はじめに ここでは、VW Schwimmwagen TYP166 : シュヴィムヴァーゲンを紹介する。 ”Schwimmwagen”とは、”泳ぐ車”の意で、水陸両用 車を表し ているが、日本ではこのVW Schwimmwagen TYP166が有名で、一般的にはシュヴィムヴァーゲンと言うとこのTYP166を表している。 同車はキューベルヴァーゲン同様、民生用のVW:フォルクスヴァーゲンのKdFから作られた物で、戦争中に約14300台が生産された。 本コンテンツで紹介する車両は、日本でも屈指の車両コレクターで あるH.Tamura氏所有の一台で、2008年に学研から出版された第二次 大戦「世界の軍用車両」に掲載された車輌であ る。 本コンテンツを制作するにあたり、画像を提供して下さったH.Tamura氏にあらため て感謝の意を表します。 |
外 観 | |
偵察部隊などで使用された、助手席にMGマウントを持つタイプのシュヴィム ヴァーゲン。 模型などの影響で、全ての車輌がMGマウントを装備している様に思われているが、実際には一部の車輌が装備している。 また、水上走行時の駆動力を意識したタイヤのトレッドパターンが興味深い。 |
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この車輌には、17.SS-Panzergrenadier-Division "Götz von Berlichingen":第17装甲擲弾兵師団”ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン”の師団マークが描かれているが、実際車輌の車台番号から当師団で使 用されていた物である事が確認されたので、レストア時に再現したとの事である。 |
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前述の様に、シュヴィムヴァーゲンのタイ ヤは水上走行時の駆動力と、浮力を発生させる目的を持っているため、キューベルヴァーゲンのタイヤよりも太く、トレッドパターンも異なっている。 通常の水上走行は、4輪駆動とこのタイヤのパターンだけで可能で、高速で走行したい時や、水に流れがある時にはスクリューを下ろすと言うのが通常の 運用であった。 |
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水陸両用車であるシュヴィムヴァーゲンに は、この様に車体後部に可倒式のスクリューが設けられている。 このスクリューは、前述の様に必要に応じて使用された。また、車体側面には オールも装備されている。 車体後部上方には、黒く塗装されたマフラーがあり、その上にはスクリューを下ろす時に使用するツールがみえる。 |
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正面より
シュヴィムヴァーゲンのタイ ヤが、キューベルヴァーゲンの物と比べると、幅広なのがわかるだろうか?。 トレッドパターンは水上走行を意識した物であるが、軽い車体と4輪駆動で、悪路での走破性能はかなり高かった。 また、ヘッドライトの灯火管制カバーが布製であるのも興味深い。 |
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後方より
この車両の大きな特徴の一つであるスクリューは、下ろすとエンジンからのドライブシャフトと連結されて回転する。 このドライブシャフトはエンジンが始動されると常時回転しているので、スクリューの上げ下げは、エンジンを止めた状態で行う事となる。 スクリューマウントと下部にある円形の部分がドライブシャフトである。 |
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ディティール | |
運転席
シュヴィムヴァーゲンの運転席は、ドアが無いのでボディを跨いで 乗り込むが、 キューベルヴァーゲンよりも少し狭い感じがする。 床には キューベルヴァーゲ同様、スノコが敷かれていて、ペダル部にも板が設置さ れている。 助手席側のボンネット下に見えるのは、車載工具ケースである。 |
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運転席
鋼板プレスで作られた車体には、キューベルヴァーゲン同様、一切余分な内装が無い。 前部座席と後部座席の間に設けられた補強用のパイプには、小銃用ラックが付けられている。 画像中央下部に、MGの予備銃身ケース2本用と1本用が見える。 |
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車載機銃
助手席にMG42を搭載した状態。 MG42とMG34ではマウントが異なるので、マウントのパーツを交換しないとMG34は搭載できない。 また、MG42とサイドミラーの干渉を防ぐため、サイドミラーが倒されているのに注意。 |
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車載機銃
走行時にMG42を固定するためのパーツに注意。 このパーツはMG34とMG42共用で、MGのグリップ後部の突起を挟んで留める構造になっている。 |
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車載機銃
MGの固定具は、使用しない時には前に倒し、車体内側に格納でき る。 MGマウントは車体内部まで貫通して、タイヤハウス部に固定されている。 画像右端に見えるのは、MGの予備銃身ケース。 |
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