シュタイナーの掲示板より
     
ここでは、掲示板に書き込まれた「ドイツ語関連の話」等を一部加筆して 再録しています。
ここではドイツ語のカタカナ表記マニュアルに関連した 面白い書き込みを抜粋して再掲しました。
訳語の選定も含めて・・・

Panzerjaeger私見 投稿者柴田和久  投稿日:05月02日(日)11時28分17秒 

Panzerjaegerって確かに兵科の内容としては「戦車駆逐」ですけど、Panzergrenadierを「機械化歩兵」って訳 すようなもので、いささか味気ない。原語の持っている、戦意高揚のためのプロパガンダ的ニュアンスとか、ドイツの伝統とか風土といった背景も含めて訳出し ないと、なんだか技術書みたいになっちって、Wehrmachtらしさが損なわれる気もします。その点、大昔のコンバットマガジンでKG7の熊谷徹氏も書 いていましたが、松谷健二氏の「猟兵」という訳語はけだし名訳と思います。私見ですが。

ぶらぢゃー・爆乳・ボイン(死語)化 投稿者柴田和久  投稿日:05月02日(日)12時02分04秒 

AM最新号のPanzerblatt見返してて気づいたこともう1つ 

大日本絵画の本にしてはPorscheのrが母音化してなかったですね。大日本絵画風に言うと「首都ベアリーンに住む息子のクアトは、 愛車のポアシェをゲアマン民族の誇りと思う」のようになるはずなのですが。 

確かにドイツ人の発音、そう言う風に聞こえる(ことが圧倒的に多い)んですが、基本はノドチンコのr。やみくもに母音化するのはいかが かと。

レスの続きです! 投稿者STEINER  投稿日:05月02日(日)13時10分08秒 

<柴田和久さん>
>Panzerjaegerって確かに兵科の内容としては「戦車駆逐」ですけど、Panzergrenadierを
>「機械化歩兵」って訳すようなもので、いささか味気ない。
そうですね!!しかも「Panzerjaeger 」を単に対戦車戦をする普通の歩兵と思っている模型メーカーがあるようで困ったものです(笑)。
先日その件に関しては知人を通してド○ゴンにメールを出して抗議しましたが、すぐに返事が来まして「また気がついた事があったら指摘して欲しい。」との事 でしたが、一度メーカーが発表してしまうとその「刷り込み」を消すのは結構難しいですよね。
またPanzergrenadierも私は「装甲擲弾兵」という訳が好きですね。 

>原語の持っている、戦意高揚のためのプロパガンダ的ニュアンスとか、ドイツの伝統とか風土といった背景も
>含めて訳出しないと、なんだか技術書みたいになっちって、Wehrmachtらしさが損なわれる気もします。
全く同感です!このドイツの伝統とWehrmachtらしさが無ければプロパガンダも成り立たない訳で、敢えて呼称変更した意味を全く失ってしまいます ネ。 

>松谷健二氏の「猟兵」という訳語はけだし名訳と思います。私見ですが。
「猟兵」は松谷健二氏 の訳でしたか。流石ですね。
「猟兵」や「擲弾兵」というとプロイセンの伝統を継承した・・・という感じがきちんと
伝わって来る感じがしますね。 

>ぶらぢゃー・爆乳・ボイン(死語)化
今、まさに書き込みをしようと思ったら↑のタイトルが(笑)。
内容を読む迄ボインが母音だと気がつきませんでした(笑)。
しかし、母音も重要ですがアクセントも重要ですよね・・・
ボインのボにアクセントだと巨乳ですが母音はイにアクセントが(笑)。

言い訳(笑)など 投稿者08/15  投稿日:05月02日(日)13時12分 20秒 

連休中家族に逃げられている08/15です。おねーさんを連れ込んでもいいことになっています。「出来るならね」(口惜)。  

<柴田和久さま>
初めまして。
>Panzergrenadierを「機械化歩兵」って訳すようなもので
1962年に「史上最大の作戦」が日本初公開された時、ある映画雑誌で戦史家
の故中野五郎氏がノルマンディの戦闘の解説をされていた中に、「機甲レール師団」ってうのが登場していました(笑)。しばらく解りませんでした。  

>ボイン(死語)化
ははは。全く同感です。 

ナチスの秘密兵器 投稿者:柴田和久  投稿日:05月02日(日)17時46分56秒 

<08/15さん>
初めまして。
「機甲レール師団」ですか。ドイツ国鉄の職員で構成された装甲列車の大部隊みたいですね。きっと映画雑誌の読者は「またぞろ怪しげなナチスの秘密部隊だ な」と思って読み流したことでしょう(笑)。 

<STEINERさん>
アクセントといえば、アクセントのある文字の後に、小さな「ツ」をいれてアクセントの位置を示す表記もあります(「ボッイン」とか「ボイッン」みたい に)。最近では、「ヒットラー」っていうのがまたまた復活してきていますが、どうもこの表記を見ると、落合信彦とか秋田書店の本とかにあった、それこそ怪 しげなナチスの秘密兵器の話とかを思い出してしまいます。1/35のマウスに1/76のシャーマンが蹴散らされているようなイラスト付きの大ボラ話にはよ く騙されました。 

そんなわけ(どんなわけだ?)で、小さい「ツ」入れずに、Deutschlandは【ドイチュラント】、Totenkopfは【トーテ ンコプフ】、Dachauは【ダハウ】(または【ダハオ】)あたりがよろしいかと。 

最近よその掲示板に行くゆとりが 投稿者:STEINER  投稿日:05月03日(月)00時47分22秒 

殆どありません(笑)すっかり井の中の蛙状態です(苦笑)。 

<柴田和久さん>
>「機甲レール師団」ですか。ドイツ国鉄の職員で構成された装甲列車の大部隊みたいですね。
ある小説で(1944年12月の西部戦線が舞台)4号戦車をマークIVと訳してあり、どうもしっくりきませんでした(笑)。
>最近では、「ヒットラー」っていうのがまたまた復活してきていますが、どうもこの表記を見ると、
>落合信彦とか秋田書店の本とかにあった、それこそ怪しげなナチスの秘密兵器の話とか
>を思い出してしまいます。
そういえば、昔の人は「ハイル ヒットラー!!」って言ってましたね(笑)。
>アクセント
これにはいろいろ思い出がありまして、私が一人ロンドンで歩き回っていた時、帝国戦争博物館からピカデリーサーカスへ行きたかったのですが、道を聞いても なかなか通じず、タクシーに乗って「ピッカデリーサーカス」が通じる迄一苦労・・・全ての原因はアクセントでした(笑)。
>そんなわけ(どんなわけだ?)で、小さい「ツ」入れずに、Deutschlandは【ドイチュラント】、
>Totenkopfは【トーテンコプフ】、Dachauは【ダハウ】(または【ダハオ】)あたりがよろしいかと。
上の例が「ボイン」であるあたりが、非常に読みやすい講座ですね (笑)。 

猟兵 投稿者:おでっさ  投稿日:05月03日(月)02時07分08秒 

>猟兵 

 Jaegerは木村相良の辞書でも、狙撃兵の後に猟兵が載っていますから戦前からの訳語である可能性も強いです。おそらく装甲擲弾兵 の方は、松谷先生の造語くさいですね。ぼくも装甲擲弾兵を愛用しています。
そういえば、むかし某レコード会社ではDas Musikkorps der 11.Pz.Gre-nadierdivision のことを西ドイツ第11近衛戦車隊軍楽隊とかやっていました。どうして共和国に近衛師団があるのか不思議な翻訳でしたが。 

ツを無くすべきか否か 投稿者:おでっさ  投稿日:05月03日(月)01時57分10秒 

>柴田さま 

住所メイル到着しましたでしょうか? 

 ところで小さいツを入れるかどうかですが、ここはある程度慣例に従った方が良い場合もあると思います。ドイチュラントは、今までの独 文学者がしてこなかった表記だけにちょっと一般に違和感があると思います。
やはりドイッチュラントとすべきでしょう。
またHitlerの場合は、本当の発音から言えばヒトラーよりはヒットラーもしくはヒットラァに聞こえる場合もありますが、やはり、こなれているという意 味でヒトラーを取りたいです。
 それとDachauはダッハウでもダハウでも良いと思います。基本的に今まで使われていて、それが半ば定着しており、間違いとは言えない場合は、従来の 独文学者(たとえば松谷先生や、藤田五郎先生ら)が用いてきた書き方を踏襲すべきだと思います。原音に忠実でも、その表記に違和感が感じられるとすれば、 それは一般の受け入れるところとはなりがたいと愚考します。
 例えばAufはアオフの方が実際の発音に近いが、ここはアウフとした方が一般の抵抗は少ないでしょう。ゲルハルトかゲアハルトかの問題も同様です。
 結論的に言えば、小さい「ツ」を多用するのは感心しないが、一方で、それを従来使っていた場合は、全部取ってしまうのも定着しないのではという事です。 いかがでしょう。 

小さい『ツ』問題/一般的なのは何か? 投稿者:柴田和久  投稿日:05月03日(月)10時22分48秒 

>おでっささま、STEINERさま
失礼いたしました。住所メールいただいております。ありがとうございました。メールをいただいた日の翌日(5月1日)午前中にコピーを発送いたしました。 ご挨拶遅れまして,非礼をお許しください。 

>ドイチュラントは、今までの独文学者がしてこなかった表記だけにちょっと一般に違和感があると思います。
確かに、藤田五郎先生(過日お亡くなりになりましたね)、小塩節先生ぐらいの世代までは【ドイッチュラント】と小さな「ツ」をいれる表記が一般的でした。 しかし,最近の辞書にしても,参考書にしてもむしろ圧倒的に「ツ」を抜いた【ドイチュラント】が主流です。たとえば、関口存男先生のご子息関口一郎先生 (TVドイツ語講座講師)もこの表記を使用していますし,日本で唯一の一般向けドイツ語雑誌「基礎ドイツ語」も一貫してこの表記を用いています。なお、こ の雑誌は多くのドイツ語学者が合議して内容の精査を行っています。したがって「今までの独文学者がしてこなかった表記」という認識には,残念ながら重大な 事実誤認があります。ちなみにこの表記に関しては北村氏とも意見が一致し、氏もこの表記を使用されています。 

恐らく調整が必要なのは、この「小さい『ツ』問題」と、例の「rの母音化問題」と、「auの表記の問題」ぐらいでしょう。また書きま す。 

いろいろ失礼を・・・ 投稿者:08/15  投稿日:05月03日(月)17時27分55秒 

昨夜家族が急に帰ってきました。おねーさん(ユンコさんの事かな?)がいなくてよかった(笑)。 

<柴田和久さん>
>「機甲レール師団」
「戦車学校師団」といった時代もありましたね。最近は「教導機甲(?)師団」あたりに落ち着いたんでしょうか。
個人的には「教導」というと、明治初期の下士官養成機関であった「教導団」を思い出してしまうんですが。 

>東西の市民の間で言葉の言い回しに違いが見られたという話
森鴎外(度々で済みません)の小説等でプロイセンのお姫様がしゃべっている(ことになっている)言葉は、???といった感じですが、あれは彼の表記法の方 に問題があるんでしょうね。「ブラウンシュワイヒ」といったたぐいですが。
歌人斎藤茂吉がドイツ留学した時、NS党の集会か何かに出会った時詠んだ歌は、「ヒットレル」になっていたと思いました。 

>藤田五郎先生(過日お亡くなりになりましたね)、小塩節先生
な、懐かしい・・・。 

<おでっささん>
>木村相良
昔、岩波と並ぶ2大ブランド(笑)でしたね。岩波の方もjaegerは「猟兵」でしたので、以前から訳も分らず使っていました。フランス軍にもあるはずで すね。
Fallschirmjaegerは「落下傘猟兵」の方が直訳なんでしょうが、最初に「降下猟兵」と訳してくれた方は偉い(笑)。 

バリエーションはいろいろ 投稿者:柴田和久  投稿日:05月03日(月)21時59分07秒 

>08/15さん
標準的ではありませんが、【ブラウンシュヴァイヒ】という発音ならありえますよね。前にも書き込みましたが、全般的にこの傾向はあるのですが、特にベルリ ンの人(鴎外のいたのもベルリンでしたよね)は-igと-ichがゴッチャになりがちのようですね。
それと、「機甲」ってなんとなく、自衛隊っぽくないですか。

「時代と発音」・・・

あれ、入れ違いだ。 投稿者:STEINER  投稿日:05月03日(月)10時46分27秒 

<柴田和久さん>
これは私見ですが、というよりこのHPを作っている私からの希望なのですが(笑)
何処の国でも50年も経つと言葉、特に発音も変化していると思うんです。
私は、出来ることなら1940年代のドイツ語をカタカナ表記出来たら素敵だと思うのですが、難しいでしょうか?
現代ドイツ語としての、正確な発音よりも当時の発音を再現出来たらと思います。 

失礼があったらお許しを 投稿者:柴田和久  投稿日:05月03日(月)12時35分51 秒

>1940年代のドイツ語をカタカナ表記出来たら素敵だと思うのですが、難しいでしょうか?
戦後、「rの母音化」が顕著になったということはよく言われます(ヒトラーの演説など、子音のrがゴロゴロ響いている感じがします)が、何かの参考書で、 全体としては「日本語ほど変化はしていない」と書いてあったのを読んだことがあります。むしろ語彙に変化があったのではないでしょうか。東西ドイツが統一 したときも、東西の市民の間で言葉の言い回しに違いが見られたという話も聞きます。なお、日本では戦後、かなづかいが大きく改められましたが、ドイツでは 昨年8月なってやっと約100年ぶりで正書法が改正されましたので、我々が教わったドイツ語と戦前のドイツ語とではスペルなどの点では同じはずです(これ から勉強する人は新正書もおぼえさせられるかもしれません)。 

なお、Deutschlandについても、ネイティヴの発音が時代とともに変わったという訳ではなく、単に日本人側のカタカナ表記がよ り正確を期するように進化したということだと思います。 

STEINERさんのHPにあがりこんで、いろいろ自説をまくし立ててごめんなさい。STEINERさん、おでっささん、失礼があった らお許しくださいね。 

コピー届きました!! 投稿者:STEINER  投稿日:05月03日(月)13時58分33秒 

<柴田和久さん>
先程コピーが届きました。どうもありがとうございます!!
早速拝読しましたが、本当に判りやすく丁寧な解説で勉強になりました。 

>戦後、「rの母音化」が顕著になったということはよく言われます
そこで私の好みの問題ですが、ティーガーよりティーゲル、パンターよりパンテルに出来たらなあ、と思っているのです(笑)。
>むしろ語彙に変化があったのではないでしょうか。
そうですね。特に軍装品では合成語(複合名詞)が異なっている様です。
>STEINERさんのHPにあがりこんで、いろいろ自説をまくし立ててごめんなさい。
いえいえ、とんでもありません!。自分一人ではチョット重荷の事がこの様にして形になるとしたら素晴らしい事ですし、HPマスター冥利に尽きると言った感 じです。
普段、書物等に記事を書いている訳でもありませんから、ネットをやっていなければ発信という事には無縁だった訳で、小さいながらも発信側になって初めてこ の様な話題に直接参加出来た事は逆に大変感謝しておりますので、今後とも好きな事、言いたい事等何でも書き込みして頂きたいと思っております。
私自身は結構好き勝手な事を書くの好きですし、書かれる事も好きです(爆)。 

よすがとしてのWochenschau 投稿者:柴田和久  投稿日:05月03日(月)16時22分38秒 

意外と盲点なのですが、当時のドイツ語を知るための有効なよすがとして、「ドイツ週間ニュース」があります。Tiger、 Panther、Deutschlandなどもどういう風にに発音しているか聞き極めてみてはいかがでしょう。 

あと、この前Umlautの話の中でも出ましたが、「ほんとはちょっと違うんだけれども、oeには【エ】を、ueには【ユ】を便宜的に 当てておきましょう」みたいな約束事があります。前回の書き込みで提起した3点は、こうした約束事が未だ流動的な部分でもあります。STEINERさん、 おでっさんはじめ、皆さんとの議論の中でアウトラインが見えてくることを期待しています。 

ただ、「語感がカッコイイから、こっち」みたいなのは、どうかと思いますが(笑)。私は、カタカナ表記をどうするかということは、ある 意味では考証の一部だと思っています。 

パテが少し乾く間にレスです(笑)。 投稿者:STEINER  投稿日:05月03日(月)16時40 分13秒 

それにしても、1/6のビネットベースはなんて大きいんでしょう(笑)。
パテなんか1kg単位で使用しています(笑)。 

<柴田和久さん>
なるほど「ドイツ週間ニュース」は確かに良いですね!!
>前回の書き込みで提起した3点は、こうした約束事が未だ流動的な部分でもあります。
>STEINERさん、おでっさんはじめ、皆さんとの議論の中でアウトラインが見えてくることを期待しています。
これは5/5以降にこの話題に興味のある人でオフ会をして話をするのが良いですね。
私は銀座に近いので平日でも構いませんがおでっささんと柴田さんのご都合をお聞きしなくてはいけませんね。
あとは何処までオープンにして参加者を募るかが悩みです(笑)。 

>ただ、「語感がカッコイイから、こっち」みたいなのは、どうかと思いますが(笑)。
>私は、カタカナ表記をどうするかということは、ある意味では考証の一部だと思っています。
仰るとおりです。わがまま書いて済みません(笑)。 

コピー到着 投稿者:おでっさ  投稿日:05月04日(火)01時17分33秒 

>柴田和久さま 

今朝、コピー落手しました。殆ど完璧と言っていい内容です。すばらしい。
ドイッチュラントかドイチュラントかに関しては、僕のドイツ語は20年以上前の外国語学科でのドイツ語ですので、現在、ドイチュラントが一般的なのである なら、それでけっこうだと思います。 

>STEINERさま 

ドイツ語が戦後、アメリカナイズされて、変化したとマコトシヤカに言う輩もいますが、柴田さんがおっしゃるとおり大きな変化はありませ ん。むしろ、方言の方がよっぽど違いが大きいです。
ですから、ドイツ語では昔から、パンター、ティーガーです。
僕は松谷派なので、Pz.Div.は装甲師団が好きです。パンツァーはアーマーと同じで鎧という意味です。Tankという言葉はドイツ語にはありません。
ですからパンツァーを戦車の意味で使っているのです。戦車師団も間違いとはいえないし、機甲(これって機動装甲の略ですかね)師団も間違いではないでしょ うが。 

ほんとに嬉しい! 投稿者:柴田和久  投稿日:05月04日(火)04時09分31秒 

>おでっささま
掛け値なしで嬉しいです。今日は一日、おでっささんの評価が気になって何度もこのBBSを覗かせてもらいました。銀座のオフ会で皆さんに会えるのが楽しみ です。 

>ドイツ語では昔から、パンター、ティーガーです。
 正直に白状しますと、コピー拙文中の「ここ数十年間に、-er、-r の発音はドイツ人の間でも変化してきた。以前はローマ字忠実に」云々のくだりは、関口一郎先生の参考書「マイスタードイツ語コース1文法(大修館書店 1994年)」の10ページをパクりました。原文では[ティーゲル][パンテル]の代わりに[ムッテル][ビール]になっています。したがって、あながち [ティーゲル][パンテル]も間違いではないのでしょうが、週間ニュースではすでに【パンター】【ティーガー】になっていますね。 

>Panzerdivision(Panzer Divisionぢゃないよ)の話
この論争が発生したときに、2人のドイツ人モデラー(1人はNuts&Boltsの著者で、もう1人はマギルス社の現役の技師ですが)に手紙を出 して聞いてみました。
Panzerdivisionは、Tank Divisionなのか、それともArmoured Divisionなのかと。
そのときの答えではいずれとも Tank Divisionでした。
この世に戦車というものが現れて以来、Panzerの意味は「装甲」と「戦車」の順位が入れ替わり、今や第一の意味は「戦車」になったと、私は考えていま す。ドイツ人の友人とのコミュニケーションの中でも、およそ「戦車」以外の意味でこの語が使われるのを経験したことがありませんし、週間ニュースでもしか りです(gepanzertなどの派生語は別にして)。小学館の独和大辞典(初版1985年)でもPanzerの項のしょっぱなは「戦車」です。
ちなみにこの辞書、なかなか気が利いていてBrotbeutelやMaschinengewehrなどはそれらしいイラスト入りで載っていて、なかなか楽 しめます。 

他意はないのですが、結果的にいつも異論ばかり唱えているみたいになっちゃって、ほんとにすいません。 

今晩は凄いですね(笑) 投稿者:STEINER  投稿日:05月04日(火)05時01分16秒 

<おでっささん>
>ドイツ語が戦後、アメリカナイズされて、変化したとマコトシヤカに言う輩もいますが、
>柴田さんがおっしゃるとおり大きな変化はありません。むしろ、方言の方がよっぽど違いが大きいです。
そうだったんですか・・・私はまことしやかに騙されていました。 

>僕は松谷派なので、Pz.Div.は装甲師団が好きです。
ここら辺が難しいところかと思うのですが、私もPz.Div.は装甲師団が好きです。
ただし装甲教導師団よりも戦車教導師団が好きですね。
これは戦車は装甲師団の中の装甲車両の一種で、逆に戦車教導師団は装甲車両というより戦車学校の教官からなる師団と私が解釈しているからです。
したがって、大隊であれば戦車大隊、師団であれば装甲師団でも良いと思うのですが。
かなり感覚的で済みません。別に突っかかるつもりはありません。 

<柴田和久さん>
うーん、書き込みしようと思ったら柴田さんの書き込みを見てちょっと躊躇(笑)。
私も、決して柴田さんに楯突こうと言うのではありませんので、笑って読んで下さると助かります。

「俺のケツを舐めろ」・・・

鉄腕の騎士ゲッツ 投稿者:柴田和久  投稿日:05月15日(土)20時59分13秒 

私も原文(源文ではない)には当たっておりませんが、Tazipieさんのおっしゃられるとおり、ゲーテの戯曲「ゲッツ・フォン・ベル リヒンゲン」の初稿で、主人公ゲッツが Leck mich am Arsch! と言う場面があって、それに由来して、以来Goetz!と言う言葉そのものが、上の文の意味になった、と理解しておりました。 

このゲッツ、実在の人物だそうで、シュヴァーベンに残る居城には今なお、あの師団マークで有名な鋼鉄の義手が現存しているそうです。  

わたくし的には、このゲルマンの英雄というと、KG7の会報の表紙を飾った、上田信氏描くところのちょっとあぶないイラスト「スーパー マンになったヒトラーがこの鋼鉄の義手を装着し、露軍のJSUを打ち破り、ドイツの婦女子を救うの図」を思い出します。 

SSの師団名は誰が考えたのでしょう 投稿者:Tazipie  投稿日:05月16日(日)05時32分36秒 

>柴田さん
なるほど!ウアゲッツが元ネタなのですね。どうりで探しても見つからないと思いました。
>鋼鉄の義手
ヤークトハウゼンの城まで行って見てこよう、という計画があったのですが、すごい田舎で、行くと1日つぶれそうなので、断念しました。でも、いつか行きた いです。 

>08/15さん
こちらこそ、はじめまして。
>ドイツ人は「尻でも・・・(省略)」というセリフをみんな知っているんでしょうか。
私は、本を読むだけで、ドイツの生事情はほとんど知りません。どうなんでしょう、柴田さん?
個人的には、若い人は知らない、と思います。
ちなみに、以前、ドイツの学生に「ラインの守り」という詩を知っている?ときいたら、「さぁ、聞いたこともない」と言われました。 

>「ヴァレンシュタイン」とフルンズベルクとの3人の共通点ってあるんですか。
フルンツベルク、ベルリヒンゲン、それにフロリアン・ガイアーは、同一時代(16世紀初め)の帝国騎士で「強きをくじき、弱きを助け」という豪傑風のイ メージがあると思います。
ヴァレンシュタインは騎士というより、戦争屋で、ちょっと俗物のイメージが強いと思うのですが、 

シラーが『30年戦争史』と戯曲『ヴァレンシュタイン』3部作で英雄風に描写したので、 そっちのイメージでSS師団の候補に上がワーグナーのニーベルング族(アルベリヒ)も、モデルはユダヤ人でした。
ジークフリートなどの英雄種族である「ヴェルズンゲン」を採用せずに、なぜ「ニーベルンゲン」なのか・・・
もしかして「アルプス要塞の地下に籠るナチの小人」というイメージなのでしょうか・・・ 

ArschとGoetz 投稿者:柴田和久  投稿日:05月16日(日)09時37分19秒 

1942年当時の記録写真に、Hier beginnt der Arsch der Welt!と記された道標が写っGoetz von Berlichingen!と書かれている、とあります(Pkw der Wehrmacht/PODZUN-PALLAS 1993 S.64)。こんな例からも、少なくとも大戦時頃には、ArschとGoetzが関連して使われていたのではないでしょうか。 

すごいセンスの道標ですね! 投稿者:Tazipie  投稿日:05月16日(日)10時45分14秒 

なにか、吉田戦車級の不条理なギャグですね。 
私の解釈で正しいとすれば、「ここからは世界の果て(ケツ)」 
「死んだら、ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンのことを想像しろ!」 
1942年で「世界の果て」というと、カフカスのあたりでしょうか・・・
 

私のドイツ語力はこんなもんです 投稿者:柴田和久  投稿日:05月16日(日)16時43分54秒 

>Tazipieさん 

そこは私も自信が無い所だったので、敢えて訳さなかったのですが、小学館の独和大辞典でもvon hinnen gehen の意味は「死ぬ」となっています。「ここより先、地の果て(ケツ)。死ぬときゃ、ゲッツ(のセリフ「くそ食らえ!」)を思い起こせ」みたいな感じでは、や はり「超訳」のそし りは免れないでしょうか。 

ちなみに場所と時期と状況は、in Gluschiza, Fruehjahr 1942, am Eingang zur beruechtigten Erika-Schneise 「Gluschizaという地方にある、エリカの咲く悪名高い非植林帯の入り口で」みたいな感じでしょうか。 

柴田さん訳が正しいと思います 投稿者:Tazipie  投稿日:05月16日(日)18時28 分56秒 

やはり、「死ぬときゃ」の方が、戦地の兵隊ジョークということを考えると正しそうですね。
私がなぜ「von hinnen gehen」を「これより先」かもしれない、と思ったかというと、一応、死ぬのは仮定の話なのに、「Gehst Du von hinnen, ...」だと、死が確定している感じがするので、もし「死ぬときゃ」なら接続法(Gingest Du von hinnen,」くらい使うのでは・・・と思ってしまったからです。
でも、道標のラクガキにいちいち接続法なんか使っていたら、面白味が欠けてしまうので、やはり「死ぬときゃ」で
正しいと思います。 

ゲッツの用例2 投稿者:Tazipie  投稿日:05月16日(日)18時52 分55秒

ゲッツの使用例がありました。 
原文はわかりませんが、『ゲッベルスの日記』西条信訳、番町書房 の1925年9月14日のゲッベルスの日記です。 
「・・・山のような仕事。それにのべつじゃまがはいる。 
十人の人間がぼくをかこんでいる。そのほかにぼくは論説を書かなくちゃならない。 
くそ! ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン!・・・」 

やはり、「おれのケツ・・・」と言うのが憚られるときは、ゲッツで代用するようですね。 

第17SS装甲擲弾兵師団「俺のケツを舐めろ」 投稿者:柴田和久  投稿日:05月16日(日)21時14分37秒 

>Tazipieさん 
それほど日常的に、「ゲッツ」が「俺のケツを舐めろ」の意味で使われていたとすると、第17SS装甲擲弾兵師団のみなさんはいったいどうしたらいいので しょうか(結構、自嘲的だったりして)。 
でも、アメリカーナーの「F言葉」比べると、さすがドイツ人。奥ゆかしくて、格調高い

「ドイツ語の方言」

シュヴァーベンは名古屋だがや 投稿者:おでっさ  投稿日:05月18日(火)20時23分56秒 

>ドイツ各州の日本方言見立て 

シュヴァーベン地方は名古屋で、バイエルンからオーストリアは近畿 つまり、ミュンヒェンは大阪で、ヴィーンが京都、とするとプロイセンは東北か? 

つまり、ヒ総統は関西弁で、ロンメルは名古屋弁、カイテルは東北弁とか・・・。 

そもそも、なんでハノーバーが標準なのでしょう 投稿者:Tazipie  投稿日:05月19日(水)13時11分26秒

>おでっささん、はじめまして
>シュヴァーベン地方は名古屋で、バイエルンからオーストリアは近畿
>つまり、ミュンヒェンは大阪で、ヴィーンが京都、とするとプロイセンは東北か?
バイエルンが関西なのは確実ですね。
 私は、名古屋と聞くと「派手好み」とか「成金趣味」(名古屋の方、すいまんせん)というイメージしか湧かないので、どちらかというと、オー バーザクセン(ドレスデンなど)の方を連想してしまいます。 

以前、ドイツ人(ヴェストファーレン出身)に「どこの方言が一番、可笑しい?」ときいたら、「シュレスヴィヒの方」と言われました。

ハッタリも必要です 投稿者:柴田和久  投稿日:05月19日(水)22時52分44秒 

プロバイダーのメンテナンスのせいでアクセス出来ないでいたら、いつの間に怒涛の書き込 みが(笑)。
「オフ会効果」もあるのでしょうか? またやりたいですね。今回来れなかった方にも是非参加し いただいて。

【ミュンシェン】はシュヴァーベン訛りでしょうか。とすると、STEINERさんと 08/15さんはひょっとしてシュヴァーベン人?

>おでっささん
私の友人はシュヴァルツヴァルトに住んでいますが、萱葺きの農家とかあって飛騨高山みたいで す。名古屋の奥の方って感じも似てますね。東プロイセンはさしずめ北方領土ですか。取られたまんまだし。もっとも、あちらは放棄しちゃいましたけど。

>08/15さん
08/15さんはどうお読みするのがほんとうなのでしょう? 【ゼロハチイチゴー】さんですか 【ヌルアハトフュンフツェーン】さんですか? オフ会のときどう呼んで良いのか迷いました。
 Gestapoをなぜ【ゲスターポ】と読むのか、その理由をどこかで読んだのです が、どうしても見つかりません。
>Tazipieさん
オイゲン公情報ありがとうございました。言われてみれば、昔ウィーンに言ったときにオイゲン公 の石碑がありました。今度是非、「師団名由来コンテンツ」作ってください。次回オフ会ではお会いできるのを楽しみにしています。
あと、これはTazipieさんに限らず、ここの掲示板にくる人は皆、ドイツ語のときはduで 話しましょう。

ベアリーン!  投稿者:おでっさ  投稿日:05月20日(木)11時25分36秒 

>ベアリーン

 聞いた話ですから、真偽の程は分かりませんが、昔(明治時代かな)ベルリンとマルセイ ユの駅で発音したので、夜行で朝着いてみると、なんとスイスのベルンだったという間抜けな駐在武官がいたとか(爆)
>Rの発音

 南ドイツの人の中にはノドヒコを振るわせる発音がどうしても出来ない人も多いようで す。その場合はべらんめい調に舌でRを発音することになるようです。

>すごい方言

バルト三国地方のドイツ人のRはすごいです。べらんめいRをもっと異常に強調して発音し ます。異様に聞こえます。

ひっとれいる の演説終わりし頃か? 投稿者:LeicaV型  投稿日:05月20日(木)12時06分20秒 

ドイツ語ネタが続いている様なので、

 私も参入させてください。
 私にドイツ語、いや独逸語を教えてくれたのは、”茂吉 ”爺さんでした。
近所の公園で日がな独りで過ごしていた”茂吉 ”爺さんは、 旧制高校出らしく、よく寮歌を口ずさんでおりました。
その風貌は晩年の斎藤茂吉に似ており、また本人もそれを意識していたのか〜ひっとれいる の演説終わりし頃か、、、、、〜と、呟く様によく詠んでいました。

”茂吉 ”爺さんの独逸語は、「カタカナ英語」ならぬ「ひらがな独語」でした。
えっせん 、まいんかんぷひぇ、ひっとれいる、しゅとぉるむうんとどらんけ、めっちぇん、ゆーるげんと、、、、、。
時々、しゃぽー とかフランス語らしいのも混じってました。

朝は誰彼となく「ぐーてんもうるげぇん」と挨拶し、 独逸語?の唱歌を歌って昼まで過ごし、 「えっせん にするか、、、、」と言ってはコッペパンを噛り、その半分はハトと野良猫に獲られてしまっていました。
その”茂吉 ”爺さんを見掛けなくなって15年程が過ぎました。

三つ子の魂百までも、、、、の言葉通りに、
あの「ひらがな独語」は身に染みついてしまい、大学の第二外国語の講義で当てられると、つい出 てしまいました。
教授に「お前幾つだ!」と呆れられたのが、つい昨日の事の様に思われます。

巻き舌は方言と芸能関係のみ 投稿者:柴田和久  投稿日:05月20日(木)23時42分09秒 

>おでっささん、tazipieさん
そう言えば、オーストリア出身のグローマン先生は、私がgesternを【ゲスターン】っぽく 発音したら、「それはDialektだ」と言って、わざわざ【ゲステルン】に直しました。ところが、この先生のrは、いわゆる巻き舌でもなく、本当に日本 語っぽい【ル】だったので、とても印象に残って います。この先生、自分の方が Dialektだったのかもしれませんね。
また、以前ご紹介した関口一郎先生の本には、rの発音についてこんな記述があります。「2通り の発音があります。ひとつはいわゆる巻き舌で、江戸っ子のベランメエ調でやるものですが、こちらは現在では方言を除いてあまり用いられなくなっています。 唯一これが用いられているのがドイツ・リートやオペラの世界でして、ここではホールのすみずみまで音声が伝わるようにはっきりと巻き舌で[ルルル ル・・・]と発音します」

要するに南ドイツやオーストリアでは 投稿者:おでっさ  投稿日:05月20日(木)23時50分26秒 

>柴田和久さん
 ドイツでちゃんとした標準語をしゃべっているのは、芸能関係と外国人のみなんですよ。その他 の地方は、程度の差こそあれ、全部方言をしゃべっていると言っても過言ではありますまい。
本来ドイツ語のRは巻き舌で喋っていたものが、フランス語の影響でのどひこを震わせるように なったと、昔、音声学の先生から聞いたような気がします。

   
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29.Jul.1999 公開
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