このページでは、ドイツ軍の靴下と足布を紹介します。
   

はじめに
 
今回は、ドイツ軍の”Socken:靴下”と”Fußlappen:足布”を紹介する。
規定によると、靴下2足と足布1組で支給されていたが、極寒期の東部戦線などでは、靴下の上から足布を巻いた事もあったと言われている。

  



足布:Fußlappen
 
足布は靴下と共に支給された物で、この布で足を包んでブーツを履いた。冬の東部戦線では足の凍傷は深刻な問題であったので、足布は靴下と併用される事があった。
 
当時、一般的には既に靴下が普及していたので、足布は古い物となっていたが、軍隊では終戦まで靴下と共に使用され続けていた。
 
サイズは450mm×470mmである。




38年型靴下:Socken 38
 
1938年2月11日付通達で採用された靴下で、マウスグレー地に白いラインの本数でサイズを表示しており、ラインがグリーンの物も作られた。ラインは1本が小、2本で中、3本で大、4本では特大を示している。





バリエーション

写真の靴下は、フィールドグレー地に白のサイズラインが入れられている。
かなり使用された靴下で、つま先と踵に穴が開いている。1足はサイズ中でライン2本、もう一足はサイズ大のライン3本とアンマッチであるが、この状態でオランダの蚤の市に出ていた物。




44年型靴下:Socken 44

1944年6月7日付通達で、靴下のサイズはフリーサイズ一種に変更された。
サイズ別の表示が不要になったので、このタイプの靴下にはラインが無くなったが、既に製造若しくは支給されていたサイズ表示付きの靴下は、引き続き供給・使用され続けた。


  
関連資料と写真
  


Soldbuch:給与支給帳より

SoldbuchのP6とP7には、”Nachweis über Bekleidungs und Ausrüstungsstücke:被服と装備品の支給状況表”があり、靴下と足布は”
Socken / Fußlappen”と印字されている。

画像には2冊のSoldbuchが写っているが、画像上の支給状況表には数量2/1と記載されていて、靴下2足と足布1組が支給されていた事が判る。また、下の支給状況表には3と記載されているのみで、その内訳はわからない。

規定では、上のSoldbuchの記載の様に、靴下2足と足布1組が支給される事とされていた。


 
  
Soldatenlexikon:兵隊百科より

この”Soldatenlexikon:兵隊百科”は、ドイツが再軍備を宣言した1935年に、これから兵役に就く者を対象に発行されたガイドブックで、軍隊生活で必要となる様々な知識を、入隊前に予習しておくために編纂された物である。

この本によると、”Fußlappen:足布”は「今日では、既に忘れ去られた物の一つで、靴下の安価な代用品である。
上手く使用する為に、装着法を習熟する必要がある。」とあり、装着法も図入りで説明されている他、Fußlappen:足布”は「頻繁に洗濯し、常に清潔にしておかなければならない。」とも書かれている

当時の着色写真から

これは当時着色された、山岳猟兵のポートレートである。

登山靴の上に、折り返された靴下と、サイズライン(3本)が、はっきりと確認できる。

当時、カラー写真は高価だったので、この様にモノクロで撮影した写真を印画紙に焼き付けた後、着色する技術があった。

色合いに関しては、参考程度であまり資料性は無いが、陸軍の兵の写真であるにも関わらず、シャツがA-SSやW-SS等で着用されていたブラウンヘムト?と思わせる様な色に塗られているのが興味深い。

当時の一般的な印象では、兵隊のシャツは茶色と認識されていたのか、絵としてグレーより茶色の方が映えるからなのか、着色した者のみぞ知ると言ったところだろう。

野戦服は34~36年型だが、ズボンは野戦服と同色に見えるので、38年型靴下を着用している事、肩章には連隊番号らしきものが写っている事等を合わせて考えると、1940年頃に撮影された写真かもしれない。


 
 
プライベート写真より

雪の中でのおふざけ写真であるが、引きずられている兵士は右足の行軍靴を脱がされていて、靴下がはっきり写っている。

上の写真の様に、編上靴から靴下の上部が見えている写真は散見するが、この写真の様に実際履いている靴下全体が写っている写真は意外と少ない。

画像左でもはっきり判るように、この兵の靴下はサイズライン3本の大である。

また、靴下はズボンの中に履いているのでは無く、ズボンの上から履いている様子も確認出来、大変興味深い。
  

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13.Jul.2013 公開
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