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今回は戦争映画に出演した「鉄道車両」にスポットを当ててみました。戦車や装甲・非装甲 車両・軍装以上に普段は注目される事の少ない「鉄道車両」もマニアの目でチェックすると深くて楽しい世界のようです。 以下、Mさんに掲示板に書いて貰った原稿を再掲し、ちょっと注釈を付けさせてもらいまし た。 私自身が肝心の鉄道車両でHPに掲載出来る画像を持っていないので、折角の原稿を生かし 切れていないのが残念ですが、ちょっと変わった映画の見方をお楽しみ下さい。 |
「大脱走」 「戦略大空軍」 投稿者:M 投稿日:2000年03月29日(水) |
編者注 1:78型という機関車です。 機関車の前に付いているプレートの、最初の78は型式を表している。続く510はシリア ルナンバーだが、必ずしも機関車全体の 生産台数、生産時期を反映していない。 (これは、この機関車が帝政期からヴァイマール期まで製造され、国連管理下のSaarに 供給されたり、それがNS期に吸収されたりした為である。) この画像は現在ニュルンベルクの交通博物館に保存されている車両で、Mzさんが撮影した 物を提供してくれました。 |
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編者注 2:運転席の横にReichsadlerが付いています。
Reichsadler:国家鷲章。 これは当時の鉄道車両用アドラーの一例だが、正面に付けるタイプなので、鷲の頭も正面を 向いている。 この金属製の国家鷲章は制定されて間もなく戦争が始まり、全車両に付けられる事は無く、 多くの車両の国家鷲章はペイントによる物に変更された。 画像提供:M氏 |
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編者注 3:客車にDB(Deutsche
Bundesbahn)の大きなマークが Deutsche Bundesbahn:ドイツ連邦鉄道。(旧西ドイツ) この写真は私が1980年代にドイツに行った時に撮影した物で、客車にペイントされた” DB”のマークが面白くて撮った物です。 MANNHEIMの駅にて。 |
編者注 4:86
型という機関車 鉄道車両の統一規格化は軍用車両より早くから行われ、極めて合理的に生産されていた。こ れは機関車の設計開発が難しく、簡単に新型車両を生産しにくい事も関係していたと思われる。 但し、当時のドイツの財政状況もあり、輸送力のかなりの部分は 戦後まで帝政時代の機関車に負うこととなった。 (特に86型より小型の機関車はコストが高く為、古い機関車で十分だということで製造台 数が極めて少なかった。) 画像提供:M氏 |
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編者注 5:大きな機関車は50型機関車 同じ50型の機関車だが、この写真の機関車は平時型で、戦後、東独で大幅な改造がなされ たもの。 (この3690-0号機は1941年末〜42年頃にHenschel& Sohn社で製造された旧1465号機で、50型が準戦時型になる直前のもので、戦後東独で改造される際に番号も換えられた。) 映画で写っているのは準戦時型と思われ、部品等は極力合理化されている。 ボイラーの前部両サイドに付いている鉄板(Windleitbleche)は、走行時に 風を利用して煙突から出る煙を上方へ向ける目的で付けられている。 画像提供:M氏 |
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編者注 6:その後ろの車両はFlakwagenと呼ばれる車両を
Flakwagenは対空機関砲を装備した車両で、低空で飛来する地上攻撃機に対
抗する為の車両でしたが、制空権を失った西部戦線などでは、地上部隊同様鉄道も甚大な損害を被りました。 |
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編者注 7:こうした高官の特別列車に これも現在保存されている高官用特別列車の一両。 国家鷲章に似たデザインのマークがなかなか良い感じだ。 この客車は内装も凄く凝っていて、動く高級ホテルと言った感じである。 画像提供:M氏 |
「鷲は舞い下りた」 「ヒットラーを狙え」 ドイツでは、特に最近、鉄道車両を製造時の姿に戻して保存する傾向が強いので、今
後の映画に期待したいと思います。個人的には流線形機関車01.10やディーゼル特急SVT137の登場を願っています。編者注
12・13 投稿者:M 投稿日:2000年04月04日(火) |
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編者注 8:三号突撃砲の本物が出てくる・・・
この写真は劇中の物では無く東部戦線の実写ですが、映画はフィンランドでロケをして、博 物館に保存されていた三号突撃砲の本物が使用されました。 戦車は通常長距離移動する場合は鉄道輸送する事になっており、設計段階でも車幅は鉄道輸 送可能な範囲で決定されました。 話を映画に戻しますが、同シーンでは布を掛けられた戦車も貨車に積まれていましたが、シ ルエットでパンター戦車を連想させる演出はなかなか楽しい物でした。 |
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編者注 9:このAdler
もなんとなくSS風に見えます。 画像はSS用の国家鷲章ですが、編者注 1の画像の物と比べて羽に特徴があります。 国家鷲章は使用した年代、軍種や団体、アイテム毎に様々なデザインの物がありました。 |
編者注 10:大きくDEUTSCHE
REICHSBAHNと書いてありますが、こういう表記(大きくて、しかも全て大文字)は実物の写真では見たことがありませ
ん。
客車の画像で無くて申し訳ありませんが、写真左の貨車に白でDeutsche
Reichsbahnと大文字と小文字で書かれています。(白の矢印部分) |
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編者注 11:但し、SAがdunkelgelbのサイドカーに乗っているの
は SA(Sturmabteilung)突撃隊、NSDAP(ナチ党)の集会警護等を目的 に発足した武力集団で、第一次大戦の陸軍エリート達による突撃部隊にちなんだ名称。NSDAPが政権をとる過程で重要な役割を果たしたが、レームの指揮下 勢力を拡大し、国防軍と反目したため1934年に国防軍との関係を考慮したヒトラーの命で、ヒムラーの親衛隊(SS)によって多数の幹部が粛正された。 dunkelgelb:ダークイエロー、1943年2月から使用された塗装色。
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編者注 12:個人的には流線形機関車01.10や 高速走行を実現する為に開発された流線型のカヴァー付き機関車で、速度的には現在の車両 にも遜色は無かった。 ただし、全体に施されたカヴァーは整備上都合が悪かった為、戦後は外されて使用されてい た。 この車両も先頭に国家鷲章を付けているが、実際には1号車のみ付けられていたので、正確 なレストアとは言えない。 ただし1号車は高官用特別列車を引いていたので、このコンテンツの参考画像としては良い かもしれない。 画像提供:M氏 |
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編者注 13:ディー
ゼル特急SVT137の登場を願っています。 これも流線型を取り入れた高速鉄道車両で、当時のドイツ鉄道車両が極めて進んだ設計であ る事がわかる。 因みに、2000年1月〜11月適用ダイヤと1939年夏版の時刻表をもとに比較してみ ると、例えばBerlin-Hamburgの場合、現在一番速いICE(ドイツ版新幹線)で2時間17分。1939年当時、同じ区間の一番速いディーゼル 特急は2時間17分で同じ。 (Berlinの駅は当時はLehrter Bhfで、現在はZoologischer Gartenで違いますが、戦前の駅がHamburgに寄っている訳ではありません。次にBerlin-Dresdenの場合、現在の列車では一番早くて 1時間59分ですが、これが戦前は普通の特急で2時間半ながら、Henschel-Wegmann-Zugという特急列車(この列車は蒸気機関車が牽引) は1時間49分から1時間57分!(この場合のBerlinの駅は、戦前は有名なAnhalter Bhf、現在はOstbhfを起点にしています) 画像提供:M氏 |
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