ここでは、ドイツ軍の飲料水用ジェリカンの展示をしています。
  
はじめに
 
戦闘において使用される車両にとって燃料は血液に喩えられるが、兵士達にも水は必需品で あり個人装備の水筒以外に専用のジェリカンが使われていた。今回はその飲料水用ジェリカンの紹介をしてみることにした。
 
今回のコンテンツ制作にあたり、貴重なコレクションを貸してくれたオータさんに感謝の意 を表します。
   
飲料水用ジェリカン
  
飲料水用ジェリカンと燃料用ジェリカン
 
ドイツ軍では、燃料だけではなく飲料水を運搬するのにもジェリカンを使用していたが、燃 料用との混用・誤認を避ける為に白いラインをペイントしていた。
 
写真左が飲料水用ジェリカンで、右は燃料用ジェリカン。
 
双方共容量は20リッターで基本的な作りは同じである。
 
燃料用ジェリカンに関しては、国防軍用とSS用のジェリカンを既に紹介しているので、詳 細はそちらを参照して頂きたい。
飲料水用ジェリカン
 
飲料水用ジェリカンにも燃料用ジェリカン同様、写真の様に側面片側に刻印が打刻されてい る。
 
具体的にはこれから下で紹介するが、始めから飲料水用に作られているため、刻印の内容も 異なっているのが如何にもドイツ製品である。
 
この画像では、剥れてしまっている識別用のホワイトペイントを画像処理で若干強調してい る。
用途と製造年の刻印
 
一番上に用途が水を表す”Wasser”が、その下方には製造年を表す”1944”の文 字が見える。
 
このジェリカンの製造年が1944年という事で、塗装色が統一規格色のダークイエローで ある事がわかるが、このジェリカンを良く見ると、この頃多くの装備類で既に省略されていた防錆下地塗装(いわゆる赤の錆止めペイント)がされているのが興 味深い。
メーカー刻印
 
ジェリカンの中央部には製造メーカーを表す”Brose u. Co.”の文字がプレスされている。
 
先に紹介した燃料用ジェリカンとは異なるメーカー刻印ではあるが、各々のメーカーが2種 類のジェリカンを作っていたのかどうかは判らない。
国防軍の刻印
 
一番下には”34”と、国防軍を表す”Wehrmacht”の文字がプレスされている。
 
”34”については、はっきりと意味が判らないが、国防軍の文字の上にある事から管理上 の記号かもしれない。
防錆処理
 
飲料水用ジェリカンの場合、内側の防錆処理はメッキ処理になっている。
 
画像で見るとわかる様に燃料用ジェリカンの防錆処理は防錆塗装だが、防錆塗料には鉛が多 く含まれている為、(鉛の含有量が多い程防錆性能が高い)飲料水用には適さない。
 
こうして見ると何故ジェリカンを飲料水用と燃料用で作り別けたかが納得できる。
 
取っ手部分の作りが若干異なるが、これはメーカーが違う為と思われる。
識別用ペイント
 
内容物が水である事を示す識別用のホワイトペイントは、大量に並べたジェリカンを上から 見ても判る様に上面迄施されている。
 
識別用ペイントは吹き付け塗装であるが、本体を塗装しているペイントとは材質が異なるよ うで、塗膜も弱い様である。
 
上でも書いたが、このジェリカンの取っ手部分はスポット溶接で付けられている。上の画像 の様に燃料用ジェリカンは全周溶接で付けられているが、同じ20リッターだったら水の方が重いので、メーカー、若しくは年式による違いだと思われる。
因みに上の画像の燃料用ジェリカンは1943年製で、飲料水用ジェリカンの方は1944 年製である。
識別用ペイント
 
識別用ペイントは、画像の様に前後面にも施されている。
 
これは上面と同様並べた状態でも容易に内容物を識別出来る様にとの配慮からだろう。
識別用ペイント
 
流石にジェリカンを逆さまに置く事は考慮されていないと見えて、底面には識別用ペイント は施されていない。
 
底面は補強リブを兼ねた構造になっているが、実際に20リッターの水をジェリカンから他 の容器に注ぐ時も、このリブは手掛りになって便利である。
取っ手部分のディティール
 
この角度から見ると、取っ手のパーツが鋼鈑プレスで作られていた事が良く判る。
 
また3本ある取っ手の真中の1本は、下面に防錆プライマー塗装が見えているのが興味深 い。
おわりに
 
今回は飲料水用ジェリカンと言う紹介をしましたが、実際には飲料水を含む水を入れていた と言う方が正確な表現で、水冷エンジンの冷却水等にも使用されていました。
 
また、興味深いのは、前線等で飲料に適する水の調達が困難な場合に備えて支給されていた 水の洗浄剤のパッケージによると、20リッターの水に混入する様にプリントされている事で、これは個人装備の水筒では無く、飲料水用ジェリカンを意識した 分量であったと思われます。
   
   
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22.Sep.2000 公開
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