ここでは、兵士達の娯楽について紹介しています。
   
 
はじめに

リエナクトメントに参加してみて印象的だった事は、戦闘行動や、号令、所作、行進等、参加者が各々研究して来た事柄をその場で教え合い練習する姿であった。
これはとても楽しい一時であり、今後も切磋琢磨する事で、イベントがより濃くなって行く可能性を感じた。

しかし殆どのイベントが1泊2日で催される事を考えると、あらかじめ情報発信をしておけば、各自出来る事は練習も含めて行った上で参加する事が出来て、より効率的なのでは?とも感じた。
勿論お互いに教え合う事は楽しい時間であるから、これを否定するつもりは毛頭無いし、1人では出来ない事も沢山あるので、今後もこの姿勢については貫いて貰いたいと思っている。

そして、個人的には近い将来戦闘行動を伴わないリエナクトメントがあって良いと考えている。
その時こそ、参加者には当時の兵士になりきる事が求められる気がするが、果たしてどうなるかは神のみぞ知る。

本コンテンツがドイツ軍リエナクター諸氏に、少しでも参考になれば幸いである。

   
 兵士達の娯楽


 

ボクシング

まずは健全にスポーツから紹介する。明らかに前線に行った兵士のプライヴェートアルバムにも、この様にスポーツを楽しんでいる写真は少なくない。
軍にしてみれば、体力の維持向上の意味でも有用なスポーツは、娯楽としても推奨出来るものだった為、部隊間でボクシングやサッカーの対抗戦が行われる事もあった。


 
 
 
ダンス

これは、最前線では無く後方地域での娯楽の例で、通信隊やドイツ赤十字の女性スタッフと踊っている兵士達である。

男性であれば、何時如何なる時も”男が良い”と言う人以外に説明は不要だろう。
 


 
 
 
カードゲーム”Skat:シュカート”

画像は当時兵士達の間で流行っていた、カードゲーム”Skat:シュカート”に興じる兵士達である。
将校と兵が同じテーブルを囲む機会は、クリスマスとこのシュカート位かもしれない。
このゲームに関しては、相互リンクしているエーデルマン氏の「東部戦線泥沼日記」に詳しく記載されているので、是非そちらを参照されたい。

 
 

  

カードゲーム”Skat:シュカート”

こちらも丸テーブルを囲んで”Skat:シュカート”に興じる兵士達。手近な所から椅子をかき集めて来た様で、全て形状が異なるのも興味深い。
このゲームはトランプの2~6のカードを除いた32枚で行う事が出来たが、ドイツには専用のカードも存在した。この専用カードについても、エーデルマン氏が、「東部戦線泥沼日記」で紹介しているので、興味のある方は参照されたい。
 


 
  
 
ボードゲーム

この写真には、左下方でチェスをしている兵士達と、椅子に座って手紙を読むUnteroffizier:伍長が写っている。
彼らは分隊長と分隊員と思われる。強い絆で結ばれているとは言え、下士官と兵の関係は友人関係とは全く別の物であり、下士官が必要以上に兵達の中に入る事はない。
その意味で、この写真は下士官と兵の関係を如実に表していると言えるだろう。
なお、この写真に写っているチェスは携行用のセットで、駒は紙製、盤も二つ折りにする事が出来た。



 

ボードゲーム

兵営で夜の自由時間を過ごす兵士達。
手前の兵士達は机で手紙を書いたり本を読んでいる。その奥ではチェスをやっている兵士達、更に右奥には新聞を読んでいる兵士が写っている。
平時の我々から見れば、全くプライバシーの無い狭い空間の中で、各々が自分の時間、世界を大切にしている様に見える。

因みに、この写真は占領地域の兵営で撮影された物であるが、壁面の窓には灯火管制の為にツェルトが掛けられているのが興味深い。


新聞を読む

情報入手の手段が少なかった当時の前線で、人気があったのが新聞であった。

新聞は郵便物と共に野戦郵便局から各部隊に届けられた。当時の週刊新聞には、写真が多く掲載された物も多く、各戦線の状況が書かれている他、小説やクロスワードパズルなどもあった。

また、水着姿の女性の写真が掲載されていた場合には、それらを切り抜いて兵舎の壁などに貼る事もあった。

1942年に発行された”Taschenbuch für den Winterkrieg:冬季戦ハンドブック”には、新聞紙を利用した防寒法が掲載されていて、比較的身近にあって入手しやすい物だったと思われる。


 
 
音楽

画像はアコーディオンを囲む兵士達であるが、音楽が無い生活は味気ない物で、蓄音機やラジオで聴くだけでは無く、自分達で演奏したり歌ったりされていた。

前線でも持ち運びが比較的容易だったアコーディオンやハーモニカ
には、専用の楽譜も用意されていた。

また、後方地域では音楽会が催される事もあり、兵士達に安らぎの一時を供していた。

アコーディオンやハーモニカを持っている人は、是非演奏してみて欲しい。



  

酒保品を囲んで

東部戦線のブンカーで酒保品を囲む兵士達。葉巻や刻み、紙巻タバコの他に、スピリッツや発泡ワイン等が写っている。
これらの嗜好品は糧食と同様支給されていたが、決して充分な量ではなかったので、前線部隊は従軍酒保業者から私費購入する事が多かった。ただし、通常従軍酒保業者は大隊の補給所に設置されていたので、いつでも簡単に利用出来る訳では無く、この様にまとめて購入する事が多かった。
したがって、嗜好品も兵士達には欠かせない楽しみであり、手に入るとこの様に写真を撮ったりしたのだろう。

このブンカーは内部に白い布が貼られ、少しでも明るい居住空間を作る努力がなされている。
また、天井には蝿取り紙が吊り下げられているのも興味深い。
 
 
ジョーク

写真のブンカーの入り口には”ALARM-HOTEL:警報ホテル”と書かれた看板が取り付けられている。

これは勿論正規の物では無く、一種の”いたずら”の様な物である。

しかし、こういったジョークの背景には、この場に生きていた兵士達の心情が反映されている事を忘れてはならない。

その様な意味では、リエナクトメントの設定に合わせたこの手の小道具があると、その場の雰囲気作りになるのではないかと考える。

これに似た物として、一向に届かない野戦郵便に対する不満を、野戦郵便を擬人化して墓を作ってしまった例もあるが、コレに付いては野戦郵便のコンテンツで紹介する。

補足

兵士達の娯楽について、ここで紹介したものはその極一部である。と言うのも、そもそもこのコンテンツがリエナクター向けであって、再現を考えると無理がある物や、不適切な事柄は省いたからである。
しかし、これが全ては無いので、ここの内容には拘らずに様々な娯楽シーンの再現に挑戦して欲しいと思う。
 
 
       
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01.Oct.2013 公開

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