ここでは、BMW R75 mit Seitenwagen   BMW R75サイドカーを展示しています。
   
はじめに

前ページに引き続き江尻さん所有の素晴らしい、BMW R75サイドカーの画像を お楽しみください。
なお、私自身車両に関しての専門知識が無いので、解説に誤りがあった場合には是非共御教 授願います。

   
ハンドル廻り

BMW R75は、他の多くの軍用車同様キー無しでエンジンがかけられる。
 
操作手順としては、前回のR75のコンテンツでも紹介したように、ドレンコックをオンに して、キャブレターに付いている燃料供給用ポンプを動かせば、あとはキックするだけでエンジンは始動する。
エンジンを止める時には、ハンドルの前にあるキルスイッチでエンジンを止める様になって いる。
 
ライトの上にあるのは電装系スイッチで、実際にはライトのスイッチと考えて良い。
 
こうしてみると、細部は色々なバリエーションがあるようで興味深い。

エンジン部詳細
 
水平対向エンジンのシリンダーやプラグの配線、エアクリーナーからのパイプ等の配置がわ かり面白い。
 
画像中央のタンクの下に燃料タンクのドレンコックが写っている。その左奥にあるのがプラ グ用の点火コイルである。
 
エンジンの前に保護板?が付けられているが、跳ね石等からエンジンを保護する目的と運転 兵の為の防風、防泥板と思われるが、空冷効果とのバランスが難しい感じがする。
 
また、写真でも分かるように保護板の裏側には黒地のプレートが付けられていて、簡単な取 扱説明書のようなものになっている。
 
具体的にはサイドカーの模式図が書いてあって注意書きや注油の場所が書かれてるとの事で ある。
 
前輪及びフロントフォーク等
 
がっしりした前輪が印象的なショット。フロントフォークは可動部に泥や砂などが付いて、 パッキングを痛める事を防ぐ為にゴム製のカバーが付けられている。
 
大きなブレーキドラムやフロントフェンダーの取り付け方法等のディティールも楽しめる写 真だ。
 
上で書いた保護板の取り付け方法も解り興味深い。

また、前ページでは外されていたサドルバックも付けられているのが、このサドル バックは写真の革製の物と鉄板製の物があった。
 
このサドルバックはサイドカーの両側と、オートバイの左後部の3カ所に取り付ける事が出 来る様になっていた。
(例外はあるが、詳細は不明)

前輪及びフロントフォーク等
 
フロントフォークは分解図を見ると64種類の部品から構成されていて、極めて精巧にに作 られている。
基本的には現在のオートバイのフロントフォークと変わらない機構がすでに採用せれてお り、このオートバイの完成度の高さの一端がかいま見られる気がする。
 
この写真の撮影時点では、フロントフェンダーにナンバープレートが付けられていないの で、かえって取り付け金具の形状がはっきり解り興味深い。
 
ホーンもカバーの形状を見るといくつかのバリエーションが存在するようで興味深い。
寒冷地用ヒーター
 
R75には寒冷地用のヒーター装置が用意されていた。
写真はハンドル部分のヒーター装置で、排気管より暖気が供給される仕組みになっている。
実際には布製のカバーがかけられて使用された。
 
冬季用の手袋はかなり厚手だったので、取り付け位置から見て実際にはヒーターに触れるか 触れないかと言った感じになったと思われるが、使用感はどうだったのか興味がある。と言うのも、雪の中のR75の写真を見ても明らかにこの装置を使ってい る写真が少ない様に感じるからだ。
 
不要な季節には当然外しておくと思われるが、一度外すと再び取り付ける事が面倒だったの か、この装備が施されていた車両が少なかったのか?。
 
写真左上の方にMG34がホルダーに取り付けられているのに注意。
寒冷地用ヒーター
 
これは足の爪先部分を暖めるヒーター装置で水平対向シリンダーの下に漏斗状に見えるのが それである。
 
この装置もハンドルの部分と同じく排気管からの暖気をパイプで出す様に作られている。
 
これらのヒーターが極寒期にどの程度の効果があったかはわからないが、少なくともエンジ ンから出てすぐの排気管からつないであるので、結構熱い暖気が出たのだろう。
オーナーの江尻氏によると、BMWは一般的にかなり排気の温度が高いのだそうだ。
寒冷地用ヒーター
 
これはサイドカーの中に設けられたヒーターの放熱装置。

1944年6月版の整備マニュアルによると、サイドカー内のヒーター装置も、排気 管からの暖気を送る様に書かれているが、図は循環式にはなっていない。

先端が閉じられている状態では暖気が伝わるには時間がかかったのではないかと思う が、R75の場合はマフラーで排気圧を抑える事と、重いフライホイールで太いトルクを得ていたので、排気自体を漏らす様な構造は採用出来なかった。
 
あと、この写真で興味深いのがサイドカーの左側に付けられているMG34用のホルダーで ある。これについては、また機会を改めて紹介したいと思っている。

カーゴ
 
海外のコレクター所有のカーゴ。
オートバイ部隊は、その機動力から他の部隊より早い速度の移動が可能だったため、弾薬や 燃料等をある程度自分達で携行する必要があったのだろう。
そうした時はこの様なカーゴを牽引して弾薬箱やジェリカン等を入れていたのだと思われ る。
 
こうしたカーゴ類はいろいろなバリエーションがあったが、日本ではタミヤの1/35ケッ テンクラートに付属していた物を覚えている方も多いかと思う。
 
このカーゴはパイプフレームにバケットを入れたような構造で、後部に牽引用フックが付け られている。
 
ホイールは画像からでは鋳造なのかプレス製なのか、今一つ良くわからないが、これもバリ エーションがあったようだ。
レストア中のカーゴ
 
海外のコレクター所有のカーゴ。
作業台の上でのレストア中の画像と思われるが、車輪が外されているので、かえってサスペ ンション等がはっきり見えている。
 
手前に置いてあるのが、車軸だと思われるが、左右独立懸架になっているようだ。
 
上の写真とは異なりパイプフレームは上の方の外周のみとなっている。
 
よく見るとベルト通しの様な金具が色々なところに付けられているが、布製カバーや積載物 等を固定するのに使用するのだろう。

なお、R75の牽引装置のパイプシャフトの中には太いスプリングが内蔵されてお り、牽引時のショックを吸収するようになっている。ここら辺は軍用と言っても如何にもドイツ製と言う感じがするこだわりではないだろうか。 

   
   
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07.Apr.2000 公開
18.Apr.2000 改 訂
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