今回は独特の外観と「ケッテンクラート」の愛称で有名なHK-101 クライネス・ケッテンクラフト・ラート(小型装軌式オートバイ)Sd.kfz2の展示です。1986年に東京タワーで行われたV-MATに 出展されていた物ですが、azuma氏に新たな画像を提供して頂き、増補改訂する事が出来ました。 |
このケッテンクラートは日本に輸入された2台目の物で、V-MATで売りに出されていた物です。コンディションは1台目よりは
かなり良いですが、完全な状態ではありません。ただし、この車両は撮影時には走行可能な状態で保存されており、ナンバープレートも取得されていました。
塗装に関しては明らかにリペイントされていますが、御覧の通りのかなり不正確な色でした。 タイトルでは色を少し変えてみました。 |
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開発製造に携わったNSU社は元々大型オートバイを軍に供給していたメーカーですが、この姿を見るとその事が良く解ります。 エンジンは1478ccで最高時速は約70kmだそうですが、この外観にしてはかなり速いという印象をうけます。 牽引能力も0,45tあり、不整地走行能力もかなり高いそうです。 |
後部座席には2人が乗れるようにはなっていますが、かなり狭苦しい感じです。 また、中央に車間表示灯とナンバープレート取付部がありますが、灯火管制タイプのテールランプは外してある状態です。 (タミヤでキット化された物とは違うタイプです。) 左右の手摺りにそれぞれ不完全な形ではありますが、小銃用ラックが残っています。 |
各メーターやレバー類は揃っていました。 資料によっては、ひざパットの付いているタイプがありますが、この車両に関してはパットが付いていた痕跡は見当たりませんでした。 写真の左にバックミラーの取付基部が見えますが、バックミラーは車検取得時に必要と思いますので、盗難を防止するため外してあるのかも しれません。 また、右下に運転している兵用の小銃用ラックが見えますが、私はこの車両を見るまで存在すら知りませんでした。 例によって、ゴムと革で銃に傷がつかない様に作られています。 ハンドルのすぐ下の丸い蓋は左が包帯入れで右が私物入れですが、丸い鉄板で蓋がされていました。 |
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エンジンルームの左右は左がバッテリー及びヒューズボックス、右が予備キャタピラ及び工具入れとなっています。両方とも上面奥の方に 写っているロックを外して、手前に開ける作りになっています。 エンジンルームの中が金網越しに見えていますが、左のブルーグレーの物がキャブレターで、右の大きい円筒状の物はエアフィルターです。 この向きから見ると、運転兵用小銃ラックがエンジンカバーに取り付けられているのが良く解ります。 サドルシートの両側は燃料タンクで、ハンドルに半分隠れているのが燃料タンクのキャップです。 ハンドルの中央手前に見えるのはステアリングダンパーです。 |
ケッテンクラートのステアリングは、ハンドルを切る事で左右のキャタピラの回転速度を変 える構造だそうで、前輪は実際の方向転換には関係無いと言う事です。 まあ、運転兵が進行方向を確認しやすいとか、スピードメーターがオートバイと同じ仕組み で動かせるとか、進行方向にヘッドライトを向けられるとかと言う程度の意味はあるのでしょうが、なんとも不思議な設計ではあると思います。 ヘッドライトの直下にあるのはノティックライト(灯火管制灯)で、直前の地面をほんのり 照らす程度の照度があります。 |
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