mm、長さ74mmとなっている。 |
バックルの中央にモールドされている国家鷲章、そのまわりの”GOTT MIT UNS:神は我等と共に”のスローガンと、柏葉のリースのデザインは、通常のバックルと同じである。 |
|
|
バックルは、着用時に体に馴染む様、中央部がやや盛上がった形に成形されている。 |
|
これは、ベルトフック受け金具のクローズアップであるが、ここらの作りも通常のバックル と同じである。 |
このバックルには”CTD 1941”の文字が打刻されている。CTDは、このバックルがLuedenscheid i.W.の”Christian Th. Dicke社”製である事を示しており、1941は製造年を示している。 |
|
堀内氏コレクション |
熱帯用下士官・兵用ベルトは厚さ4mm、巾45mmのコットンで作られており、長さ調節 用ベルトは厚さ2,5mm、巾35mmのコットンから作られている。これらは通常生成りの糸(白)で縫製されている。また、革製のウエストベルト同様に、 下士官・兵用ベルトは、画像の様に裏側に付けられている長さ調整ベルトでサイズを変える事が出来る様になっている。 長さ調節の穴は概ね20mm間隔で7組あけられており、ベルトに打刻されているサイズは センターの穴を使用した時のサイズで、プラスマイナス約60mmの調節が出来る。 これは上着を着用していない時や、オーバーコートなどの防寒着を着用した時に対応する為 で、ウエストサイズの変化に対応する為の物では無い。 |
|
|
ベルトの方に付けられているフック金具は、バックルメーカーが生産しており、ベルトメー カーに供給されていた。規格は統一されており、他社のバックルにも問題無く使用出来る様になっている。なお、熱帯用ベルトの場合、皮製ベルトと異なりベル トの折り返し部の巾が狭くなっていない為、ベルトフック金具も専用の物が用意されている。革製ベルトのフック金具に関しては革製ベルトのコンテンツで 紹介しているので、そちらを参照されたい。 |
|
ベルトの縫い目を見るとU字型になっているが、これはこの部分にフック金具の足が入れら れている為である。また、この縫い目はもう少し角張った縫い方をされている場合もあった。 |
|
これは上の部分の裏側を写した画像であるが、ベルトの端部はこの様にまつり縫いが施さ れ、メーカースタンプも押されている。 |
これは、スタンプのクローズアップである。ベルトの素材が荒いので、はっきりと判読出来 ないが、一番上の”L”から始まる3文字がメーカーコード、2段目の”H”から始まる文字列が地名、3段目が製造年を表す”1942”?と思われる。 |
|
|
革製ベルト同様、ベルトの裏側にサイズ調節ベルトが縫い付けられている。 |
|
ウエストベルトのサイズは、この様にバックル取り付け側の端部にアラビア数字で打刻され ている。 単位はcmで、スタンプされているサイズは長さ調節ベルトのセンターの穴を使用した時の サイズである。 したがって、表記サイズとはプラスマイナス約60mmの調節が出来る様になっている。 |
|
|