ジェリカンは車両等の燃料缶のニックネームだが、軽量で携行性が良く、車載にも便
利で積み重ねる事が出来、生産性も良い文句無しの逸品である。 |
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画像でも判るように、真ん中にSSの刻印が大きく入っている。
この様にSS用をはっきりと刻印してあるのは、戦記等でもあるように、国防軍と SSでは燃料等の補給系統が異なっていた為だと思われる。 このジェリカンは写真の様にパンツァーグラウで塗装されており、下地にプライマー を塗装した形跡は見られないが、プライマーを省略した末期の物かもしれない。 なお、この裏側の面には補強リブのみがプレスされており、刻印等他の情報は一切無 い。 |
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この様にジェリカンは2分割でプレスされた本体と、同じくプレスで作られた取っ手 及び口の部品を溶接で接合して作られていた。 また、本体は当時の溶接技術や強度、プレス部品の精度等の関係で、接合面は面で接 する様に設計されており、その部分が本体より出っ張らない様にセンター部は溝状になっている。 このジェリカンで見る限り、溶接技術はかなり高く、流石ドイツ製といった感じがす る。 ちなみに、大きさ等のデータを紹介すると 高さ : 46cm
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取っ手のパーツも鋼板プレス製で、やはり溶接で取り付けられており、本体の接合部 と干渉しない様に切り欠きがされているのがわかる。 |
下から見ると、底面は写真の様に中央部が窪んでいて、積み重ねた時の安定性が良 く、また底辺の補強リブの役割も兼ねた作りになっている。 |
注入口はカム式のロック機構(アルミサッシのロックの様な物)が付けられており、 簡単に開け閉めが出来、またしっかりと密閉出来る様に出来ている。 操作は簡単で、レバーを上に持ち上げれば、蓋を開ける事が出来る。
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取っ手取付部分が、本体接合部に干渉しないように切り欠きがあるのがはっきり判 る。 また、この角度から見ると、取っ手が鋼製パイプでは無く、一枚の鋼板をプレスして 作られた物である事がはっきり確認出来る。 取っ手取付部の溶接跡等はプラモデラーの方達にも参考になる画像だろう。 |
写真左:ロック状態 写真右:オープンの状態 「蓋」はオープン状態でホールド出来る様になっていて給油の為に「ジェリカン」を 傾けても蓋が勝手に閉まらない様になっている。 |
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蓋を開けて中を見ると、写真の様に平たいパイプ状の物が付けられている。
また、内部は写真の様に赤い樹脂コーティングが施されていて、アメリカ軍のジェリ カンのメッキ仕上げより耐久性が高かった。 蓋の内側には、ゴム製のパッキンが入れられていて、カムロックを完全に閉めると、 確実に密閉出来る様に作られている。 蓋の蝶番部分を見ると、蓋側が楕円形になっていて、これが給油時に蓋が勝手に閉ま
らないホルダーの役割をはたしている。 |
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このジェリカンも刻印でわかるように燃料用の物である。
塗装に関しては、刻印の部分に白が入っているが、これは当時の塗装では無く、本体 塗装同様に後から塗られた物の様である。 塗装の剥がれた部分を良く観察すると、錆止めプライマーの上にパンツァーグラウが 塗られていて、さらにその上からリペイントされている様に見える。 「dwc」の部分には、各メーカー刻印が入る事が多く、メーカー毎に異なるデザイ ンのマークが入れられている。 |
既に、詳細の説明はSSタイプの方でしてあるので、ここでは敢えて解説はしない が、実際の開閉は写真の穴の空いたレバーを持ち上げると簡単にする事が出来る。 なお、取っ手部分に、錆止めのプライマー塗料が見えているのに注意して欲しい。 |
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SSタイプ同様に、蓋を開けるとホールドされる様になっていて、中には同じように 通気用のパイプが溶接で取り付けられている。 なお、このジェリカンの内側と蓋の裏側は、錆止め塗料がリペイントされている。 |
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左が国防軍用で右がSS用だが、メーカーが異なる為、取っ手や蓋等のディティール が微妙に異なっているのがわかる。 こうしてみると、SS用のジェリカンの方が溶接が綺麗に仕上がっているが、溶接工 の腕が良いのか、メーカーの差なのかは分からない(笑)。 蓋のディティールも結構異なっているが、これは恐らくメーカーの違いによる物と思 われる。 |
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