ここでは、ドイツ軍の31年型雑嚢: Brotbeutel 31のバリエーションを展示しています。
   

はじめに
 
ここでは、ドイツ軍の31年型雑嚢:Brotbeutel 31のバリエーションを紹介する。
 
第二次世界大戦中のドイツ軍では、1931年に採用になった31年型雑嚢が使われてい た。この31年型雑嚢は第一次世界大戦時に使用されていた雑嚢の改良型で、細かく見ると様々なバリエーションが存在するが、軍用に限って見ても軍種は別に して生産時期によって次第に簡略化され、おおまかに分類すると3種類のタイプの物が作られた。これは他の多くの装備にも共通するのであるが、東部戦線で初 めて大損害を被った1941年から1942年頃と、戦況がいよいよ押し迫り総力戦の体制を導入した1944年に変更されているのも当時のドイツの国力を反 映していて興味深い。雑嚢はドイツ語ではBrotbeutel 31:31年型パン袋と言い、その名前の通り携帯食を入れるのに使われた。雑嚢と言う訳語が一般的に使われているが、携行食袋とでもした方が正確だろう。 雑嚢は専用ストラップと共に支給され、ウエストベ ルトに吊るして装着する他、ショルダーバックの用に携行する事も出来た。ただし、戦場における一般的な兵士達は、ウエストベルトの右後ろに吊るしていた。

   
Brotbeutel 31のバリエーション
   

初期型雑嚢
 
1931年に採用された当初の雑嚢はフィールドグレーのコットン製で、ベルトループ部に 革製の補強が付いている他、ボタンやDリングもアルミ製である事、袋本体の側面が別パーツで作られているのが特徴である。初期型雑嚢も中期型雑嚢に移行す る段階でオリーブグリーンのコットン製の物も作られた。
 
オリーブグリーンの生地は1939年頃から使われ始め、革製の補強は1942年頃まで付 けられていた。

なお、これは海軍の雑嚢で、本体にB.A.K R.3.40と黒でスタンプされている。
1940年3月製造とメーカー名を表していると思われるが、詳細はわからない。
 
初期型雑嚢と中期型雑嚢は蓋を開けると3箇所に革製ベルトが付けられていて、センターの ベルトで袋本体を、蓋の両サイドのベルトで蓋を留める様に作られていた。蓋に付けられたベルトは、蓋の表側に付けられている革製ループの補強も兼ねてい る。
 
また、雑各形式の雑嚢の背面上部にはストラップを付ける為のDリングが付けられている。

中期型雑嚢
 
1941年から1942年頃に登場した中期型雑嚢は、ベルトループ部の革製補強を省略 し、袋本体の裁断も簡略化されている他、金属パーツもアルミ製から鉄製に変更されている。
 
ただし、袋本体の裁断に関しては、いきなり側面パーツが略された訳では無く、1942年 頃までは初期型雑嚢同様の作りの物もあった。したがって、ここではベルトループ部に革製の補強があるか否かで、初期型か中期型かを区別する事とする。
 
この時期には様々な個人装備の金属パーツがアルミから鉄に変更されているが、これはアル ミは航空機材料として優先的に使用された為である。
 
雑嚢は通常ウエストベルトに装着するが、両側のループよりセンターのフック金具が5mm 程度短く付けられているので、常に中央で吊り上げた状態になり、多少動いた程度では中央に寄ってしまう事は無い様に作られている。
末期型雑嚢
 
1944年11月20日に制定された末期型雑嚢で、ベルトループ部のボタンとフック金具 が省略されていて、ベルトをしたままの状態での脱着が出来ない様に変更されている。また、この頃にはAフレームバックの様な装備が支給されなくなっている 為、内部に小火器用クリーニングキット用ポケットが増設された。
 
この雑嚢の場合は、最末期型のため、通常の末期型雑嚢には付けられていた、袋本体を留め るベルトが、その基部のみで省略されている。袋本体には、ボタンのみが付けられているのが虚しい。
 
 
 堀内氏コレクション
 
熱帯用雑嚢
 
1941年に採用された、オールウェヴ製の熱帯用雑嚢。
 
画像の雑嚢は中期型雑嚢と同じ作りで、革製パーツが全てコットン製で作られている。
初期型雑嚢の金具類
 
プレス製皿型ボタンはアルミ製であるが、ベルトフック金具や、Dリングはメッキ仕上げの 物が使われていた物もあった。
 
写真奥がアルミ製金具を使用した雑嚢で、手前はメッキ仕上げの金具を使ったタイプ。
中期型雑嚢の金具類
 
基本的に鉄製金具が使われているが、以降時には在庫のアルミボタンやDリングを使って作られた物もあった。
 
写真奥の雑嚢の金具は全てグレーに塗装されているが、手前の雑嚢の金具は無塗装である。
 
また、戦争中期以降にはジンク製の金具を使用した雑嚢も作られている。
初期型雑嚢と中期型雑嚢
 
これは袋本体を側方から見た画像であるが、側面のパーツが別パーツで作られている。
 
このタイプの袋は前後と左右の4枚のパーツを縫い合わせて作られている。
中期型雑嚢と末期型雑嚢
 
この袋は前後2枚の布で構成されており、後ろの布が側面のパーツを兼ねている。
 
この作りの雑嚢は1943年頃から登場したと思われるが、はっきりとした時期は不明であ る。
中期型雑嚢のディティール
 
雑嚢の蓋をめくった状態。
 
中央のベルトフック金具を付けてある布バンドは、蓋と本体の間に縫い込まれ、内側の革製 ベルト取り付け部を兼ねている。また、両サイドの革パーツは、雑嚢背面に付けられているストラップ用のDリングを留めている、革製鏃型パーツの補強であ る。
末期型雑嚢のディティール
 
末期型の雑嚢の本体には、小火器用クリーニングキット用ポケットが追加された。これはア サルトパックなどの他の装備が既に支給されていない状況下での対応である。 
スタンプ
 
雑嚢は、袋本体や、ベルトループ部に製造年やメーカー名、RB Nr等のスタンプが押されている物もある。
 
この雑嚢にはメーカー名”W.Duckaer”と、製造年”1942”が押されている。
   
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25.Nov.1998 公開
20.Jul.2002 全面改定
24.Feb.2003 改定
30.Apr.2012 一 部改定
  
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