今回は、BMW R75サイドカーを購入したゲルマー上級曹長さんの御厚意で、そ
の愛車の写真を提供してもらいました。R75は有名な車両であるにもかかわらず、カラー画像で細部を紹介した資料も少なく、今回のコンテンツはミリタリー
マニアやモデラーに楽しんで貰えると確信しております。 |
サイドカーを付けられる重オートバイ BMW R12の後継車として、1941年より終戦まで灼熱のアフリカ戦線から極寒の東部戦線まで、ありとあらゆる戦線で活躍した。 この車両は、1944年製で東部戦線仕様に作られており、各部の写真を見ると、部
品のオリジナル度も高く、資料としても素晴らしい状態の物である。 |
|
オートバイの分類としては、クロスカントリーバイクと言う種類になるのだそうだ が、独特のトレッドパターンを持つ太いタイアが印象的だ。 R75は基本設計の段階から、サイドカーを付ける事を前提に設計されており、切り 替え式でサイドカーの車輪も駆動させる事が出来るようになっていて、不整地の走破性能も当時のサイドカー付きオートバイとしては高い物であった。 ただし、全ての装輪車両と同じように、ロシアの悪路、特に泥濘期には悩まされた が、装軌車両でさえスタックする状況は、当時既に道路事情の良かった西欧の軍隊では想像出来ない物だったのだろう。 |
|
がっしりとしたフロントフォークに太いタイヤが如何にも軍用バイクの雰囲気であ
る。 バックミラーやウインカー等、日本の道路交通法の関係で付けられている保安部品も 若干あるが、それぞれ全体のイメージを壊さない程度の大きさの物が、上手く選んで付けられている。 オーナーのゲルマー氏の話では、エンジンの始動はキックレバーによって行われ、走 行中はバッテリーの電気を使わないでも走行出来る様になっているそうだ。これは当時のバッテリーの性能を考えると、極めて重要なポイントであったと思われ る。 |
|
燃料タンクの上にある、降下猟兵用ヘルメットの様なエアクリーナーも、R75の特 徴の一つだ。 また、この写真ではサイドカーの内側が見えるのも興味深い。
|
|
一見単純に見えるバーハンドルは、写真の様に目一杯切った状態でも、燃料タンクに 干渉しない様、微妙に前方に曲げてあるのが解る。 また、上の写真で、燃料タンクの上のエアクリーナーの右側にレバーの様な物が写っ ているが、これはチョークでエンジン始動時は手前に引き、走行時は前方に押す様になっている。 |
|
この様な部品にまでメーカーエンブレムが入っているのが、如何にもドイツ製らし い。しかもAUF:開く・ZU:閉まる・という文字までプレス成形されている。 キャップ自体が、かなり大きめに見えるが給油口も大きいのだろうか?。
|
|
ヘッドライトは防水構造になっている上に、空間もあるので電装系の収納及びスピー ドメーターも組み込まれている。スピードメーターの前方にあるのが、ライトのスイッチである。黒く見えるのはキーを抜いた時のカバーである。ちなみに、イ グニッションキーはR75には無く、ドレンコックをONにして、キャブレターに付いているガソリンを供給するポンプボタンを押せば、後はキックするだけで エンジンを始動出来る。スピードメーターには120km/hまで目盛りがあるが、マニュアルによると最高時速は95km/hとなっている。ヘッドライトの 両サイドにウインカーが付けられているが、これは日本の法規制による物で、オリジナルの状態では付いていない。 |
|
フロントフォークはスプリングが内蔵されていて、前輪の衝撃を吸収する様になって
いる。 本体のフレームに付けられている黒い部品はホーンであるが、どんな音がするか聞い てみたい。 エンジンの前に付けられているダークイエローの部品が発電器だが、マニュアルには Lichtmaschine:直訳すると照明機械とある。現在のダイナモから比べると随分と大きい。 |
|
製造メーカー名BMW(Bayeriche Motoren Werke
A.G Muenchen)の他に、 |
|
ドロップ型燃料タンクの形状・運転手用サドルシートとスプリング、そしてエンジン
の詳細が分かる素晴らしいショットだ。 なお、タンクの側面に黒いゴム製のニーパットが付いていないが、この写真を見る限 り、付けられていたと言う痕跡が無いので、末期にはもしかすると当初から付けていない車両が生産されていたのかもしれない。 |
|
|
資料館 別館トップへ |